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幼かりし頃 [Ⅴ]

2004年08月30日 02:26

 どうか、とにかく僕にその墓を貸してほしい、浮かび上がったセメントの輪郭を施した、石灰で塗り固めたヤツを――地中の遥か奥底に。
 僕はテーブルに肘をついて、灯は読むのも馬鹿らしい新聞を、興味もない本を、酷く激しく照らし出している。――
 僕の地下の応接間の、途方もないほど遥か上の遠くの方に、家々が根を下ろし、霧が立ち込めている。泥は紅か黒だ。怪物みたいな都市、終わらない夜!
 それほど高くないところに下水道がある。両側には地球の厚みしかない。たぶん、紺碧の深淵や、炎の井戸もある。月と彗星が、海と物語が出逢うのは、多分この企ての一環だ。
 苦々しい時には、僕は自分がサファイアか金属の球なんだと思い描く。僕は静寂の主人だ。どうして地下室の天井窓のようなものが、天井の片隅で怒りに青褪めるというんだろう。
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幼かりし頃[Ⅳ]

2004年08月25日 02:25

 僕は聖人だ、築山で祈っているところ、――穏やかな獣たちがパレスチナの海まで草をはんでゆくように。
 僕は暗い肘掛け椅子にいる学者だ。枝と雨が書斎の窓を叩いている。
 僕は小さな樹々の合間を抜ける大きな通りを歩く人。水門のざわめきが僕の足音をかき消してしまう。僕は永い間、夕つがた、わびしい金色の泡を眺めてる。
 僕はまったく沖へと延びた桟橋に棄てられた子供かもしれない、その先が空へと続く道に従ってゆく、幼い召使なのかもしれない。
 獣道は険しい。丘はエニシダで覆われている。空気が淀んでいる。鳥も泉も、なんて遐いんだろう! 多分、この世の果てでしかないんだろう、進んで行く先はね。

幼かりし頃 [Ⅲ]

2004年08月23日 02:24

 森には一羽の鳥がいて、彼の歌が貴女を呼びとめ、貴女は頬を赤らめる。
 鳴らない大時計がある。
 白い獣が巣をつくった水溜りがある。
 降りてゆく大聖堂と上ってくる湖がある。
 雑木林には棄てられた小さな四輪車がある、それは林の獣道を、疾走してゆく、リボンで飾られて、降りてゆく。
 衣装を身にまとった小さな役者たちの集団がある。森の隅の抜け道に見えている。
 最後に、人が飢えているとき、渇いているときに、それを追い払う誰かがいる。

幼かりし頃 [Ⅱ]

2004年08月20日 02:23

 彼女だ、死んだ女児だ、薔薇の木陰にいるんだね。――亡くなった若い母親が石段を降りてくる――従弟の幌馬車が砂漠で軋んでいる――兄は――(彼はインドにいる!)そこに、夕日の前に、マリーゴールドの平原に。匂黄金花の城砦の内側で、直立のまま葬られた老人たち。
 金色の葉群、蜜蜂の群れが将軍の家を取り囲む。彼らは南方へ向かった。――赤い路をたどって行くと人気の無い宿屋に着く。城は売りに出されている。鎧戸は外されている。――司祭が教会の鍵を持ち去ったんだろう。――大庭園の周り、衛士の見張小屋には誰もいない……塀が高いのでざわめく梢しか見えない。それに、中には見るべきものなんて、何もない。
 鶏の声もなく、作業台の音もなく、草地は村外れへと上ってゆく。水門は開かれている。あぁ、いくつもの受難の丘と曠野の水車小屋、島々と積み藁。
 不思議な花たちが唸り声を立てている。土手が彼を懐かしい心持にさせた。伝説上の美しさを有した獣たちが拡がっていった。熱い涙の永遠でつくられた海の沖には、いくつもの雲が積み重なっていた。

幼かりし頃 [Ⅰ]

2004年08月15日 02:21

 この偶像、黒い眼と黄色い鬣、両親も取り巻きもなく、神話よりも気高くて、メキシコ人であり、フランドル人であり。彼の縄張りは、これ見よがしに空色で緑色で、船のない波によって、ギリシア、スラヴ、ケルトと酷い名前の浜辺までに拡がっている。
 森のはずれで――夢の花がチリチリと鳴り響き、弾けて、輝いて、――オレンジ色の唇の女の子が、草原に湧き上がる澄んだ洪水の中で膝を組んで、その裸を翳らせ、透かし、やがて飾り立てるのは虹、花、海。
 海に程近いテラスの上で廻る貴婦人たち。女の児たちと大きな女たち、エメラルド色の苔の中の素晴らしい黒人の女たち、雪の溶け出した前栽や庭園のぬかるんだ地面の上に屹立している宝石たち――巡礼のことでいっぱいの眼差しをした若いお母さんとお姉さん、イスラムの王妃たち、毅然とした物腰と装束の皇女たち、小柄な異邦人の女たち、そして穏やかな不幸の女たち。
 なんという物憂さ、「愛しい肉体」と「愛しいこころ」の時代は。

劣悪な血 ⑨

2004年08月13日 02:20

 もうたくさんだ! ここに報復がある――進め!
 あぁ! 肺が燃えている、コメカミがガンガンする! 僕の瞳の中を、太陽は駆け抜けて、夜が転落する! 心…手足…
 人はどこへいくんだろう? 戦争へ? 僕は弱い! 他の人は進んでいく。工具、武器、…時間!…
 炎! 僕の上には炎! あそこさ! 僕の行き着くところ。――卑怯者!――僕は自殺する! 馬の蹄に身を投げる!
 あぁ!…
 ――僕はそれに慣れてしまうんだろう。
 コレがフランスの生活、名誉への獣道なんだろうね。

劣悪な血 ⑧

2004年08月12日 02:19

 懶惰はもう僕の恋人じゃない。激しい怒り、放蕩、狂気、そういうものの勢いも禍いも、僕はみんな知っている。――僕の重荷はみんな下ろされた。陶酔することもなく、僕の無垢の拡がっていくのを意識しよう。
 僕にはもう、マゾ的慰めは要らない。僕は義理の親父キリストと一緒に、結婚式なんて厄介ごとに関わるとも思えない。
 僕は理性の囚人じゃない。「神よ」と僕は言った。救いの中で自由がほしい。どうやって追い求めたらいいの? 浅はかな趣向は僕にはなくなった。献身も聖愛ももう要らない。僕は繊細な心の世紀を懐かしんだりはしない。人はそれぞれ、道理や軽蔑、施しを持っている。僕はね、良識というこの天使の梯子のてっぺんに自分の場所を予約してあるんだ。
 安定した幸せって言えば、家庭的だったりそうじゃなかったり……いや、僕にゃムリだ。僕はあんまりにも飽きっぽくて脆弱だもん。人生は労働によって花開くなんて、古びた真理だ。僕はといえば、人生があんまりに軽くって飛び上がってしまって、行動の遥か上のほうに、世界の果ての空高く浮かんじゃってるよ。
 死をいとおしむ勇気が失くなってしまうほどに、古めかしい娘になっている気分だよ。
 もし神が僕に宙の静寂を与えてくれたなら、祈りを、――古代の聖僧たちのように。――聖僧!強い人!もはや祈りを必要としないような、隠者、芸人たち!
 絶え間ない芝居だ!僕の純粋さにじーんとくるよ!人生は皆で進める芝居なんだ。

劣悪な血 ⑦

2004年08月11日 02:18

 白人たちが上陸する。大砲だ! 洗礼を受け入れ、服を着て、働かなくちゃいけない。僕は心臓に神のとどめの一撃を喰らった。あぁ! 僕はそれを予測してなかったよ。僕は少しも悪いことなんてしてない。日々が僕を薄っぺらにしてしまうだろう。後悔は僕を殺してはくれないだろう。『善』に対しては殆ど無感覚になってしまった、魂の苦悶もないだろう。そこでは葬列の大きな蝋燭に似た激しい閃光が立ち昇る。良家の御子息の運命、澄んだ涙で覆われた、早すぎる棺。間違いなく、放蕩は愚かだし、悪徳は軽率だ。腐敗物は遠くへと投げ飛ばす必要がある。そして、大時計は純粋な悲しみの時間しか打たなくなることもないだろう。子供のように僕は連れ去られる、不幸すべてを忘れてしまう状態という極楽で遊ぶためにね!
 急いで! 他の生き方ってあるんだろうか? 贅沢の中で睡むのは不可能だよ。贅沢三昧はいつでも公的なものだった。聖なる愛は、唯一、科学という鍵をくれる。僕は自然が善良さの光景でしかないってことを知っている。サヨナラ、妄想、理想、過失。
 理性的な天使たちの歌声が、救助船から沸き起こる。それが聖なる愛なんだ。――二つばかりの愛! 僕は地上の愛に死して、献身に死す。僕は自己開示することで痛みがひどくなってゆく魂を残した。あなたは僕を遭難者の中から選ぶんだ。でも、残された人たちは僕の友人じゃないの?
 彼らを助けてくれ!
 僕に理性が生まれた。世界は良くなる。僕は生命を讃えよう。兄弟を愛そう。子供時代の約束なんかじゃない。枯渇してゆく希望でもない。神は僕を強靭にする、だから僕は神を讃える。

劣悪な血 ⑥

2004年08月10日 02:17

 でも、酒宴も女友達も、僕には禁じられていた。たった一人の仲間さえいなかった。僕は銃殺隊に直面しながら、解ってはもらえない不幸に涙を流しながら、しかもそれを受け入れながら、怒り狂った群衆の前に、己の姿を見た!――ジャンヌ・ダルクみたいに!――「司祭様、教授方、先生たち、あなたがたは僕を正義に委ねるなんて、間違っておられる。僕がそういう人間だったことなどはないのですから。僕は決してキリスト教徒ではありませんでした。僕は責苦の中で歌を歌う人種です。僕には法律がわからない。良識もないのです。僕は野蛮人です。あなたがたは間違っておられるんだ……」
 そう、僕は光に閉じ込められた瞳を持っている。僕は獣だ、黒人だ。だけど僕は救われるだろう。あなたがたはエセ黒人だ、偏執狂で残忍で、しみったれた連中だ。商人さんよ、アンタは黒人だ。判事さんよ、アンタ黒人だ、将軍さん、アンタ黒人だ。皇帝さんよ、腐った心の野望よ、アンタ黒人だぜ。アンタは無課税のリキュールを御飲みになったが、そいつは魔王が作ったもんなのさ。この連中には熱病と癌が吹き込んでいるのさ。片端もジジイもあんまりに尊いんで、カッとなることが求められてるのさ。――最善はこの大陸を去ることだ。ここじゃあ狂気が浮浪者たちを人質に取れるようにってうろついてやがる。僕はシャムの王国へと入っていく。
 僕はまた自然を理解できるかな? 自分を理解できてるかな? 言葉はもうイラナイ。僕は胃の中に死を飲み込む。叫び声、太鼓、舞、舞、舞、舞! 白人たちが到来して、僕が悲惨へと転がり堕ちてゆくところでは、僕はまったく時間を認識することもない。
 飢え、乾き、叫び、舞、舞、舞、舞!

劣悪な血 ⑤

2004年08月09日 02:16

 まだ本当に幼かったころ、僕は監獄に閉じ込められた頑固者の囚人に憧れていた。僕は、彼が立ち寄ったからこそ輝いて見える民宿やらアパートなんかを訪れたもんだ。僕は彼の眼で、蒼い空や田舎の花咲く農作業を眺めていた。つまり僕は街中に彼の運命を感じていたんだ。彼は聖者よりも強かったし、旅人よりもわきまえていた――そして彼の名誉と理性の証というのは、彼ただ一人だけなんだ!
 路上で、冬の夜、宿も服もパンもなくて、一つの声が凍えた僕の心を抱きしめた。「脆弱、あるいは強靭。アンタはここにいる、それが強さだ。アンタは自分がどこへ行くのか、どうして行くのか知る由もないんだから、どこへでも飛び込んで何にでも答えるんだ。アンタが死体だったみたいに、誰もアンタを殺そうとはしまい。」朝になって、僕は呆然とした眼で、死んだような有様だったから、すれ違う人たちは、少しも僕を見なかっただろう。
 街では、突然泥が赤く黒く見えたんだ。ちょうど硝子越しにランプを揺らめかせたときの、硝子のように。森の奥の宝物みたいに!幸運を祈る、と叫ぶ僕は、空へと立ち昇る炎と煙の海を見た。それから、右に、左に、数え切れない稲妻のような燃え立つすべての豪奢を。

劣悪な血 ④

2004年08月08日 02:15

 出発は取りやめだ。この道をたどりなおそう。それからこの地を僕の悪徳で埋め尽くすんだ。僕の悪徳は――ものごころ付いたときから脇腹に苦痛の根を下ろしたけれど、死んだかと思うと僕を叩きのめして、僕をもとの器に戻しては引きずっていく。
 最後の純真と内気。言われてるじゃん。世の中に自分の苛立ちと偏見を持ち込まないでって。
 進め! 行進、重圧、砂漠、倦怠、そして怒り。
 僕は誰に雇われるんだろう? どんな猛獣を拝まなくちゃいけないの? どんな聖像を攻撃するの? どんなこころを壊してしまうの? どんな嘘をつき続けなくちゃいけないの? ――どんな血の中を歩めと言うの?
 むしろ、正義に気をつけろ。――キツイ人生、おめでたいほど馬鹿になること、――振り上げろ、ひび割れた拳を、棺の蓋を。そうすれば、老化もなく危険もない。恐怖なんて、フランスっぽくないでしょ?
 あぁ! 僕はあんまりにも見捨てられているから、どんな聖像にも完全への躍動を捧げるよ。
 あぁ僕の献身、あぁ驚くべき僕の慈悲! それなのにこの世では! 「深淵より、神よ」なんて、馬鹿だよ、僕は!

劣悪な血 ③

2004年08月07日 02:14

 異教徒の血液が再び迸る! 精神は近づいている、高貴とか自由を僕の魂にくれておきながら、なぜかキリストは僕を助けてはくれない。あぁ! 福音は広まった! しあわせな知らせ! キリストの教え。
 僕はコリもせずに神様を待っている。僕はずっと昔から劣等人種だ。
 僕はここにいるよ、ブルターニュの浜辺に。夕暮れに街の灯が燈ったらなぁ。僕の旅も終わった、僕はヨーロッパを出て行くよ。海の風が僕の肺を燃やしてしまうだろう。誰もいない場所の風が僕の肌を焦がしてしまうだろう。泳ぐ、草をすり潰す、とくに煙草を吸う。煮立った鋼みたいに強烈なリキュールを飲む。――炎の周りで親愛なる御先祖様のやったみたいにね。
 僕は鉄(はがね)の手足と褐色の肌、憤怒の眼を持って、帰ってくるのだろう。ぱっと見た目で僕が強い種族だってわかる具合に。僕は黄金を所有するだろう。有閑蛮族になるだろう。女性たちが灼熱の国から舞い戻った獰猛な不具者の世話をやく。僕は政界と関わるだろう。救われる。
 今の自分は呪われている。故郷が怖いんだよ。イチバンいいこと、それはめちゃめちゃ酔っ払って、砂浜で眠ってしまうことさ。
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劣悪な血 ②

2004年08月05日 02:12

 フランス史のどこか一ヶ所に、僕の前歴があったらなぁ!
 けど、ないね、全然。
 僕がいつも劣等種族だったことは、まったく明らかだ。僕には反抗が理解できない。僕の種族は略奪のためにしか決起しなかった。自分で殺してもいない獣に寄りつく狼どもみたいだ。
 僕は、カトリック教会の長女であるフランスの歴史を覚えている。僕は賤しくて、聖地への旅をしたのかもしれなかった。つまり、僕の脳裏にはシュエーベン平原の街道や、ビザンツ帝国の光景、イェルサレムの城壁が焼きついている。マリア崇拝と十字架に架けられた人への同情が、たくさんの異教徒の夢みたいに、奇麗な光景の真ん中で、僕は自分の内面へと覚醒する。――僕は、壊れた壷の上に、茨の上に、太陽に蝕まれた壁の傍で、ライ病に憑かれて、座っていた。――更に時代を下ると、傭兵になって、ドイツの夜空の下で野営をしていた。
 あぁ! まただ! 僕は魔女や子供たちと一緒に、灼熱の森の空き地で、魔女の乱舞を踊るんだ。
 僕はこの地とキリスト教以前のことは、記憶していない。この流れの中に自分を見出すのは、長くは続かないだろう。いつも独り。家族もない。それどころか、僕はどんな言葉を話していたの? 僕自身、キリストの集まりには決して見出せない。――キリストの代理人としての貴族たちの会合にも。
 前世紀には、僕は何者だったんだ? 現代にしか自分を見出せない。もはや流浪人もなく、曖昧な戦もない。劣等種族はこの世を覆ってしまった――人の言うように、人民と理性、つまり国民と科学ってやつさ。
 あぁ! 科学! 全ては修正された。肉体のために、魂のために、――臨終の聖体拝領だよ、――人は薬と哲学を持っている、――焼き直された善良なおばちゃんの治療薬と演歌だけどね。それから若い御子息たちの娯楽と、禁じられたゲームだね! 地理学、宇宙形状学、力学、化学……
 科学、新しい権威! 進歩ってヤツさ。世界は進む! どうして廻らないの?
 数の幻想さ。僕らは理知へと向かう。それはとても確かなこと。僕の告げた予言だから。ちぇ、わかったよ、異教徒の言葉なしじゃ自分を説明できないんだから、黙れって言うんだね。
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劣悪な血①

2004年08月03日 01:42

 僕は、先祖のガリア人から、青白い瞳、ガンコな頭、それから戦闘中での不器用さを受け継いだ。身なりもまた、連中とおんなじで、無骨なんだって判ったよ。髪にバターは塗らないけどさ。
 ガリア人は獣の皮を剥ぎ、草を焼いて、おまけにあの時代じゃあイチバンの阿呆だった。
 僕は連中から受け継いだんだ、偶像崇拝と冒涜を愛することを。――あぁ! すべての悪徳、憤怒、邪淫――素晴らしいよ、猥らって――特に嘘と怠惰。
 僕は仕事なんてみんな嫌いだ。社長と労働者、みんな小作人だよ、卑劣なもんさ。ペンを握る手だって鋤を握る手と同じさ。――なんだって手のための時代さ!――僕は決して手を持たないだろう。その後使用人たちはとても遠くまで連行される。僕は乞食の誠実さが哀しい。犯罪人は宦官みたいに反吐が出るぜ。僕? 僕は無傷さ、どうでもいいけど。
 けどさ! 誰が僕の言葉を、僕のナマケゴコロを導いて護ってくれる言葉を、こんなに不誠実にしたんだろう? まったく生きるために、自分の体を使うこともなくて、しかもヒキガエルと同じくらいな~んにもしないで、僕はどこでも生きてきたんだ。僕の知らないヨーロッパの家庭はないよ。――僕は、すべてを人権宣言から受け継いでいる僕の家族みたいな家庭のことを言ってるんだぜ。――御家族の御子息どもとも知り合ったもんさ。

*****

2004年08月01日 01:40

 かつて、僕の記憶が確かならば、僕の生活はすべての心が開かれた、すべての葡萄酒が溢れてた宴だった。
 ある夜、僕は膝の上に「美」を座らせた。―そしてそいつが苦々しいって解ったんだ。―それでそいつを罵ってやった。
 僕は正義に対して武装した。
 僕は逃げた。あぁ女魔術師たち、あぁ不幸せ、あぁ憎しみ、僕が宝物を閉じ込めたのは、おまえたちのところなんだ!
 僕は人間の希望すべてを僕のこころの中から消し去ってしまった。全ての喜びを越えて、希望を絞め殺すために、僕は仄かに、猛獣のように跳びかかった。
 僕は首切り人を呼んだ、滅び逝きながらその銃床に噛みついた。僕は疫病神を呼んだ、砂と血の海で自分を息詰まらせた。不幸せが僕の神だった。僕は泥の中に這いつくばった。僕は殺戮の空気を飲み干した。そして善良な顔立ちで狂ったふりをした。
 そうして春が白痴のぞっとする笑いを僕にもたらした。
 ところで、ついこの前、最後に「ゲッ!」って叫びそうになったとき、僕はまた自分が鍵を探し出そうと夢見てたことが解った。遠い昔の鍵だよ、もしかしたらまた欲を取り戻せるかもしれない。
 慈悲がその鍵だった。――このヒラメキは僕が夢見てた証拠だ!
 「おまえはハイエナのままでいなさい、云々…」、僕を愛すべきポピーの花で飾ってくれた悪魔が叫ぶ。「おまえの欲と、エゴイズムと大罪すべてで破滅してしまいなさい。」
 あぁ! そんなのはもう充分デス。――ですが、親愛なる大魔王、僕はあなたにお願いしたいのです、眼をそんなにも苛立たせないでクダサイ。そして遅れがちになってるチョットした無気力な感じを待っていてクダサイ。モノ書きのクセに、描写力とか教訓的な感覚なんかを失くしちゃってるのが好きな貴方様に、僕は自分のヒドイ日記のゾッとするような何ページかをお見せしましょう。
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