玉の緒よ…

2006年04月24日 00:24

春の雲



Alas, my soul!
You should vanish away
If you vanish: if you keep yourself
Living in vain,
You’ll wither yourself
Not to be able to bear your
Lonliness.

【元歌】
玉の緒よ たえなばたえね ながらえば
忍ぶることの 弱りもぞする
           式子内親王
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啄木の言葉たち

2006年04月22日 22:19

pierres bleues

石川啄木 作
『一握の砂』『悲しき玩具』より

薄れゆく 障子の日影
そを見つつ
こころいつしか暗くなりゆく

   *

しっとりと
酒のかをりにひたりたる
脳の重みを感じて帰る。

   *

新しき明日の来るを信ずといふ
自分の言葉に
嘘はなけれど――

   *

馬鈴薯のうす紫の花に降る
雨を思へり
都の雨に
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雑草

2006年04月18日 22:15

tampop

【雑草】

もう少し陽のあたるところだったなら
もう少し雨の降りそそぐところだったなら
もう少し人の通わぬ道なら
もう少し土のいいところなら

アスファルトの裂け目から
罅割れた溝の脇っちょから
生まれたたんぽぽの花
黄色く元気に咲きました

もっとお空へ近づこう
もっと風にふれてみよう

近くで野球をする声がする
近くで車のエンジン音
近づく子供の足音たち

べしゃっ

みしみしっ
べしゃっ

野球のボール
車のタイヤ
ゴム靴の底

枯れたわけじゃない。
薔薇やスミレのように、美しくは咲けない。
誰に愛でられるわけじゃない。

雑草。

買われた花とは一緒にならない。
踏まれても、踏まれても、

お日様の光がちょっぴりあれば、
雨の恵みがちょっぴりあれば、
何度だって立ち上がる。
枯れるまで。
枯れ果てて駄目になってしまうまで。

ナメんなよ。 

春の日の歌

2006年04月15日 01:17

春の日の歌

【春の日の歌】 中原中也 作

流よ、淡き 嬌羞よ、
ながれて ゆくか 空の国?
心も とほく 散らかりて、
ヱジプト煙草 たちまよふ。

流よ、冷たき 憂ひ秘め、
ながれて ゆくか 麓までも?
まだみぬ 顔の 不可思議の
咽喉の みえる あたりまで……

午睡の 夢の ふくよかに、
野原の 空の 空のうへ?
うわあ うわあと 涕くなるか

黄色い 納屋や、白の倉、
水車の みえる 彼方まで、
ながれ ながれて ゆくなるか? 
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『一握の砂』より

2006年04月12日 01:37

harunomatsu

「さばかりの事に死ぬるや」
「さばかりの事に生くるや」
止せ止せ問答

      石川啄木
       (『一握の砂』より)

ia io, ia io! と ae ao, ae ao!の違い。

2006年04月07日 01:38

スミレの森の奥で

【ブリュッセル】 ランボオ作 中原中也訳
     七月。レヂャン街。

快きジュピター殿につゞける
葉鶏頭の花畑。
――これは常春藤の中でその青さをサハラに配る
君だと私は知ってゐる。

して薔薇と太陽の棺と葛のやうに
玆に囲はれし眼を持つ、
小さな寡婦の檻!……
          なんて
鳥の群だ、オ イア イオ、イア イオ!……
穏やかな家、古代の情熱!
ざれごとの四阿屋。
薔薇の木の叢尽きる所、陰多きバルコン、
ジュリエットよりははるかに下に。

ジュリエットはアンリエットを呼びかへす、
千の青い悪魔が踊ってゐるかの
果樹園の中でのやうに、山の心に、
忘れられない鉄路の駅に。

ギタアの上に、驟雨の楽園に
唱ふ緑のベンチ、愛蘭土の白よ。
それから粗末な食事場や、
子供と牢屋のおしゃべりだ。

私が思ふに官邸馬車の窓は
蝸牛の毒をつくるやうだ、また
太陽にかまはず眠るこの黄楊を。
              とにまれ
これは大変美しい! 大変! われらとやかくいふべきでない。

     *

――この広場、どよもしなし売買ひなし、
それこそ黙つた芝居だ喜劇だ、
無限の舞台の連なり、
私はおまへを解る、私はおまへを無言で讃へる。
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花のたましい

2006年04月04日 00:14

hananotamasii

【花のたましい】 金子みすず作

ちったお花のたましいは、
みほとけさまの花ぞのに、
ひとつのこらずうまれるの。

だって、お花はやさしくて、
おてんとさまがよぶときに、
ぱっとひらいて、ほほえんで、
ちょうちょにあまいみつをやり、
人にゃにおいをみなくれて、

風がおいでとよぶときに、
やはりすなおについてゆき、

なきがらさえも、ままごとの
ごはんになってくれるから。
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春の緑

2006年04月03日 20:21

tsubotajyunyacompass

ふとした気まぐれから、昔よく通っていた画廊へ。最近は忙しさにかまけて、足が遠のいてしまっていたのだけど、オープン当時から、洗練された作品が多かったので、大好きでした。アートスペース羅針盤。本当にとっても素敵な画廊。

今週は坪田純哉さんの個展が開催されていました。ご本人も「緑にも新たに挑戦してみました☆」と仰っておられた、会場唯一の緑の作品は、太陽の下に輝く苔のようで、春から夏へと向かう空気を暗示しているかのよう。小さな奥の部屋にはパステル画が一枚あって、こちらもふんわりとした雰囲気が、どこかの川のほとりのよう、春の森のよう。

現代日本画って、素敵。
日本画の画材は、触れたことがないのですが、透明感を演出するにはもってこいなんだと思います。今回の坪田さんの作品も、無限に広がる春の空気・空・水・桜・音が大きく響いているものばかり。初めてお目にかかった作品だったけれど、とっても魅了されて帰ってきました。

またどこかの展覧会でお目にかかれたら嬉しく思います☆

黄色い水仙

2006年04月02日 20:33

桜ばかり見ないで…

あなたは桜を見なくていいの?

私の上には はるか高く
梢の上まで 薄紅色
誰も彼もが 遠くのほうから
桜の枝に 見とれてしまって
私など 私など 本当に小さく 写真の隅
小さく 小さく 写されるだけ

 もう桜が散り始めている
 咲いても 散っても 憧憬のように
 人は 梢を 見上げてる

桜の下にちっぽけな 黄色い水仙が一輪
宝石のように 美しく
露に濡れて 立ち尽くしている
頬には春の 柔な雨が
惨めさを 演出しているのであります

春の消息

2006年04月01日 01:48

fairytale of spring pink

【春の消息】 中原中也 作

生きてゐるのは喜びなのか
生きてゐるのは悲しみなのか
どうやら僕には分らなんだが
僕は街なぞ歩ゐてみました

店舗々々に朝陽はあたつて
淡い可愛い物々の蔭影
僕はそれでも元気がなかつた
どうやら 足引摺つて歩いてゐました

   生きてゐるのは喜びなのか
   生きてゐるのは悲しみなのか

こんな思ひが浮かぶといふのも
たゞたゞ衰弱てゐるせいだろうか?
それとももともとこれしきなのが
人生といふものなのだらうか?

尤も分つたところでどうさへ
それがどうにもなるものでもない
こんな気持になつたらなつたで
自然にしてゐるよりほかもない

さうと思へば涙がこぼれる
なんだか知らねえ涙がこぼれる
  悪く思つて下さいますな
  僕はこんなに怠け者
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