『チャイルドハロルドの巡礼』第三巻、52連から54連

2004年12月05日 00:10

こうハロルドは心の中で呟いた、そして(河に)沿って通り過ぎた。
でも愛しい人さえ迷子にしてきたような渓谷では
陽気な小鳥が朝早くから歌うので
目覚めてしまったすべてのものに、
彼は無関心なわけじゃなかった。
辛くはなくとも、かなり激しい想いと掏り替えられた
イカツイ皺とキビシイ静寂が、彼の額に彫られてたけど、
「喜び」ってやつは、こんな風光明媚な景色の中で、
彼の顔に束の間の、痕跡残していたんだろう。

情熱の日々が彼を塵へと焼き尽くしてしまったけれど、
全ての愛が、彼に閉ざされたわけではなかったんだ。
僕らに投げかけられる「微笑」に、冷たく睨むのは無駄なコト。
「嫌気」が全ての俗っぽさに「優しさ」を捨てさせてしまっても、
心はすすんで「優しさ」に跳ね返っていくに違いない。
だからこそ彼は(「優しさ」を)感じたんだ、
柔らかい記憶と甘美な信頼が、ある愛情溢れる胸の内にあったから。
そして彼自身の胸も、その胸の中へと溶け込んで行ったんだろう。
壊れやすい柔らな時間の中で、彼のこころは、あのこころに生きてたんだね。

彼のようなタチのヤツには、妙な雰囲気に思えるらしく、
僕は理由を知らないけれど、最初の(子供の)養育で
花のような幼子の抗いようのない表情を、愛することを知ったんだ。
人の謗りでめいっぱい彩られた根性を、そんな風に変えたなんて、
何に癒されたんだろう?
判ったとしても少しもいいコトないけどね。
でも、そうなった。そして独り、摘み取られた愛情は
小さな「力」を育んできた。
彼の中で、全てのものが輝きを失った時、これが光輝いた。
最近、バイロンと論争を展開したボウルズという人の、めちゃめちゃ叙情的な詩を読んだのだけど、これがハンパじゃなく美しい風景描写で、なんだか甘ったるい砂糖を吐いた感じ…どうもShallotには、ダークな、というか辛辣な毒が詩のどこかにピリッと効いてる感じが好きらしい。バイロンは、自分の毒をめいっぱい吐いてくれるので、なんか訳していて楽しい…。美しいだけじゃ、キレイなだけじゃ、物足りない。ロマンティックな苦悩の痕跡を見せてよ、って感じで。
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