オーガスタへの詩 <second>

2004年11月20日 00:06

僕の運命の日々が終りを告げて
宿命の星が衰えてしまってけれど
貴女の柔らなこころは 降り積もった過ちを
暴こうとはしなかった。
貴女のこころは 僕の嘆き悲しみを 解ってくれていたけれど
僕と分け合うことを 怯んだりもしなかった。
そうして僕のこころが彩られていた その愛は
貴女以外に見出せたりはしなかった。

僕の周りの自然が微笑んでいるよ、そんな時
僕の微笑みに応えてくれる最後の笑顔が
嘘つきだなんて 信じはしない。
だってそれが僕に貴女を想い出させるんだから。
それから僕にとっては 信じる胸であるような
海にとっては 風が戦にある時は
海のうねりが 気持ちを奮い立たせるならば、
それらは貴女から僕に導かれるべきものなんだ。

僕の望みが砕け散り 破片が波間に沈んでも、
こころが「痛み」に引き渡されても、――隷属に屈するワケじゃない。
僕に憑いて悩ませる 呵責がたくさんあるんだよ。 でも
呵責は(僕を)打ちのめしても、(僕を)蔑むことはないし、
僕を責めても 屈させようとすることはないだろう。
それは、僕が貴女を想うゆえだから――それ自体に苦しむわけではないからね。

人なのに 貴女は僕を責めなかった。
女性なのに 貴女は僕を見捨てなかった。
愛してくれたし 貴女は僕を苦しめないでいてくれた。
傷つけられても 貴女は決して揺らがなかった。
信じていたんだ。貴女は僕を否まなかった。
離れてしまった。だけど貴女から逃げたんじゃない。
慎重だけど それは僕を傷つけるためじゃなく
黙っているのも 世の中が嘘まみれだからだろう。

僕はこの世を責めないし、蔑んだりもしない。
「ある人」とたくさん喧嘩をする気もないよ。
もしこころが大切にするに値しないようなものだったのなら、
どうしてもっと早く遠ざけなかったんだろう?愚かだったね。
だけど愛を込めて、あの過ちが僕を苛ませるなら、
そしてそれが昔嘗めた辛酸以上であっても、
僕は解っている。僕が失ったものが何であれ、
僕から貴女を奪えはしなかったんだ。

枯れ果てた「過去」の骸からは
少なくとも たくさんの想い出が溢れ出す。
僕がイチバン大切にしていたもの、そして愛惜しんだものはみんな
それに値したものだったと告げた。
砂漠にも泉は湧いてくるし、
荒れ野にも樹はまだ在るし、
孤独でも鳥は歌う けれどそれは
僕のこころに貴女のことを語るんだよ。
ここまで、2回に渡り、オーガスタへの詩を書き込んできましたが、このとき26歳だったバイロンにとって、オーガスタという女性がどういうものだったかがおわかりいただけたかと思います…。
 オーガスタは、バイロンの異母姉であり、4歳年上でした。オーガスタの夫は、彼女の従兄だったのですが、なかなかのギャンブル好きの軍人で、借金をつくりまくったりしました。オーガスタが26歳、バイロンが22歳の時、彼女は自分の家を出て、ロンドンの社交界で大人気だったバイロンのもとへ身を寄せます。
 ま~、この後、バイロンは結婚したりするんですが、オーガスタのこともあって、結局別居。オーガスタとバイロンの恋愛事情はいわゆるスキャンダルとなり、バイロンは26歳(1816年4月)の時にイングランドを捨ててスイスへと向かいます。
 その年の夏は、スイスのレマン湖のほとりで難を逃れて暮らしますが、この『オーガスタへの手紙』はその時期に書かれたものだと推測できます。
 Shallotの大好きな劇詩『マンフレッド』と時期を同じくして書かれた、最愛の人オーガスタへの詩は、いかにバイロンが彼女を大切に思っていたかが伺える作品です☆
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