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東京の雪

2006年01月21日 23:35

ビュフェの冬


【雪の賦】 中原中也 作(『在りし日の歌』より)

雪が降るとこのわたくしには、人生が、
かなしくもうつくしいものに――
憂愁にみちたものに、思へるのであつた。

その雪は、中世の、暗いお城の塀にも降り、
大高源吾の頃にも降つた……

幾多々々の孤児の手は、
そのためにかじかんで、
都会の夕べはそのために十分悲しくあつたのだ。

ロシアの田舎の別荘の、
矢来の彼方に見る雪は、
うんざりする程永遠で、

雪の降る日は高貴の夫人も、
ちつとは愚痴でもあらうと思はれ……

雪が降るとこのわたくしには、人生が
かなしくもうつくしいものに――
憂愁にみちたものに、思へるのであつた。
 東京に雪が降りました。正岡子規は、珍しく東京に降った雪について、「いくたびも雪の深さをたづねけり」という有名な句を残していますが、今日の雪は、本当に美しかったです。
 千鳥ヶ淵の歩道を歩いていたら、鮮やかで小さな椿が美しく雪の上に咲いていたのですが、「美しい」と指で雪を払いのけたら、なんと、その椿はどこからか摘まれたらしいものでした。心無いひとがあるものだなぁ、と哀しい気持ちになりました。椿は、枝に咲き、雪を帽子に、いつしかその雪が消えたころに、地面へと落ちていくのが美しいのに、椿の花の部分だけ摘み取って棄てるなんて…。
 椿の花びらも、私の指先も、木の枝も、かじかんでいました。そらはどこまでも白く、雪は黙って降り続けていました。中也も、子規も、同じ雪を、見ていたのです。東京の雪。珍しい、東京の白い夜です。
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