罪深い愛の再会 (『Manfred』第2幕第4場)

2005年06月12日 00:30

[マンフレッド]
聞いてくれ、聞いて――
アスタルテ! 俺の愛しい人! 話してほしい。
俺は本当にたくさん耐えてきたよ――本当に今もたくさん――
俺を見てくれ! 墓ってのはあなたに較べて俺が変貌するより、
あなたを変えなかったんだね。あなたは俺を愛してくれた、
あまりにも愛しすぎるくらいに、俺があなたを愛したように。
俺たちはこんなふうにお互いを苦しめるために生まれてきたんじゃない、
俺たちが愛し合ってきたように愛することは最悪の罪だったけどね。
俺が嫌いじゃないって言って――俺は二人のために
この罰に耐えてるんだって――あなたは天国にいる人たちの
仲間になって――そして俺は死ねるんだって。
だって今まで過去みたいな未来――不滅から俺を逃れさせる生活に、
――実生活に俺を縛り付けるように
不愉快なものがなにもかも積み重なっているんだよ。
眠れやしない。
何を頼みにするのか、何を探しているのかも、自分じゃ判らない。
あなたの存在と――そして俺の存在だけを感じてるんだ。
だから俺にとっては音楽だったその声を、失ってしまう前に
もう一度聞きたいんだよ――話をして!
だって静かな夜には俺はあなたを呼び続けてきた、
眠っている鳥たちを大きな枝から飛び立たせるほど驚かせて、
山の狼を掻き起こして、洞窟に
あなたの虚しく響き渡る名を知らせてきたものだ、
木魂は俺に応えてくれた――たくさんのものが俺に応えた――
精霊も人間も――そしてあなただけが黙ったままだった。
だから話してよ! 俺はあなたを探して
星を見つめ、虚しく天を仰いできたんだよ。
口を訊いてよ! 俺は地上を彷徨い歩き、
結局あなたのような人を見つけなかった――口を訊いて!
周りの悪魔たちを見てくれよ――連中は俺に同情してるのさ。
俺は連中なんて怖くないよ、あなただけに情を寄せるの――
話をして! 怒っているならそれでもいい。――だから言って――
何だって構わないから――だけどもう一度あなたの声をきかせて――
もう一度――もう一度!

[アスタルテの亡霊]
マンフレッド!

[マンフレッド]
言って、続けて――
俺はその声の中にだけ生きているよ――あぁ、あなたの声だ!

[アスタルテ]
マンフレッド!あなたの地上の苦しみは明日終わりを迎えるわ。
さようなら!

[マンフレッド]
ねぇもう一言だけ――俺は許してもらえるの?

[アスタルテ]
さようなら!

[マンフレッド]
もう一言だけ、お願いだ! 言って、俺を愛してるって。

[アスタルテ]
マンフレッド!

[ネメシス]
彼女は逝ってしまった、もう呼び戻せないわ。
彼女の言葉は実現するでしょう。地上へお帰りなさい。

[精霊A]
奴は悶えている――これが人間であるということだ、
そして分をわきまえずにものを願うということだ。

[精霊B]
けどさ、見てよコイツ自分を押さえ込んで
意志で自分の苦しみを捻じ曲げちゃってるよ。
もし私たちの仲間だったら、スゴイ精霊だっただろうね。
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