リア王シリーズ⑧エドガーの傍白。

2005年11月23日 22:22

 弟エドマンドの策略によって、両目を失った父グロスターと遭遇するエドガーの台詞。

<第三幕第四場>
 あぁ神様! 誰がどん底だ、なんていうことが出来るだろう? 僕は少し前よりも堕ちている。
 そして更に堕ちることも必定だ。「どん底だ」なんて言えているうちは、どん底なんかじゃない。


<ここまでのお話>
 ケントさんとグロスターさんの協力によって、リアさんは、眠っている間に、ドーヴァーへと運ばれていく。一方、リアさんに協力したということで、グロスターさんは、自分の屋敷で、上司にあたるコーンウォール公とその妻リーガンに捕らえられた。コーンウォールとリーガンは、グロスターに対する罰として、彼の両目を抉り取る。その際、グロスターさんに対する仕打ちは、息子エドマンドによって糸を引かれていたことを、グロスター本人が悟る。また、その過程で、傍にいたグロスターさんの召使たちによって、コーンウォールは殺害され、一命をとりとめたグロスターさんは、包帯で目を覆った状態で、屋敷から追い出される。老人に手を引かれたボロボロのグロスターさんは、道端で、トムと名乗り、乞食のふりをしている、息子エドガーに出会う。

<Shallotのコメント>
 この台詞の少しまえに、こんな台詞があるんです。

 『ちやほやされて裏で軽蔑されるよりも、こんなふうに、明らかに軽蔑されるほうがいいね。素寒貧の運命の女神に見放されてる最悪な状況は、まだ希望の中にいるってことさ、ビクビクしながら生きなくてすむ。災い転じて福と成す。どん底は笑いに変わっていくのさ。それなら、歓迎します、僕の抱きしめている、形のない空気さん! どん底へと吹き飛ばされた惨めな者は、突風よ、おまえなんて恐るるに足らず、だ。あれ、誰か来る。――父上!みすぼらしいお供で? くそっ、この世は、あぁなんて世の中だ! もしもこの世の有為転変を、僕らが憎く思わなければ、老いたいなどとは思わないよ。』(第三幕第四場冒頭)

 ま、こうして遭遇したエドガーは、グロスターに対して狂人のふりをして、思い通りにドーヴァーまで連れて行ってあげます。

 「どん底だ」なんて思っているうちは、どん底なんかじゃない。エドガーは、深い悲しみの中で、最悪な状況をなんとか切り抜け、宿敵弟エドマンドを倒し、家族を喪失しながらも、この悲劇のストーリーを生き残ります。全てを失ったとき、彼の手には、父の遺産であるグロスター城が残る。けれど、きっと心の傷は癒されることがないと思います。何がどん底か、なんて、本当にわからない。ただ、最悪な状況で最善を尽くすことは、生存競争を生き延びるためには、必定なのだろう… と、考えてしまいました。
 もっとも、これ、素敵なエドガーくんの台詞だったから、心にしみたのかも知れないけどね♪(笑)
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