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Gulnareの片恋

2008年04月27日 19:09

弥生の空は6

バイロン作 『海賊』(1814)より

「どうしてこんなことをするのかって? なぜって――ああ! おまえは
奴隷の運命よりひどいものから、あたしの人生を救ってはくれなかったの?
どうしてこんなことをするのかって? 不幸は、女心の優しい働きに対して
おまえを盲にしてしまった![…]
なぜって、おまえの罪にもかかわらず、あたしの心は感動している。
おまえを恐れ――感謝して――可哀相に思って――狂い――愛したのよ。
返事はいいわ、今はおまえの話を繰り返さないでちょうだい。
おまえは別の女を愛してる――だからあたしは無駄に愛していることになる。
[…]
あの憎き暴君をね、コンラッドさん――奴の血を流さなくちゃいけない。
震えてるのね――でもあたしの心は変えられたのよ――
貶められ――踏みつけられ――罵られて――だから復讐しなくちゃいけないわ。
[…]
あたしは愛したことはないわ――奴はあたしを買ったのよ――ちょっと高くね。
それ以来、あたしには奴の買えなかった心がついてくる。
あたしは文句を言わない奴隷だった。奴は言ったわ、
奴の助けがなかったら、あたしがおまえと逃げたって。
それが間違いだって、おまえには解るわね。でも、そんなこと、悔やませてやろう。
そんな言葉は、「侮辱」から出るまことの卵だわ。[…]
あたしはおまえに出会い――愛した――すべての恩があるんだ――だから助けるよ、
たとえ奴隷がどれだけ忠実かってことを示したいだけだとしてもね。[…]
今、あたしはおまえのもの。何が起ころうと覚悟のうえよ。
おまえはあたしを愛していないし、あたしを知らない――最悪なところ以外は。
ああ! この愛と、あの憎しみが始まりなのね――

                        (第3編288-511行より抜粋)
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le papillon noir

2008年04月27日 18:09

晩春雨歌2

まあたらしい都市に
高く聳える スカイスクレイパァ!
細くて短い枝々には
無数の小さな 葉 葉 葉……

青い空。
春を忘れられない夏が
彼女を思って浮かべた
白い雲。
薄い銀紙に包んで。

眩しい陽の光を
受けとめられず、敷石に
散らしているのは窓ガラス。

その

光を受けて
ふらふらと
少し疲れて
花を探して
水を求めて
さまよっているのは
目覚めたばかりの
黒い蝶。

敷石に
くっきりとした
影を落として。

花は何処?
――ブーゲンビリアの大きな花が
  あそこのカフェに垂れてるよ。

水は何処?
――しぶきをあげる噴水が
  あそこの公園で湧いてるよ。

un papillon noir ――帰還

2008年04月27日 18:06

晩春雨歌1

都会のビルの 上へ 上へ
 聳えて空へ 高く 高く
街路樹は並ぶ 上へ 上へ
 そこへ舞いこむ 高く 高く
――黒い蝶

ビルの窓は ガラス窓
 晴れた空気は 海の色
賑わい絶えた アスファルト
 日差しも強く 迷い込む
――黒い影

噴水の傍に 樫の樹が
 池の中には 噴水が
樫の樹の傍に レストラン
 レストランの 煉瓦の壁に
――黒い滲

おおきく おおきく 枝のばし
 ながい ながい 影法師
ま夏の午後の 蜃気楼
 野球帽子とアイスクリームに
――まっくろくろの 鳳蝶

2008年04月26日 01:22

弥生の空は5

夜露に濡れて
ある夏の
黒く萎びた
篝の


炭の芯は
熱もなく
白くもなく
煙もなく
ただ黒く
つめたく

はぜもせず
燃えもせず
昇らず
つめたく

眩しい暁に
みすぼらしく
戦闘の済んだ
戦場の篝
みすぼらしく
つめたく

沈黙の旗手と
張裂けたの幟と
沈黙の太陽が
つめたく

さめた
篝の
つめたさと
さめた
空気の
つめたさ
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この日我が36年を終える

2008年04月19日 23:50

弥生の空は3

【この日我が36年を終える】 by バイロン

こころしずかにさせる時だ、
他人のこころが騒ぐのをやめたから。
けれど俺は愛されえないが、
俺に愛させてほしいのさ!

俺の日々は枯葉の中さ。
愛の花も実も去った。
蛆虫――病毒と悲愴だけが
俺のもの!

俺の胸を貪る火炎は
火山島のように孤独。
その炎ではどんな篝火も灯らない、
葬送の薪だ!

希望も、恐れも、気懸かりも、
痛み極まる心痛も、「愛」の力も
俺には許されていないうえ、
鎖で繋がれているのさ。

「栄誉」が英雄の墓を飾るところか
額を飾るところで
そんな考えが俺の心を揺さぶるのは、
でもそんなふうじゃなく、――ここじゃないし、今じゃない。

「刀」も「旗」も「戦場」も、
「栄誉」もギリシアも、俺の周りを見るがいい!
盾の上に生れたスパルタ人は
(俺より)もっと自由じゃなかった。

起きろ! (ギリシアはもう目覚めてる!)
起きろ、俺の魂よ! 考えるんだ、誰を通して
おまえの生の血潮が祖先の湖をたどり
そして故郷を思い起こさせるのか。

つまらん男よ、
情熱の残骸を踏み潰せ!
美女の笑顔も顰めっ面も
おまえにとっちゃどうでもいいはず。

もしもおまえの「若さ」を悔やむなら、なんで生きてる?
栄誉ある「死」の地が
ここにあるのさ。――戦場へ、そして
おまえの息をひきとらせるんだ!

ひとりの「戦士」の墓を――探すよりも見つかるほうが
多いこともしばしばだが――探せ、おまえにとって最善の墓を。
そしておまえのその「地」を見渡し選び、
おまえの「休息」をとるがいい。
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少女よ、強くなれ!

2008年04月11日 01:32

弥生の空は1

空気の一つ一つの成分の中には確かにある恐ろしいものが潜んでいる。
呼吸するたびに、それが透明な空気といっしょに吸い込まれ――
吸い込まれたものは体の中に沈殿し、凝固し、器官と器官の間に
鋭角な幾何学的図形のようなものを作ってゆくらしい。

  (リルケ『マルテの手記』新潮文庫、p.88.)
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