『魔女の血をひく娘』読了

2009年03月24日 01:29

魔女の血をひく娘魔女の血をひく娘
(2002/10)
セリア リーズ

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魔女の血をひく娘〈2〉魔女の血をひく娘〈2〉
(2003/11)
セリア リーズ

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夕べ布団に入ったのが午前2時半。
本書『魔女の血をひく娘』(2)を読み終わって眠りについたのが朝8時(爆)。
夫には叱られかねないので内緒。

この本の第1巻を読んだときも、もう読み出したらとまらなくて、一気に読んでしまったのですが、
今回もご多分に漏れず…(笑)

こういう本を読むと、ヨーロッパのキリスト教がいかに異様だったかがわかります。
本当に、信仰って怖い……。

アン・ライスの『ヴァンパイア・レスタト』や『インタビュー・ウィズ・バンパイア』、
ボーヴォワールの『人はすべて死す』なんかにも、植民地時代の北米の様子が出てきて、
先住民の人々に対するヨーロッパ人の眼差しがいかなるものだったかが示されます。

メアリーの波乱万丈な生涯と、信仰に翻弄された当時の人々の生き様を
目の当たりにするような気持ちでした。

いつか先住民の村&グランド・キャニオンorアメリカの森を訪れてみたいなぁ~

こちらのCDもオススメ!!

ウィンター・ムーンズウィンター・ムーンズ
(2001/11/05)
スピリット・ネイション

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Sacred Spirit: Chants And Dances Of The Native AmericansSacred Spirit: Chants And Dances Of The Native Americans
(1998/07/28)
Sacred Spirit

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『シリアの花嫁』鑑賞

2009年03月23日 02:15



久しぶりに映画館でイスラム映画を見てきました☆
今回は、『シリアの花嫁』@岩波ホール。

あちこちに点在する登場人物たちが、初めはバラバラの場面に描かれている。
やがて、まるで蜘蛛の巣の糸を手繰り寄せるように、シリアとイスラエルの軍事境界線へと終結する。
モナの結婚のひねもす一日を描いた、ドゥルーズ派の村を舞台にした作品。
構成がかなりしっかりしていて、隙のない完成度の高い映画です。


主人公の女性モナは、花嫁さん。多分優しいひと。
お姉さんのアマルは、とても強いひと。
姪(アマルの娘)のお嬢さんは、一生懸命。

ラミアの白い凧』の時にも感じたことですが、
軍事境界線を越えて結婚をするってことの重さです。
結婚は、村の(あるいは部族の)長老たちによって決められ、彼女たちには決定権も何もあったもんじゃない。
言われるがままに嫁ぐしかない。逆らえば、村八分。
(これは、モナの兄ハテムが長老達に逆らって、ロシア人の女性と結婚したことで描写されています。)
そして、彼女たちは軍事境界線を越えて、向こう側へ嫁ぐんですね。
メガホンで会話しなくちゃ聞こえないような距離の場所へ。
一度越えてしまったら、大好きな兄弟や姉妹とはもう二度と会えない。
帰ってきたら、家族の面汚しになる。=帰れない。

でも、ラミアは己の意志を貫いて、夫に愛想を尽かされて離婚の運びになり、
故郷へと再び戻ってきました。でも、そこには村八分が待っていただけ……。
だから、彼女は地雷地帯へ赴いたわけなのですが、

モナの場合は、もっと現実的でした。
結婚=幸せではないことをわかっていて、軍事境界線を越える。
逃げ出さない。逃げても、多分また同じことの繰り返しだから。
自分の意志で、自分の足で、境界線を歩いて越えていく彼女。
なんだか西陽を浴びて、女神様みたいでした。

そして、お日様に背を向けて、モナと反対側へと歩いていったアマル。
結婚生活に嫌気が差して、今自ら福祉大学への進学の道を進もうとする彼女は、
あれだけ女性に不自由な境遇にありながら、自らの意思決定をしっかりしていて、
女性の意志を感じさせる、とても強い女性だと思いました。
(個人的に、アマルが大好きな旦那アミンがちょっと可哀想でした…。
そう思っちゃいけないかな?^-^;)

フランス人の国連職員の女性ジャンヌと、イスラエル側の役人と、シリア側の役人の遣り取りは、
国の決定がいかに個人の境遇を翻弄しているかを象徴していたようでした。

ゴラン高原は、今もまだメガホンで会話しているんですよね。
なんだか胸のあたりが熱くなります。

毎日新聞の映画紹介の記事はこちら
詳しいあらすじはこちらの記事がオススメです。

おばあちゃんの青色

2009年03月15日 18:31

オムライスのおさかな

おばあちゃんが言った
アルバムを 整理しながら 微笑んで
人生、赤ちゃんのとこからやり直せたら
若いあなたは薔薇色ね 私は灰色

おばあちゃん
あなたの人生は 灰色じゃないよ
青色のまちがい
海のように 空のように
大きな色だよ

珊瑚礁の薄紅色
太陽にきらめく雲の白
嵐に轟く雷の金色
魚達の揺れる銀色
海の青 空の青

おばあちゃんの笑顔は
夕暮れの風に優しい
春の暮れ方の空の青
沈丁花香る夕暮れの青

ブラインド・パワーが明日をつくる

2009年03月15日 02:54

ロンドンのお土産

肩の力を抜いて
大きく息を吸って
夕闇の冷気を
冬の末期の吐息を
生霊たちの必死の情念を
私の体に取りこもう

この坂をくだれば
街の灯が懐かしい
軒先には私の
過去と未来が積み重ねられている
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高層ビルと郊外の菜の花

2009年03月12日 02:37

蒼空の模様0903

いつか

きみといっしょに
秘密の花園をつくろう
チューリップが揺れて
薔薇がアーチを描き
水仙がそばで微笑んでいる

そんな
秘密の花園を
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笠原順路編『バイロン詩集』読了

2009年03月07日 18:22

対訳 バイロン詩集―イギリス詩人選〈8〉 (岩波文庫)対訳 バイロン詩集―イギリス詩人選〈8〉 (岩波文庫)
(2009/02)
笠原 順路

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電車の中でじっくり読みました、笠原先生の『バイロン詩集』です。

まず、訂正。
前回の記事で一人称が「わし」になっている登場人物について触れましたが、
ハロルド→「僕」
コンラッド→「わし」
アルプ→「私」・「俺」
ボニヴァール→「わし」
日記のバイロン→「僕」
マンフレッド→「わし」
総督→「私」
サルダナパロス王→「余」・「わし」

でした。
で、後記の「バイロン略伝」で、アルバニアの付近で首領のアリ・パシャとの出会いが「高貴な悪漢」のモデルとなったことが述べられているので、恐らく「高貴な悪漢」には「わし」が使われているのかな~と、勝手に推測しました。
それでもやっぱり、個人的にマンフレッドとコンラッドは「俺」が良かったなぁ~…と(汗)根拠がないので、先生に叱られそうですが(笑)。

読みながら、先生の授業を受けているような気持ちでした。(気持ちが引き締まります/汗)
もう何度も読んだ〔オーガスタへの手紙〕や、『マンフレッド』、「アルプス日記」、何度か読んだ『シヨン城の囚われ人』、『海賊』、恥ずかしながら初めて読む『マリノ・フェリエロ』、『ダンテの予言』、古い『バイロン全集』で読んだことのある『サルダナパロス』、『アビュードスの花嫁』など、本当に夢心地の通勤電車でした☆懐かしいキャラクターもいっぱいでした☆

バイロンの饒舌さがよく分かりました。本当によく喋りますね(^-^;)。
『ドン・ジュアン』は、小川和夫の訳で半分くらい読みました(途中で挫折しました/汗)が、
そのときも、バイロンの風刺というか諧謔というか、その口調と回転の速さについていけなくて、
結局ジュリア・エピソードと海の上のエピソードと、ハイディ・エピソードだけはしっかり頭に入れたものの、他の部分は正直ついていけなかったです。でも、この詩集を読む限り、ここがどうやらハイライトだったようで、ちょっと安心。

何だかんだ言っても、やっぱり私はオーガスタの幻を見るのが好きなので、
『海賊』・『マンフレッド』は特に好きです。ドキドキします。
『ハロルド』も好きです。バイロンの凄腕がきらめく情景描写の真骨頂だと思います。

まえがきにもあるように、これまでの『バイロン詩集』は抒情詩に偏っていました。
でも、バイロンの面白さはやっぱりドラマチックな<おはなし>にあると思います。

やまとことばで書かれる<詩>は多くを語りません。
中也も朔太郎も、やっぱり少ない言葉で詩の世界を広げます。
芦雪の墨絵のような、<余白の芸術>の精神がそこにはあると思います。
西洋の詩は、逆。
語ってなんぼのもんです。とにかく、語りつくす。隙間なく、計画的に、技巧を凝らして、語る。
日本人から見ると、ちょっとうるさいくらいです。
でも、語り続ける。ハムレットも死ぬ間際まで語る。「あとは沈黙――」って言うまで、喋る。
死にそうなのに! で、バイロンも多分同じ系列です。
少し黙ってろ! って言いたくなるけど、でも、語る。自分をともかく語ります。

もしかすると、それが彼の内面の<悪魔>とか<地獄>の風景につながってくるのかもしれません。

ともかく、この本は大変にオススメ。
是非是非(右側の日本語だけでも)ご覧ください!!

早春の思い出(回想)

2009年03月06日 15:18

レストランの白い金魚

少し前のことになりますが、仲良しの男の子Kくんが本命の大学に合格しました。

思えば、去年、Tくんが本命に合格した日、
私「Tくん…」
T「俺……」としばらくうつむいて間をおいて、それからにしゃーっと笑って、「受かったってば!!」と、私の腕を嬉しそうにばんばんはたいていたのを思い出します。あのときの、あの笑顔。あの子の可愛さが120%キラキラ輝いておりましたっけ。(ばあやもとっても嬉しかったです。)晴れた空の色をしたジャンパーが印象的でした。

そして、今年、Kくんが本命に合格した日、
私「Kぇ~ どこだ~」(←既に呼び捨て。)
K「Shallotさぁ~ん!! ウチ受かったぁ~!!☆」と私に飛びついてきました(笑)。(あ、彼、既に男の子扱いされてないです/笑。)あのときの、あの笑顔。春のお日様に揺れる菜の花みたいに、ピカピカしてました。白いダッフルコートが印象的でした。

思えば、彼らとはもう随分長いつきあいになりました。
そして、これからも彼らとはちょいちょい日常的に出会える距離にいられることが、まずは奇跡的のような気がします。

神様、ありがとう!

『イギリス恐怖小説傑作選』読了

2009年03月01日 19:50

イギリス恐怖小説傑作選 (ちくま文庫)イギリス恐怖小説傑作選 (ちくま文庫)
(2005/11)
南條 竹則

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ちくま文庫から出ているShallot好みのタイトルをつけられたものは何でもすぐ買うことにしていて、
しばらく本棚で眠っていた子を引っ張り出しました。買った日、電車で最初のロセッティの「林檎の谷」だけ読んでしまいましたが、それでしばらくは積読になってました。

買った理由→ロセッティを本屋でチラ見して引き込まれた。目次にバイロンがいた。以上。

実は、吸血鬼モノは結構好きで(というか単に『インタビュー・ウィズ・バンパイア』の映画が大好きなだけ/汗)、おんなじ怖いモノでも、どちらかというと実体がある怪物のほうが好きです。メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』も面白く読んだ遠い過去。

で、<亡霊>とか<幽霊>系のお化けに遭遇するお話をまとめて読むことができました。

①ロセッティ「林檎の谷」
実は仕事の都合で、これから人魚or宿命の女を勉強する都合で、大変面白かったです。
キーツの「つれなき美女」を思い出しました~
やっぱり「声」で「呼ぶ」んですね。
谷底ですから、(中也の「一つのメルヘン」ではないけれど)かつては河が流れていたのかもしれません。
亡霊にしろ、怪物にしろ、サディスティックな人魚を彷彿とさせる作品です。
そして、ロセッティだから、非常に審美的です。

②バイロン「断章」(英文はこちら。)
実は、恥ずかしながら、ノーマークでした(汗)。
でも、同書に収録されているほかの作品と比べてみると、明らかに実体が生々しい一章だと思います。少なくとも、語り手の前には確かに男がいて、それが何か良からぬことをしている。
どことなく、アン・ライスの『ヴァンパイア・レスタト』の一部に近い雰囲気を感じました。

③その他
・ ノースコット「ブリケット窪地」:亡霊なのに、案外生々しくて良かったです(?)。
少しアガサ・クリスティーの小説に出てきそうなきらいもありました。
・  ボウエン「罌粟の香り」:描出される空間全体が静寂に包まれていて、読んでいてなぜかほっとしました。エクスの「見た男」の余韻があんまりにも怖かったんで、ここで息抜き~。 罌粟の花の美しさとざわめきが、耳に聞こえてくるようでした。
・ エクスの「見た男」:エンネルの絵画を思い出しました…。かなり怖かったです。でも、オチがありきたりっぽかったようにも思います。個人的に、もう少し歴史と密接に結びついた古い亡霊にしてほしかったかな・・・。

ドールヴィイの『悪魔のような女たち』やローデンバック、ロートレアモンと比べると、やっぱり若干アメリカンコーヒーな印象もないわけではないように思います。
もうちょい濃厚な味わいが欲しかったかな…。

悪魔のような女たち (ちくま文庫)悪魔のような女たち (ちくま文庫)
(2005/03)
ジュール・バルベー ドールヴィイ

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