ひかりの王国

2007年07月29日 23:49

hikari4

むかし
おばあさんがいいました
「わかいひとはいいわね」って

そのとき
わたしはまだ こどもだったから
「わかいひとはいいわね」の意味が
わかりませんでした
あのとき
「わかいひとはいいわね、なんて
言うようなおばあさんにはならないぞ」なんて

ほんとうに
わかすぎたのかもしれません

   *   *   *

真夏の
雨上がりの午後
涼風に揺れる柳の下
耀うわかいひとたちのゆめ
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あの子

2007年07月28日 14:00

白花

あの子はしあわせ つれてくる
まっしろしろの小さな仔猫
褐色いろの鈴つけて
闇夜のだぁれもいない道
ちりちり ってきえてゆく

あの子はしあわせ つれてくる
まっしろしろの小さな花
微かなかおりを漂わせ
闇夜のだぁれもいない庭
ぱらぱら ってきえてゆく

あの子はしあわせ つれてくる
まっしろしろの小さな貝殻
むかしの微笑み思い出し
闇夜のだぁれもいない海
さらさら ってきえてゆく
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ユトリロ展@千葉県立美術館

2007年07月27日 13:38

千葉県美モンマルトル(ユトリロ)

 千葉県立美術館で、祖父の好きだったユトリロの展覧会があるというので、相方に連れて行ってもらいました。ユトリロの絵画を見るといつも、亡くなった祖父がユトリロの何が好きだったのだろうかという、答えの出ない思いにとりつかれます。

千葉県美モンマルトルのアベス広場

 戦前のパリの空気を読み込んだ絵は、さしづめ祖父の青春時代を描いているようです。私は、ユトリロの白い絵画が好きです。雪の日の絵はどれも素敵で、特に絵の具がいっぱい塗りこめられているものは、雪の湿った重みと、パリの冬の空気が絵の中できらきら光っているように見えます。ユトリロの絵画に出てくる人物は、現代の私の目にはレトロ感がたっぷり伺えるのですが、カワイイものもおおくって、あの時代のシャネルがどうしてファッション改革と評価されたかがよくわかります。なんか、あったかい。

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爆弾

2007年07月25日 10:59

黄色いコスモス

ひとを嫌いになるときは
 いちばんじぶんを 嫌いになる

からまわりのよる
 膿んだ熱帯夜の空
  棕櫚の枝さえシカト

あさ
 脳のうしろに爆弾を抱えたら
  おうちのドアを開こう
   コンクリートのオフィスに向かって
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sandy midnight of a flower birth

2007年07月19日 23:50

these red roses

砂漠のすなが もう
あたりいちめん 菫色
とおくに輝く 金色の星が
ゆるり とおくに 落ちました

てのひらほどの クレーター
 すなの奥の淵からは
砂漠のいろの ちいさな花が
 仄かなかおりを 漂わせ

あれはとおい7月に
 コボルトブルーの トリ貝が
  砕けて散った波のかおり

白濁の 煌く流れが
 岸辺をあらい

やがてすべては消えました
 もうずいぶん 昔のできごと
今はただ

菫色したさらさら流れる すなの拡がり
 そこに嘗てのかおりは漂っている
  それだけなのです 
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秘密の花園

2007年07月16日 22:04

濃紅紫陽花

『秘密の花園』バーネット作

「きっとみんな草の間から出てきてるわ――たぶん紫のクローカスや金色のクローカスがかたまってはえてるわ――今でもね、たぶん、はっぱも出はじめていて、巻いてる葉はほぐれて開いてるわ――そしてきっと――たぶん灰色がだんだん変って、緑色の紗のヴェールがかかってるわ――何から何までこのヴェールがかかってるのよ。そして鳥がこれをみやってきてるわ――なぜって、ここはとても安全で静かだから……。それからたぶん――たぶん――きっと――あの駒鳥がお嫁さんをみつけて――そして巣をつくっているわ」
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ちっぽけな歌

2007年07月07日 22:56

Valentine Cameron Prinsep

ちっぽけな歌を歌いましょ
ポッケいっぱいのライ麦
パイの中に焼きこまれた
24羽の黒鶫たち

パイをあけたとたん
鳥たちゃ歌い出す
なんて素敵なお料理
王様の御前に

王様は金庫で
金勘定中
女王はお部屋で
ハニーブレッド中

女官はお庭で
お洗濯中
舞い降りてきた黒鶫
女官の鼻にチュッ

Sing a song of sixpence,
a pocket full of rye.
Four and twenty blackbirds,
baked in a pie.  

When the pie was opened,
the birds began to sing.
Now, wasn't that a dainty dish
to set before the king?

The king was in his counting house,
counting out his money.
The queen was in the parlour,
eating bread and honey.

The maid was in the garden,
hanging out the clothes,
When down came a blackbird
and snapped off her nose.
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les trois clefs

2007年07月07日 01:58

五月の散歩道(木場)

仲良しの17歳の男の子に、唐突に「あなたの人生で大切なものをみっつ挙げてください」ということを言われ、即座に

* affection(仏) / devotion(英・仏)【愛情】
* accommodement(仏) / compromise(英)【妥協】
* mansuétude(仏) / generosity(英)【寛容】

と答えてしまいました。
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横笛という楽器

2007年07月02日 01:58

hanamizuki1

 今日は「伶楽舎第八回雅楽演奏会」(於:紀尾井ホール)を聴きに行ってきました☆
 雅楽については殆ど知らなくて、教材についていたビデオでチラッと見たくらい。漫画のイメージが先行してて、思い出すのは源氏物語で、源氏と頭中将が若い日に踊った青海波くらい。巻が下って、柏木と夕霧が何かを踊っていたような…

 雅楽を実際に聞いてみると、横笛(今日は龍笛[りゅうてき]とパンフレットにありました。)の音は、耳を劈くくらいに高音域を担当するのですね。そんな高音にまずビックリです。

 横笛といえば、源氏物語の「横笛」の巻。我が愛すべき柏木が、失意のうちに亡くなって、その未亡人である落葉さまの屋敷に夕霧が通ってくるというところですね。まだ関係ができあがる前なので、落葉さんのお母さんの御息所さんも夕霧に親友柏木の笛をくれるのですね。それがいわゆる「柏木の横笛」ってやつで、柏木ってば横笛の名手だったのでした。そこで、夕霧は柏木の笛を吹いてみる。と、落葉ママが夕霧に

露しげきむぐらの宿にいにしへの秋に変はらぬ虫の声かな
(大意:涙にくれているのです。この荒れ果てた家に、昔の秋と変わらない笛の音を聞かせて戴きました…)

という歌を贈ると、夕霧もお返しに

横笛の調べはことに変はらぬをむなしくなりし音こそ尽きせね
(大意:横笛の音色は特に昔と変わりません。しかし、亡くなった人を悼む泣き声は尽きませんね。)

と歌い、横笛が話題に出されるのですね。
 そんな横笛が柏木の霊を呼んでしまうのが、夕霧の帰宅後のこと。夜更けに夕霧の傍に柏木の霊が出て、夕霧は(夢の中で?)柏木の霊に出会います。柏木は、

笛竹に吹き寄る風のことならば末の世長きねに伝へなむ
(大意:この笛の音に吹き寄る風は、同じことならわたしの子孫に伝えて欲しいものです。)

と意味深な歌を歌います。勿論、柏木には公式な子供はいないのですが、柏木の愛する女三宮(イケイケギャル?/爆)に隠し子の薫がいるので、それに伝えたいらしい。実際、薫もまた笛の名手となりますね。
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