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春の日の歌

2006年04月15日 01:17

春の日の歌

【春の日の歌】 中原中也 作

流よ、淡き 嬌羞よ、
ながれて ゆくか 空の国?
心も とほく 散らかりて、
ヱジプト煙草 たちまよふ。

流よ、冷たき 憂ひ秘め、
ながれて ゆくか 麓までも?
まだみぬ 顔の 不可思議の
咽喉の みえる あたりまで……

午睡の 夢の ふくよかに、
野原の 空の 空のうへ?
うわあ うわあと 涕くなるか

黄色い 納屋や、白の倉、
水車の みえる 彼方まで、
ながれ ながれて ゆくなるか? 
 嬌羞が立ち上る…「午後の 夢の ふくよかに/野原の 空の 空のうへ?/うわあ うわあと 涕くなるか」の「うわあうわあ」が心の叫びのようで、本当にうわあと泣きたくなる。遠いところへと魂を飛ばして、春の青空の遠くへ、本当の思いは遥か彼方… うわあうわあと泣いてしまえたら、本当にどんなに楽になるのかも知れません。
 黄色い納屋や白の倉、水車の見える彼方は、本当に遠い昔の風景。水の音、春の草いきれ、青い空、煙と消えた嬌羞。自分の素直な心は、現実の生活にはなかなか見せられないけれど、この歌の前では、隠すこともできません。
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