『チャイルドハロルドの巡礼』第三巻55連挿入歌

2004年12月25日 00:12

ドラシェンフェルズの城立つ岩山、
広く風吹くラインの河を威圧している。
ラインの水の懐は、葡萄実る両岸を
うねりうねって拡がりを見せて流れているよ。
花咲く樹々・豊かな丘・麦と葡萄酒を約束した平原。
遥かに白く輝いて、映える壁は頂を
鏤め飾った都市の数々。
貴女と僕が一緒だったら、もっとずっと嬉しくて
眺めただろう光景を
辺りに撒いていたんだよ。

深い碧瞳の村娘、早咲きの花を手に翳し、
この楽園を微笑みながら歩いてる。
上の方には数々の中世的な尖塔が、
緑の樹葉を擦り抜けて
灰色の壁が聳え立つ。断崖みたいな急勾配、転げる岩は数多く
誇り高く滅び逝く気高い門が
葡萄の葉により覆われた東屋の、この谷間を見下ろしている。
けれどひとつどうしても、これらラインの河岸に
足りないものがあるんだよ。――貴女の優しい柔らかな
その手を僕は手のひらに、しっかり握っている筈なのに!

僕のもとへと落ちてきた、百合を僕は貴女に送る。
花は貴女に触れる前、ずっと前に萎れるだろう。
それを僕は知っているけど、「そんなもの」と捨てないで。
なぜなら花はこの僕がたいせつなものと愛でたもの、
なぜなら花は、貴女の瞳にそれでも映るものだから。
項垂れた花が、貴女のもとへ届くとき、ここへと魂導くの。
そうして貴女はその花が、ラインの傍に咲いてたと
摘み取られたと知るんだね。
そうして僕の心から
貴女に贈ったものなんだ!
                    
水底の呪われた指輪が廻るよう、気高く泡立ち流れてく。
次から次へくるくると変貌しながら
鮮やかな「美」が、その幾千のすべての姿を曝け出す。
気高いこころはその夢を、輝く此処に住まわせて、
いつまでも弾ませているのだろう。
地上には、自然にとっても僕にとっても
真に愛しいところなど、見つけられはしなかった。
僕の瞳に続くはずの、いとおしい貴女の瞳が尚更に
ラインの河岸の哀しみを
和らげてくれたとしたらなぁ!
 オーガスタへ宛てた手紙に書かれたものをそのまま作品に挿入した詩です♪Shallotの大好きな場面なのです☆
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