incense

2007年06月30日 14:07

poppy in may 07

垂れ込めた灰色の空の下
黄金の寺院の中
僧侶たちの低い声が響く
美しく彩られた儀式
香が馨しい匂いを放ちながら
身を滅ぼしてゆく

そのように

垂れ込めた灰色の空の下
都会のオフィスの一室
空調機の低い音が響く
色褪せた形式的な会議
私が酷い悪臭を放ちながら
日を永らえている

すべては灰へ還る

大気の中に取り残されたもの
熱帯夜の冷気

祈祷の残香
夜毎彷徨う生霊が
煙のように醒めてゆく
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月の男

2007年06月24日 20:10

lily migimuki

月の男
あんまり早く降りてきて
北の街への道を訊いた
南回りで行って
口に火傷した
冷たい葡萄粥すすって

The man in the moon 
Came down too soon, 
And asked his way to Norwich; 
He went by the south, 
And burnt his mouth 
With supping cold plum porridge. 
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眠りの妖精

2007年06月23日 23:39

Wee Willie Winkie


ちっこい眠りの妖精さん ナイトウェアに身を包み
上の階へ 下の階へ 町をびゅーんと駆け抜ける
行く先々で窓を叩いちゃ 鍵穴越しに叫ぶのさ
坊ちゃん 嬢ちゃん お眠りか? 夜も夜更けの真夜中さ

Wee Willie Winkie runs through the town,
Upstairs and downstairs in his nightgown, 
Tapping at the window and crying through the lock,
Are all the children in their beds, it's past eight o'clock?
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オレスト・キプレンスキー作 『若い庭師』 ほか

2007年06月17日 19:24

若い庭師

 来月7月8日まで、上野の東京都美術館で開催中の「サンクトペテルブルグ国立ロシア美術館展」に行ってきました☆ ロマン派大好きっ子の私としては、かなり楽しめる画風の作品が多くて、面白かったです。

 美形男性美術品チェック係(?)の私として、「是非書かなくては!」という作品に出逢ってしまいました☆

 オレスト・キプレンスキー作『若い庭師』(1817)年です。Shallotの守備範囲の中では、最若年に入りそうです…まず、左手で握っているのが、多分庭仕事に必要な、鉄の物体。多分納屋にいる彼は、干草から出ている雑草とともに描かれています。で、雑草が小さい花をつけているので、それがとても可憐です。眼は、一瞬「死体か?!」と思ってしまうほど、光がありません。力なくうなだれているのかなぁと思うけれど、左手にがっちり力が入っているようなので、この人が生きていることを認識します。
 髪の毛の艶も素敵です。多分帽子をかぶっているのですが、闇に溶け込んでしまって曖昧模糊としています。光と影のコントラストが強烈です。そして、この絵画自体はとても影が多い。

 影のある青年ということは、それだけ疲れているのかもしれません。でも、左手の力強さは、生きていこうとする彼の、意思なのかもしれません。
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死の川面のさざ波は

2007年06月17日 02:29

アイヤ岬の嵐

【呪文――ある狂想曲より】シャーロット・ブロンテ作

死の川面のさざ波は
咲き誇る薔薇を覆います
大切なものもその人も
お墓の深くに眠ります
熟れたて果実は落ちました
煌めく桜花も散りました
その花はうち遣られたまま
ただひとり萎れてゆきます
やがて天へと膨らむは
垂れこめた暗い真っ黒雲
その垂れ布は引き裂かれ
そうして呪文が解き放たれて
黒雲がゆらりゆらりと立ち昇る
垂れこめた空の裂け目から
よそかぜかすかに吐息をついて
垂れ布の上を吹き抜ける
高みには さすらう神の力が在った
眩いばかりのその呪文
垂れこめた空の産声とともに
強く巧みに投げかけられた
御力はまだまだ御健在
何人たりとも抗えない
魔力がそこに在るのだけれど
何人たりとも振り払えない
夜警よ 星と影の鏤められた 闇のときを見詰める者よ
やがて影は滅びるでしょう やがて星は消え逝くでしょう
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星がきらきら浮かんでる

2007年06月11日 19:09

a bench by the river

知り合いの子供の答案用紙から珍解答。

①対義語 はじまる←→はまる
②空所補充 「星がきらきら浮かんでる
       (模範解答:星がきらきら輝いている

「子供は詩人です」…というマザーグースの本に書いてあったことを感じてしまいました…悔しいけど。

知り合い大学生の男の子Sくんのつぶやき。
「誰にどう思われているのかを知れるリストが欲しいなぁ」
この状況で、自分の対人内面を暴露されたら、
人間関係が一気に壊れます… できれば御勘弁。

人間はね、
知らないほうが幸せなことがたくさんたくさんあるのです。
知らないですむならそれに越したことがない想いや、
そのほうがうまくいく現実もたくさんたくさんあるのです。
Help me!><

青空

2007年06月10日 01:43

brilliant rose with shining

POM!っとビー玉落ちまして
もぅもぅとけむが立ち昇る
シュウシュウ昇る あぶくたち
何もかも溶かしてしまいましょう

     *

何もかも 青空へと溶かせるのなら
あの真っ白な綿飴も
海の底の深くから 昇る泡にさらされて
とおく 光の帝国へと入れるのに

この海の底から立ち昇る泡も

この胸の底から立ち昇る慾も

綿飴が溶けた青空は
甘く美しいラムネ
軽薄な薄い緑に染まり
歪んだ瓶の中身は
実体のない



されど
この脳裏に焼きついて
決して消えぬ幻想
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懐かしい河への歌

2007年06月08日 18:06

kawanohuukeinadoha

【Sonnet: To the River Otter】by Samuel Taylor Coleridge

Dear native brook! wild streamlet of the West!
How many various-fated years have passed,
What happy and what mournful hours, since last
I skimmed the smooth thin stone along thy breast,
Numbering its light leaps! Yet so deep impressed
Sink the sweet scenes of childhood, that mine eyes
I never shut amid the sunny ray,
But straight with all their tints thy waters rise,
Thy crossing plank, thy marge with willows grey,
And bedded sand that, veined with various dyes,
Gleamed through thy bright transparence! On my way,
Visions of childhood! oft have ye beguiled
Lone manhood's cares, yet waking fondest sighs:
Ah! that once more I were a careless child!

<語注>
* native: 生まれ育った
* streamlet: 小川、細流
* various-fated: さまざまに運命づけられた
* last: 最後に
* skim: (石などを)水面すれすれに投げて飛ばす
* smooth: 滑らかな
* thy breast: Otterの河の懐のこと。
* numbering: ~を数えながら
* leap: 飛ぶ、跳ねる
* impressed: 印象付けられた
* sink: 沈む
* amid: [文]~の真ん中に、~の中で(=among)
* ray: 光、閃き、輝き
* bed: (動詞)~を敷き詰めた
* vein: 脈をつけられた、筋のある
* dyes: 色合い
* gleam: 煌く、輝く、光る
* transparence: 透明な
* beguile: だます、魅了する、迷わせる
* care: 心配
* waking<wake: ~を目覚めさせる、呼び覚ます
* fond: 大好きな、楽しい
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2007年06月07日 12:43

20070607124503
私は
破れた心臓を
もとに戻せぬまま
花咲く荊の道を
歩いてゆく
素足のまま

夕焼けはなんで赤いの?

2007年06月06日 15:32

ayamenohana in a station

夕焼けはなんで赤いの?

 それは
 滅びゆく太陽が
 月の光に射抜かれた
 心が痛くて
 血の涙を流しているから
 溢れる涙を止められなくて

 空の高くで嘲笑う
 青藍い衣を引きずった
 月の女神に恋をして
 敗れた己が口惜しくて

<よみかた>
青藍い:あおい
口惜しい:くやしい
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死者のための祈り

2007年06月02日 14:29

kiiroiohana

【Requiescat】 by Oscar Wilde

Tread lightly, she is near
Under the snow,
Speak gently, she can hear
The daisies grow.

All her bright golden hair
Tarnished with rust,
She that was young and fair
Fallen to dust.

Lily-like, white as snow,
She hardly knew
She was a woman, so
Sweetly she grew.

Coffin-board, heavy stone,
Lie on her breast,
I vex my heart alone,
She is at rest.

Peace, peace, she cannot hear
Lyre or sonnet,
All my life's buried here,
Heap earth upon it.

<語注>
* tread lightly: そっと歩く
* speak gently: 穏やかに言う
* daisies<daisy: 雛菊
* tarnish: 変色する
* rust: 錆び
* hardly: ほとんど~ない
* coffin: 棺
* vex: ~を苛立たせる、悩ませる、掻き乱す
* at rest: 眠って、静止して、永眠して
* peace peace: しっ、しずかに!
* lyre: 竪琴
* sonnet: 14行詩、ソネット
* bury: 埋める
* heap: 積み上げる
* earth: 土

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