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王位

2004年11月30日 02:42

 ある朝、とても穏やかな人々の国で、ある素晴らしい男女が、公共の広場で叫んでいた。
 「みなさん、僕は彼女が王妃であることを望んでいるのです!」「私は王妃でありたいのです!」彼女は微笑み、微かに震えていた。彼は、友人たちに、眼の覚めるような発見や、過ぎ去った苦難について語りかけた。二人はぴったりとくっついて、うっとりとしていた。
 実際、それぞれの家へと真紅のタペストリーが立ち昇ってくる午前中ずっと、そして彼らが椰子のある庭へと歩み寄っていく午後の間中ずっと、二人は王と王妃だった。
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『チャイルド・ハロルドの巡礼』第3巻50連~51連

2004年11月29日 00:09

だけど貴女……(喜びのために)舞い踊る豊かな河!
美しさが永遠に続くような河岸を流れ抜けるよう、 
貴女の波音は祈りの言葉にしているけれど
人は、貴女の輝く創造物をそのままにしておくことは出来なかったし、
美しい(豊饒の)約束を、鋭い「衝突」の大鎌で刈入れることも出来なかった。
――美しい谷間の水を眺めることが、この地には
天のように輝きを敷き詰められていると知らせるだろう。
僕にとってはそんな風に見えるよう、貴女の流れに一体何が足りないの?
――レーテであるべきだったんだ。

幾千の戦いが貴女の河岸を踏み躙ってきたけれど、
戦いの名誉の半分も、すっかり消えてしまったね。
「殺戮」が血塗れの戦士たちを高く高く積み上げてきたのに、
彼らの本当の「棺桶」は、どこかへ行ってしまったね。
一体あれは何だったの?
貴女の流れは昨日の血を洗い流してしまって、
滲みは全て消えていた。それから陽の煌きが
揺らめく光の中で、貴女の澄んだ流れを映し出していたんだね。
なのに、全て消え去るように見えたとしても、
黒ずんだ追憶の枯れ果てた夢の上を、
貴女の白波は虚ろにうねっているだろう。

『チャイルド・ハロルドの巡礼』第3巻47連~49連

2004年11月28日 00:07

そこに城は立っている。
磨り減って、それでも卑しい群衆に身を落とさずに、
隙間風や雲で抱いてくれる暗闇との交わり以外
全て主なき気高いこころが立つように。
若く誇り高い昼もあったんだ。高きに旗々、
そうしていくつもの戦闘が、下の方で過ぎ去った。
戦士たちは血塗れの死装束に包まれて、
翻っていたものは、今の今迄引き裂かれてない塵なんだ。
だけど吹曝しの胸壁は、未来の打撃に耐えることはないだろう。

これら胸壁の下の方、あの壁の内側に
情熱に包まれた力があったんだ。威風堂々、
盗賊の首領はそれぞれに、自分の城を飾り立てた。
邪悪な熱意を傾けながら、永い時代の豪傑たちに
劣ることなく意気揚揚としていたよ。
歴史書の購われた1ページ、彼らを「偉大」と呼ばせる以外、
無法者の征服者は、何を望んでいたんだろ?
より広大な領土なの、虚飾に満ちた墳墓なの?
奴らの野望は温かく、こころと言えば英雄達と同じくらい
勇気に満ち溢れていたんだね。

連中の豪勢な争いと一騎打ちとで、どんな武功の数々が
記録されずに滅びたのか!「愛」は
恋する誇りがよく考えて(愛の)シンボル使って
盾に愛の印を加えるけれど、(愛が)鉄のこころの鎖帷子 
射抜いてしまったんだろう。だけど情熱の炎は燃え盛り
似たような激しい闘争と破滅の手綱をたぐり寄せた。
そして多くの人間が、なかなか綺麗な悪魔のために
(闘争・破滅を)勝ち取ったのさ。(愛は)廃墟の下の方、
変色したラインが流れているのを眺めてた。

断章

2004年11月21日 00:06

たとえ僕の歳月の河を
僕らの微笑みと涙 初めの泉へ 遡れても
枯れて果てた花の 時の果てた岸辺の間の
時間の流れを 僕は遡ることはないだろう
そして今のように流れろと命じるだろう――名も無い流れが一つへと
大きな潮へ 溶け合えるまで。
この死とは何――心臓の静止――
僕らが一部を担っているものの全体――
というのも、生とは空想に過ぎない――見えるもので
孤独に生きているもの全てが、僕にとっての生であり、
そして、そういうわけだから――見えぬものは死人なのだ、
我々を平静から引き離し、
周りにわびしい布を広げ僕たちを包み込み、
休息の時に哀しい想い出を纏わせるものたち。
見えぬものは死人なのだ――だって彼らは冷たくて、
決して嘗て僕たちが 心を留めて見たものであるの筈がない。
そして彼らは変わり果て―気色もなく――そうでなければ
忘れられない人々は全てを忘れられない――こうして引き裂かれているから――
――もし地や海の、深い障壁があるとしたら――
双方かもしれない、――だけどある日それは終わりを告げる、
無感覚の塵の暗い結合の内で。
地下の住人――彼らは土へと分解し、
混じり合った幾百万の人々に過ぎない――
千年の灰は広がり、どこであろうと踏まれてきて、これからも踏み潰される――
或いは静寂の街で、それぞれ解けあうこともない庵に、彼らは住まう――
それとも彼らは独特の言葉を持っているのか――呼吸無き存在の意識は――
孤独の真夜中のように 暗黒となり激しい意識が――あぁ地よ!
過去は何処――彼らは何のために生まれたのか?
死人は貴方を継ぐ者なのだ――僕たちは、
貴方の表面の泡沫にすぎない。貴方の深淵の鍵は
墓の中、貴方の人込みの 洞窟の門にあって――
そこで僕は 精霊へと歩み寄り――僕らの肉体が無数のものへと溶解し、
隠された不思議を見抜き、 今はもはや亡き
偉大な胸の真髄を 探し求めていたいのだ。
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オーガスタへの詩 <second>

2004年11月20日 00:06

僕の運命の日々が終りを告げて
宿命の星が衰えてしまってけれど
貴女の柔らなこころは 降り積もった過ちを
暴こうとはしなかった。
貴女のこころは 僕の嘆き悲しみを 解ってくれていたけれど
僕と分け合うことを 怯んだりもしなかった。
そうして僕のこころが彩られていた その愛は
貴女以外に見出せたりはしなかった。

僕の周りの自然が微笑んでいるよ、そんな時
僕の微笑みに応えてくれる最後の笑顔が
嘘つきだなんて 信じはしない。
だってそれが僕に貴女を想い出させるんだから。
それから僕にとっては 信じる胸であるような
海にとっては 風が戦にある時は
海のうねりが 気持ちを奮い立たせるならば、
それらは貴女から僕に導かれるべきものなんだ。

僕の望みが砕け散り 破片が波間に沈んでも、
こころが「痛み」に引き渡されても、――隷属に屈するワケじゃない。
僕に憑いて悩ませる 呵責がたくさんあるんだよ。 でも
呵責は(僕を)打ちのめしても、(僕を)蔑むことはないし、
僕を責めても 屈させようとすることはないだろう。
それは、僕が貴女を想うゆえだから――それ自体に苦しむわけではないからね。

人なのに 貴女は僕を責めなかった。
女性なのに 貴女は僕を見捨てなかった。
愛してくれたし 貴女は僕を苦しめないでいてくれた。
傷つけられても 貴女は決して揺らがなかった。
信じていたんだ。貴女は僕を否まなかった。
離れてしまった。だけど貴女から逃げたんじゃない。
慎重だけど それは僕を傷つけるためじゃなく
黙っているのも 世の中が嘘まみれだからだろう。

僕はこの世を責めないし、蔑んだりもしない。
「ある人」とたくさん喧嘩をする気もないよ。
もしこころが大切にするに値しないようなものだったのなら、
どうしてもっと早く遠ざけなかったんだろう?愚かだったね。
だけど愛を込めて、あの過ちが僕を苛ませるなら、
そしてそれが昔嘗めた辛酸以上であっても、
僕は解っている。僕が失ったものが何であれ、
僕から貴女を奪えはしなかったんだ。

枯れ果てた「過去」の骸からは
少なくとも たくさんの想い出が溢れ出す。
僕がイチバン大切にしていたもの、そして愛惜しんだものはみんな
それに値したものだったと告げた。
砂漠にも泉は湧いてくるし、
荒れ野にも樹はまだ在るし、
孤独でも鳥は歌う けれどそれは
僕のこころに貴女のことを語るんだよ。
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オーガスタへの詩 <first>

2004年11月15日 00:02

辺りがいちめんわびしいほどに暗くなり、
理性の光が憔悴してしまうとき――それは
僕の寂しい路を 更に険しくしてしまう
消え逝く光泪の他には何も 希望が流す涙もなくなるとき。

こころの夜更けの深淵に
こころの永久の抗いに
あまりに壊れやすすぎて 想われることを怖がりながら
弱さが望みを絶え果てて――冷静が離れて行くとき。

ツキが変わって――愛が遠く飛び去って
憎しみの槍が降り注ぐとき、
最後まで這い上がり輝いていた、
貴女はそんな 星だった。

あぁ!貴女の砕けない光、綺麗なままでいて!
だって天使の瞳のように 僕を見詰めて
傍で甘くいつまでも 輝きながら
夜との間に立ってくれていたんだもの。

だけど僕らの頭上には 貴女の光を遮って
闇をもたらす暗雲が 重たく圧し掛かってきたけれど
貴女の優しい炎が 純粋さを増して広がって
闇など全て 払ってしまった。

貴女の御魂は僕の中 未だに住んでいてくれて、
挑みに耐えるべきものを 僕に教えてくれるんだ。――
世の謗なんかより 貴女の優しい一言に
教わることがたくさんあるよ。

碑の上の方 優しい誠で その枝を
揺らしているから美しく 傾いでいるけれど
決して倒れることのない 美しい樹の立つように
貴女は立っていたんだね。

風が裂けて――空が降りつけても、貴女はそこに居てくれた――
そして今も尚 酷い野分の時でさえ 萎れた葉々を零すため
愛してくれているんだね。

そうしてどんな運命が僕に降りかかろうと
貴女と貴女の傍の人たちは 枯れ果てないと知るだろう。
だって陽射しに満ちた蒼天が その優しさに、――誰よりも
まず貴女に 報いてくれると思うから。

そのときにこそ 見せ掛けの愛の結びは解けるだろう、
――貴女との結びは決してほどけはしない。
貴女のこころは憐れむけれど、決して動じはしないだろう
――貴女のこころは柔らかだけど、決して揺らぎはしないだろう。

僕の傍では 何もかもが失われ、立ち去ってしまったけれど
貴女の中にはこれらのものが在ったし、今も交わりあっている。
――二人の絆がたくさんの試練に耐えた胸を和らげているんだから、
この大地は砂漠なんかじゃない。――僕にとってさえ、ね。

[題のない断章]

2004年11月02日 02:40

 7月の、ある曇り空の朝。死者たちの灰の味が空に漂っている。――火床の中で汗ばんでいる薪の香り、――水に浸っている花々――散歩道は荒れ果てていて――畑を流れる水路には冷たい霧雨、――どうしてもう玩具とお香ではいけないの?
          *   *   *
 鐘楼から鐘楼へ網張って。窓から窓へと花の綱。星から星へと金鎖。そうして僕は踊ります。
          *   *   *
 深い池は絶え間なく燻り続けている。どんな魔女が真っ白な夕空を前に立ち尽くすのだろう? どんな菫色の樹葉が降りてくるのだろう?
          *   *   *
 公共の基金が友愛の祭りで流出しているあいだに、雲の合間では薔薇色の炎の鐘が鳴り響く。
          *   *   *
 墨の快い味わいが掻き立てられて、僕の眠れぬ夜には柔らかい黒い粉が降り注ぐ。――僕はシャンデリアの灯を弱くして、ベッドに身を投げ出す。そして仄暗い隅に向いてみると、僕はあなたたちを認めるよ、僕の娘たち! 妃たち!


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