アダムの語り――『Paradise Lost』より

2005年04月30日 23:22

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神々しい天使がこうお話になると、我らの父親は言った。
どんなふうに人間の生命が始まったのかというのを話すことは、
人間にとって難しいことです。
だって誰が自分自身が生まれた日のことを知っているでしょう?
永い間、僕はあなたとお話したいっていう気持ちを持っています。
深い眠りから目覚めてみると、僕は爽やかな汗をかいて
花咲く草の上に横たわってることに気付きました。
その汗は太陽がすぐに光で湿気を吸い込んでくれて
乾いていきました。僕は驚いて眼を瞠り、天へと向けて、
本能的な身のこなしで跳ね起きて、努力しながら自分の足で
天へと立ち上がるまで、しばらく広い広い空を眺めていました。
僕が自分の周りを見回してみると、丘や谷、
陰の多い森や陽の光に満ちた草原や、
音を立てて流れている液体の溝がありました。
こういったものの傍に、生きて、動き、歩き、飛んでいる生き物たち、
そして枝の上で囀っている鳥たちがありました。
何もかもが微笑み、快くて、僕の心は喜びに溢れていました。
そこで僕は自分のことをよ~く調べて、足先まで見渡してみて、
しなやかな関節で活き活きした精力の赴くままに、
走ったり歩いたりしました。だけど、僕は自分が誰なのか、
何処にいるのか、何の原因で生まれたのかは、知る筈もなかった。
僕は話そうとすると、すぐに話せました。僕の舌は従ったから、
快く僕は自分の見たものに名前を付けることができたんです。
僕は言いました。「きみ、太陽、美しい光、
そしてきみは、鮮やかで陽気な耀う大地よ、
きみたち、丘よ、谷よ、河よ、森よ、そして平原よ、
生きとし生けるもの、動けるものたちよ、美しい生き物たちよ、
教えて、どうか教えてほしいんだ、きみたちがもし見ていたのなら、
どうやって僕はここへやってきたの?どうしてなの?
  (Milton著、『Paradise Lost』第七巻より)
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中原中也、未刊詩篇より『昏睡』

2005年04月27日 01:36

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 最近、自分の言葉で歌えない。言葉が枯れているのかもしれない。こころが言葉を紡げない…。歌詠みとしては失格。でも、無理に歌えば駄作になる。納得のできないものは、あまり歌いたくない。
 ゆうべ、自分の日記を書いている帳面に、太宰と中也の言葉を借りた。自分のこころを自分の言葉で歌えないけれど、彼らの言葉でなんとかこころを落ち着ける。――特に、中也の言葉は強い。悲しみの中に、存在を歌っているその中に、中也の心の強さがある。どうしたらいいかわからないし、自分を説明できるものは今は見当たらない。ただ、中也の言葉の中に、鏡に映った自分の姿を認められるのではないかと願う…。


『昏睡』 written by 中原中也(未刊詩篇より)
亡びてしまつたのは
僕の心であつたらうか
亡びてしまつたのは
僕の夢であつたらうか

記憶といふものが
もうまるでない
往来を歩きながら
めまひがするやう

何ももう要求がないといふことは
もう生きてゐては悪いといふことのやうな気もする
それかと云つて生きてゐたくはある
それかと云つて却に死にたくなんぞはない

ああそれにしても
諸君は何とか云つてたものだ
僕はボンヤリ思ひ出す
諸君は実に何かかか云つてゐたっけ

『The Kite』(『ラミアの白い凧』)

2005年04月24日 23:27

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 国際交流基金フォーラムで行われていたアラブ映画祭2005。何故か平日に上映するものが多くて残念だったけれど、ま、最近マイブームのレバノン映画がまた見れたので、今日はそのお話。
 有刺鉄線が張り巡らされたレバノンとイスラエルの国境地帯、ゴラン高原の村。少女ラミアは、弟たちと凧をあげているところから物語りは始まる。村の長老会議でイスラエル側の従兄のところへ嫁ぐことが決定され、彼女は歩きにくいウェディングドレスをたくし上げて向こう側へと続く道を歩く。(この過程でメガホンを使って向こう側へとやりとりをする叔母と母。だが、おおっぴらに聞こえてしまうため、イスラエル側の警備兵の見張台にも聞こえてしまう。「ラミア」という少女の存在は、こうしてイスラエル警備兵の知るところとなる。彼は、アラブ人だが、イスラエル軍の兵士。Shallot的には、かなり美景のお兄さんだと思ったナ…☆)だが、嫁ぎ先の旦那は彼女には指一本触れることなく、お互いの食わず嫌いに結果は終わり、離婚という運びに。この離婚をまたメガホンで遣り取りする時、彼女は警備兵のお兄さんの存在を知ることに。惹かれ合いながらも、結局彼女は再びレバノンの村へともと来た道を戻ってゆく。そして…。
 ストーリー的には、コミカルな反面、彼らの置かれている時事的状況が前面に描き出され、個人的な感情は殆どなきに等しい。
 Shallotは、警備兵のお兄さんがカッコよかったので、終始ご機嫌だったが、イスラムの女性たちの境遇が雑誌で取り上げられる現在にあって、西洋的価値概念が念頭にあることを認識しつつ言えば、イスラムの女性たちは改めて苦しい立場に置かれていると認めざるを得ない。彼女たちの人間的権利義務は、先進諸国と比較するならば、明らかに剥奪されているし、女性蔑視の存在も認めざるを得ない。この映画を鑑賞する上で、一つの鍵になるのは、この問題提起かもしれない。


2003年製作/80分/カラー/レバノン/35ミリ(パンフレットより)
監督 Randa Chahal Sabbag
出演 Flavia Behara, Maher Bsaibes, Randa Asmar,
   Renee Dick, Julia Kassar 他
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『These Days』

2005年04月23日 23:55

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 Bon JoviのCDを最初に買ったのはかれこれもう7年も前。メロディアスメタルにハマるきっかけになったんだよね、確か。たくさんのアーティストのCDを買いあさってきたけれど、詳しくバンドの歴史まで書けるのは多分Bon Joviだけだと思う。
 ところで、最近どうしてもいわゆる『生きる力』(←一時期教育改革でスポットライトを浴びてたけど、既に古びた言葉の一つになりつつある…。ゆとり教育って何だったんだろうね?)を出さなくてはいけない気がして、思わずCDを引っ張り出した。
 あ~、学部在学中の頃を思い出す…。
 『These Days』は、Bon Joviの数あるCDの中でも、最も好きなアルバムのうちの一つ。(個人的には『CRUSH』の次に好き。)全体がメロディアスっぽい曲風になっており、スランプを脱したばかりのBon Joviの雰囲気を十二分にも伝えている。
 薄暗い夕暮れの青褪めた部屋で、8曲目『(It's Hard) Letting You Go』を聴いたりすると、切なさ倍増間違いなし。
 Bon Joviが好きな理由の一つに、かなり社会派的な歌詞が多いってこともある。この社会の矛盾を歌い紡ぐ彼らの歌詞には、このやりきれない世の中を生きていくために、Johnが両親から学び取ってきた強靭な精神力もあるけれど、それが見事に歌詞内容に昇華されているということ。『These Days』や『Something To Believe In』にはそういった側面が多分に見受けられるだろう。だからこそ、元気を出したい時には彼らの曲が栄養になるんだろう。
 矛盾だらけの人間社会。それを生き抜くには、ちょいとばかりBon Joviの音楽が必要だ。

コロセウムに寄せる瞑想④ (stzs.134-137)

2005年04月23日 00:25

(『チャイルドハロルドの巡礼』第四巻から)

もしも僕の声が迸るなら、もはや苦しめられるものに
怯んでるってことじゃない。僕の顔に堕落を認めたって奴には、
僕の心を焦燥させる動揺を見たって奴には、
喋らせておくがいいよ。
けれど、このページに記録しておくぜ。
たとえ僕が灰に還るんだとしても、これら僕の言葉は
大気の中へと溶け出してゆくことはないだろう。
遥かな未来に、この詩の深い予言的なゆとりが撒き散らされて、
人々の頭には僕の降り積もった呪詛的呪文が降りかかるだろう!

その呪文は『寛容』ってことだろうね。――そうじゃなかったら――
聞いてくれ、母なる大地よ! 見てくれ、天よ!
僕は自分の運命に全力投球の必要はなかったの?
僕は許されるべきものに苦しんできたんじゃなかったの?
僕は自分の脳髄を焼き焦がし、心を引き裂いて、希望を搾り取り、
名を枯れさせて、人生の精気を偽られたのではなかったの?
けど、絶望ばっかりに押し込められてきたんじゃない、
だって僕は自分が眺めた人の魂までも蝕むような、
そんな土塊になりきっちまっちゃいないんだから。

莫大な悪事からちっぽけな裏切りまで、
人間が出来たことを見てきたんじゃないの?
口に泡吹く中傷のウザいどよめきから
似たり寄ったり卑劣な連中のちゃっちい囁き声や、
意地悪連中の、気付かぬうちに効いてくる毒まで、
意味ありげな眼を持つ両面神の眼差しは、
沈黙を守りながらも、真実のように見えるだろう、
そして無言のまま、肩をすくめたり溜息ついたりせずに、
シアワセな阿呆どもに面と向かいながら、
    言葉に出さない中傷を投げつけることだろう。

しかし僕は生きてきた、虚しくは生きなかった。
僕の心は強さを失くし、血液は熱情を失くし、
そして体は苦悩を抑えるうちに滅びるかもしれないけれど、
僕の内には苦しみと時を飽きさせてしまうものがあって、
それは僕が滅びたときに呼吸を始めるものでもあるよ。
酷く恐ろしいもの、連中の思いもよらなかったものが、
鳴らない竪琴の忘れられない音色のように、
連中の穏やかになったこころへと沈み、岩のように堅い心の中で、
今や手遅れになった愛の後悔を呼び醒ますだろう。

バイロンの命日に

2005年04月19日 23:30

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【On this day I complete my thirty-sixth year.】
            Written by Ld.Byron in 1824

'Tis time the heart should be unmoved,
Since others it hath ceased to move:
Yet, though I cannot be beloved,
Still let me love!

My days are in the yellow leaf;
The flowers and fruits of love are gone;
The worm, the canker, and the grief
Are mine alone!

The fire that on my bosom preys
Is lone as some volcanic isle;
No torch is kindled at its blaze--
A funeral pile.

The hope, the fear, the jealous care,
The exalted portion of the pain
And power of love, I cannot share,
But wear the chain.

But 'tis not thus--and 'tis not here--
Such thoughts should shake my soul nor now,
Where glory decks the hero's bier,
Or binds his brow.

The sword, the banner, and the field,
Glory and Greece, around me see!
The Spartan, borne upon his shield,
Was not more free.

Awake! (not Greece--she is awake!)
Awake, my spirit! Think through whom
Thy life-blood tracks its parent lake,
And then strike home!

Tread those reviving passions down,
Unworthy manhood!--unto thee
Indifferent should the smile or frown
Of beauty be.

If thou regrett'st thy youth, why live?
The land of honourable death
Is here:--up to the field, and give
Away thy breath!

Seek out--less often sought than found--
A soldier's grave, for thee the best;
Then look around, and choose thy ground,
And take thy rest.

【この日、三十六歳を終わる】

いまは、この胸をさわがすときでない
すでに人の胸をさわがさぬ身となったのだ。
しかし、人が私を愛することはなくとも
なお私を愛しつづけさせよ!

私の日々は、黄ばんだ朽葉につつまれ
愛恋の花々も実も落ちていった。
木々を食いあらす虫さながらに
憂愁のみが私のものである。

わが胸を焼きつくす火こそ
いずこかの火の島のようにさびしい。
その焔に、一本の導きの炬火も燃えず
そこに積まれたのは埋葬のたき木だ。

希望、恐怖、熱狂的な執念
高貴な苦悩、愛の魔力
それらすべてが、私からうしなわれ
身に負うのは、やだ鉄鎖である。

しかし、このように、この地において
いま、もの思いに心を奪われるべきではない。
この地こそ、栄光は英雄の柩にかがやき
この額にかざるにふさわしいところだ。

私のめぐりに見るのは
剣、旗、戦場、そして栄光とギリシアとである。
自らの楯に乗って帰ってきたスパルタ人も
かくも自由ではなかったのだ。

めざめよ!(すでにめざめたギリシアにいうのではない)
わが魂よ、めざめよ! 思ってもみよ、「何びと」を経て
わが生命の血が、その源に泉から流れてきたかと
そして、ましぐらにその源へもどれよ。

ふがいない、わが壮年の日々よ
またしてもよみがえる情熱の火を踏みにじれ
美しいものの微笑にも、ひそめた面にも
いまは心をとどむべきではない。

青春を悔いるならば、なにゆえに命永らえるか
栄光の死をとぐべき国がここにある
起って、戦場に馳せてゆき
おまえの生命をささげつくせ。

求めずして見出されることの多いものだが、
兵士の墳墓こそ、おまえに最善のものだ
はるかに見わたし、ふさわしい地をえらび
大いなる憩いにつけ。
    (阿部知二訳、新潮文庫『バイロン詩集』、1951) 
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コロセウムに寄せる瞑想③ (stzs.132-133)

2005年04月18日 00:24

(『チャイルドハロルドの巡礼』第四巻から)

そしてあなた、依然として人間の不正を量る天秤を
傾いたままにはしておくことは決してしない、偉大なネメシス!
ここは古代の人々が永くあなたに誓ったところ――
あなた、深淵より怒りの精を呼び寄せて
復讐者の周りで報復行為に対する罵声を
酷く浴びせよと命じたひと――公正に、
もっと違った遣り方をしていたならばと――
このローマ帝国の中にあって、僕はあなたを亡骸から呼び覚ます!
僕の鼓動が聞こえるかぃ?――目覚めるんだ!
目覚めるべきだ、そうでなくちゃいけないよ。

僕の祖先たちのために、あるいは僕自身のために
背負っている傷口を、僕は自分で開かなかったかもしれなくはない。
もしも義に叶った刃で負わされた傷だったなら、
その傷口からは手当てもされずに血が噴き出していただろう。
けれど今や僕の血が大地へと沈むことはないのさ。
僕はあなたに自分の血を捧げているんだよ。――
あなたは報復を選ぶだろう、やがて探し出される報復を、
もしも僕が同じ目的のために報復を選ばなかったなら――
だけどもう終わりにしよう――
     僕が黙ってもあなたは目覚めているだろうけど。

Parade (客寄せ道化)

2005年04月17日 23:26

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【客寄せ道化】  written by Arthur Rimbaud
 めっちゃ頑固な道化たちだ。何人もの連中がアンタがたの世界につけこんできたもんだ。連中の輝かしい能力やアンタがたの良心に対する経験を生かすように急かすなんて、必要もないし実際殆どないさ。なんて物分かりのいい大人なんだろう! 眼は真夏の夜みたいに赤と黒で、三色旗の色で、黄金の星たちのチクチクするような鋼みたいにボォーっとしてる。歪んで、鉛色で、青褪めていて、焼き払われたみたいな赤い顔つき。陽気なハスキー声! 安っぽいケバケバしさの惨めな足取りだね! ――若いのも何人かいる、――連中はケルビーノちゃんをどんなふうに見るんだろう?――気味の悪い声色とアブナイ性質を兼ね備えた連中だからな。趣味の悪い豪華さを身に纏わされて、街に尻を出しに投げ出されるのさ。
 あぁ猛り狂ったしかめっ面の、最悪に蛮行なパラダイス! アンタがたの幻術師やらその他舞台の道化なんて較べものにならないぜ。悪夢の味がするナンチャッテ衣装で、連中は哀歌や、盗人と、歴史や宗教が今まで決して為し得なかったような精神性のある半身半獣たちの悲劇や、支那人、ホッテントット、ジプシー、愚者、ハイエナ、モロク神、昔馴染みの白痴、不気味な悪魔などを演じるのだ、連中は人気のママっぽい仕草に、ドーブツ臭いポーズと愛情をごちゃまぜにする。新しい芝居と「イイ娘」の唄を歌うだろう。芸人の巨匠だぜ、場所と人物を次々変えて、魅惑的な喜劇を使うんだ。眼は燃え立ち、血は歌い、頭蓋は肥大し、涙と赤い糸が滴り落ちる。連中の嘲りや恐怖は続く、ほんの数分、あるいはまるまる何ヶ月かの間ね。
 俺は、このクレイジーな客寄せ道化の鍵を、唯一握っている。
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冬の戻りも…

2005年04月17日 00:23

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 冬の戻りもこれが最後かと思いつつ、春とは言ってもまだまだ夜はどことなく寒かったりして。こうしてだんだん冬も終わっていくのですね…。冬が好きな私としては、寂しいような…。そんな心持ちで、いよいよ春の女王、八重桜の咲き誇る季節になりそうです…。

Diez Miradas

2005年04月10日 00:22

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 東京都写真美術館で開催されている『スペイン現代写真家10人展』。一時期(厳密に言うと、日韓ワールドカップの時)アルゼンチンにはまりまくった挙句、スペイン語圏文化に凝った私としては、どことなく惹かれる展覧会だった。
 今回は、アルゼンチンとは関係なくて、まったくスペインの写真家さんたちが撮影した写真展。カトリックという宗教が写真のどこからともなく漂ってくる。
 私が最も魂を揺さぶられたのは、中でもJose Manuel Naviaの作品群。霧の中に佇みながらも何かものを想いながら歩く女性の写真をはじめ、たくさんの、どこか幻想的であり、どこか哀愁の漂う世界…。
 すっかりNaviaの写真の世界へ入り込んでしまっていた…。
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Torquay(トーキー)の水仙

2005年04月03日 23:30

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 毎週日曜日のNHK総合では、午後7時半になると、Agatha Christieの小説をアニメ化した番組をやっている。だいぶ前(祖母が手紙で「とても夢中になっています」と書いてよこして)以来、私もちょくちょく見るようになった。ただし、シリーズがあって、「○回シリーズ」で見ている。そして、先月からなんと4回シリーズ(Sleeping Murder)で、初回を見てしまったばっかりに、連続4回見る羽目に…。で、今日はその最終回。
 ところで、この番組の最後には、必ずAgathaゆかりの場所を紹介するコーナーが放映される。しかも、圧倒的にAgathaの故郷のTorquay周辺が多い。
 港町大好きっ子の私が、初めてイングランドへ行ったとき、選んだのはこのTorquayという場所だった。もうだいぶ前。だから、このコーナーでTorquayの映像を見るたびに嬉しくなってしまう。選んだときは、Agathaのゆかりの土地だとか、BabbacombeにはOscar Wildeが滞在したことがあるとかいうことなんて、全然知らないで、行った後で発見したのだった。素敵な港町。水仙の咲く早春だったから、街は少し閑散としていたけど、それがまたなんとなく素敵だった。
 海辺の小さな水仙。Wordsworthの詩ほどたくさんは咲いていなかったけど、春風に揺れている黄色い姿は忘れられない…。
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コロセウムに寄せる瞑想② (stzs.130-131)

2005年04月03日 00:23

(『チャイルドハロルドの巡礼』第四巻から)

あぁ<時>よ! 死人を美しくするもの、
廃墟を飾るもの、こころが血飛沫くと慰めてくれるもの、
そしてただただ癒してくれるもの。――
<時>! 僕らの判断が間違っていれば正すもの、
真実と愛の試験官――ただ一人の哲人、
だって彼以外はみんな詭弁家だから、
遅れてもゼッタイになくならない蓄積――
<時>よ、仇を討つ者よ!
あなたに僕は自分の手と瞳を向けますから、
その蓄積から僕にお恵みをクダサイ。

あなたがより優れた侘しさで、社と寺院を創り出した、
この残骸のまんなかに、
あなたの壮大な生贄のまんなかに、僕の残骸が、
少ないけれど宿命に満ちた、歳月の残骸があるんだよ。――
もし僕があんまりノボセてるって見えるんなら、
僕の言い分なんて聞かなくっていいさ。けど、もしも冷静に、
僕はラッキーなことに、僕さえ踏み潰せない憎悪に対して
誇りを持ち続けてるとするならば、お願いだから、
こころの中までガンジガラメにしないで欲しいよ。
――ヤツラを嘆かせてやんなくちゃね。

Golden Threads

2005年04月02日 01:27

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春は夢を紡ぎます
悲しい悲しい春の夢

春は涙を落とします
清らな夢に微笑んで

紡がれた涙は降り注ぎます
光の中へ花の園へと

春の睡み 柔らかに
光の糸を 紡ぎます
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