我が愛の子よ!

2012年06月24日 17:15

六義園のあじさい2012

【チャイルドハロルドの巡礼】第3編より、115-118連
    バイロン作  Shallot B.訳

115
我が娘よ! おまえの名でこの歌が始まったのだ、だから
我が娘よ! おまえの名でこの歌を締めくくろう。
私にはおまえの姿は見えないし、声も聞こえない、しかし
私よりもおまえに夢中になっている者はいない。おまえは<友>だ、
その<友>へと遙かな歳月の影がのびてゆく。
おまえが決して私の顔を見詰めることがなくっても、
おまえの父親の心臓は冷たく、その遺灰からではあるが、
時が来れば、私の声はおまえの将来の姿へと混じり合い、
遺したものや声として、おまえの心臓へと届くだろう。

116
おまえのこころの成長を助けること、
おまえの些細な喜びの夜明けを見ること、
おまえが育ってゆくまさにその様子を傍で見守ること、
おまえの知らない驚きの、色々な知識を蓄えてゆく姿を見てあげること、
優しい膝の上に軽く抱き寄せて、柔らかい頬に親としてキスしてあげること、
――こんなことを、私はしてあげられなかったようだ。
だが、こんなことがありのままの私だった。
――実はね、ありのままの姿がどんなものかはわからないが、
こんな感じなのだと思う。

117
だが、つまらない<憎しみ>を義務として教え込まれたとしても、
私の名が、惨めな、断ち切られた親子の資格に満ちた呪文だとして、
おまえから締め出されたとしても、
私はおまえが私を愛することはわかっている。
墓石が閉じられ、私たちが隔てられたとしても、――変わりはしないさ、
私はおまえが私を愛することはわかっている。
おまえの存在から我が血を抜き取ることを目的とし、実現したとしても、
そんなことはすべて無駄なことだろう、
それでもおまえは私を愛し、後生大事に私を思ってくれるだろう。

118
<愛>の子よ! 諍いに生まれ、
<擾乱>に育ってゆくにしても!
諍いと擾乱は父親の本領なのだから、おまえにとっても同じこと。
まだおまえの周りはその様子だが、おまえの炎は穏やかになり、
希望も遙かな高みに上るだろう!
ゆりかごでの眠りが快いものであるように!
海を越えて、私がいま息づく山々から、
私は喜んで、おまえにそのような祝福をふわりと送ろう。
溜め息混じりに、――おまえが私にとってそうだっただろうと思いながら。
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