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生ひ立ちの歌

2007年12月06日 01:48

私のうえに降る雪は

【生ひ立ちの歌】 中原中也

   Ⅰ

  幼年時

私の上に降る雪は
真綿のやうでありました

  少年時

私の上に降る雪は
霙のやうでありました

  十七-十九

私の上に降る雪は
霰のやうに散りました

  二十-二十二

私の上に降る雪は
雹であるかと思はれた

  二十三

私の上に降る雪は
ひどい吹雪とみえました

  二十四

私の上に降る雪は
いとしめやかになりました……

   Ⅱ

私の上に降る雪は
花びらのやうに降つてきます
薪の燃える音もして
凍るみ空の黝む頃

私の上に降る雪は
いとなよびかになつかしく
手を差伸べて降りました

私の上に降る雪は
熱い額に落ちもくる
涙のやうでありました

私の上に降る雪に
いとねんごろに感謝して、神様に
長生したいと祈りました

私の上に降る雪は
いと貞潔でありました



真綿:まわた
霙:みぞれ
霰:あられ
雹:ひょう
薪:たきぎ
黝:くろむ
秋の残骸07-2

先日、大田区立郷土博物館の『川瀬巴水展 - 旅情詩人と呼ばれた
版画絵師 -』を見てきました。大好きな巴水の個展だけあって、
無条件にテンション上がるのですが、
ましてこの雪の絵は印象に残りました。

中原の「生ひ立ちの歌」が頭を旋回しました。
「み空」というのは、神様たちのいる天のことで、
英語に直すとskiesと複数形になるそうですが、
この歌ではその「み空」からふってくる雪が
熱い涙のようであるという表現が、
なんとも語り手の「生」に対する強さと刹那さを
感じました。そして、巴水の版画もまた、
この強さと刹那さを兼ね備えた、美しい冬の情景を
封じ込めているのだと思います。

最後に、蛇足ですが、
「黝む」という感じと語感がとっても好きです☆
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