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死の川面のさざ波は

2007年06月17日 02:29

アイヤ岬の嵐

【呪文――ある狂想曲より】シャーロット・ブロンテ作

死の川面のさざ波は
咲き誇る薔薇を覆います
大切なものもその人も
お墓の深くに眠ります
熟れたて果実は落ちました
煌めく桜花も散りました
その花はうち遣られたまま
ただひとり萎れてゆきます
やがて天へと膨らむは
垂れこめた暗い真っ黒雲
その垂れ布は引き裂かれ
そうして呪文が解き放たれて
黒雲がゆらりゆらりと立ち昇る
垂れこめた空の裂け目から
よそかぜかすかに吐息をついて
垂れ布の上を吹き抜ける
高みには さすらう神の力が在った
眩いばかりのその呪文
垂れこめた空の産声とともに
強く巧みに投げかけられた
御力はまだまだ御健在
何人たりとも抗えない
魔力がそこに在るのだけれど
何人たりとも振り払えない
夜警よ 星と影の鏤められた 闇のときを見詰める者よ
やがて影は滅びるでしょう やがて星は消え逝くでしょう
The wave of Death’s river
Hides the rose in its bloom
The Gift & the Giver
Sleep low in the tomb
The fresh fruit is shaken
The bright blossom strown
The flower lies forsaken
And withered & lone
Then upward to heaven
The dim cloud shall swell
The veil shall be riven
And broken the spell
But slowly the cloud must rise
Faint is the gale
That sighs through the muffled skies
Breath on the veil
High was the wanderer’s power
Wondrous his spell
It wrought in their natal hour
Strongly & well
A might is yet on them
No mortal can quell
A charm rests upon them
Which none can dispel
The watch through the dark time of star & of shade
The shadow shall vanish the starlight shall fade


 ひょんなことからシャーロット・ブロンテの詩集をめくる機会があり、最初の行が気に入って、訳してみました。久々のロマン派です。
 この詩は、1834年6月27日または1834年7月21日付けの、シャーロット・ブロンテの初期小説『呪文――ひとつの狂想曲(The Spell, An Extravaganza)』第二章から。
 バイロンの勉強が3年くらい行き詰まっていて、バイロンとは少し冷却期間を置いてから、また取り組もうと思い、ランボーやリア王に逃げてたきらいがあるのですが、マザーグースを読むことが強制されるという状況下で、4月末にアップしたエミリー・ブロンテによる「Ladybird, ladybird!」の歌を全部読みたかったのです。その関連で、姉シャーロットの詩集に出逢うことになりました。
 「死の河」については、バイロンも「断片」「貴公子ハロルドの巡礼」第三巻でライン河を描写するときに用いている、モチーフではあります。だから、もしかすると、ロマン派(ヴィクトリア朝や象徴派も含めて大きなロマン派の流れを汲む)の詩人たちには、共通の「極めてロマン的な」モチーフなのかもしれません。
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