霊がひとつ僕の前を過ぎりました。(ヨブ記から)

2005年11月21日 00:45

   1
霊がひとつ 僕の前を過ぎりました。
僕は不死の顔が 剥き出しなのを見詰めていました――
僕の目以外の全ての眼に 深い眠りが落ちて来ました――
そしてそいつは立ち尽くしました、――すべてはかたちを失って
――けれども神聖なものでありました。
骨の上をずずずと這い出す肉がふるえ。
そうして湿った髪の毛が がちがちこわばったときに
そいつは喋り出しました。

   2
「人は神以上なのか?
人は脆い熾天使を想うものより純粋なのか?
土塊のいきものよ――塵に住まう虚しき住人よ!
蛾がおまえを喰い尽くして生きる、それでもおまえは高潔か?
ひねもす生きるものどもよ! おまえは夜が訪なう前に
枯れ果ててしまうさ、叡智の虚しい光に目もくれないまま!」
<Shallotからのコメント>
 原題『A Spirit Pass’d Before Me; From JOB』。多分1815年の作品。詳細は未調査。
 どことなく、Manfredの匂いがしますね。好きな感じ。「骨の上をずずずと這い出す肉がふるえ。」(原文は、Along my bones the creeping flesh did quake;です。)は、とてもぞわぞわしてきます。朔太郎の『青猫』や、中也の「骨」に通ずるものがありそうなので、こんな訳になりました。
人生を一日に喩えて、夜前には死んでしまう、日の光の本当の素晴らしさには目もくれないで、日常に追われながら、せわしくせせこましく生きているうちに、死は確実に近づいてくる…。バイロンは、そんなメッセージを込めたのかもしれません。
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