マンフレッドの独り言①(Act1.Sc.2.ll.1-29)

2005年01月15日 00:15

俺が呼び覚ました精霊たちは俺を見捨てる――
俺が学んだ呪文は俺を挫いてしまう――
期待した療法は俺を酷く苦しめた。
俺はもう、人間を超えた力には頼らない、
過去には無力だし、未来なんて、
過去が闇に飲まれてしまうまでは
俺の望むところではない。――母なる大地!
爽やかに明け始めた日よ、そして山々!
アンタらはどうして美しいんだい? 俺はアンタらを愛せない。
それからアンタ、宇宙(そら)の輝ける瞳、
すべての上に見開かれて、輝く喜びの瞳――
アンタは俺のこころには輝かなかった。
それからアンタだ、聳え立つ岩山よ、その末端に俺は立っている。
ここから激流の極みから下を見下ろせば、
高い松の木が、あまりの遠さに眩暈がするんで、
潅木みたいに小さくなって見える。ひとっとびで、
身動きひとつで、仕草ひとつで、ひと思いで、
岩のゴツゴツした懐の底へ、俺の胸には永遠の休息が
もたらされるんだ――どうして戸惑う?
俺は胸が衝かれるのを感じてる――なのに飛び込まない。
危険は解っている――しかも足はしっかりしてる。
生きることを俺の宿命には許していないのに、
生きさせようとする力が俺の上にのしかかっている。
もし、この精神の不毛さが俺に内在してるなら、
そして自分の心の棺が生きることならば、
というのは、俺はもう己の行動を正当化するのを止めたから――
取り返しのつかない邪な無邪気さだったから。
関連記事


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://sousleau.blog5.fc2.com/tb.php/151-7b8f6943
    この記事へのトラックバック


    Articles