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月の舟

2008年03月24日 04:39

咲き誇る木蓮

天の海に 雲の波立ち 月の舟 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ
                      柿本人麻呂(『万葉集』人麻呂歌集1068)


(大意)
果てしなく広がる天の海に、雲の白波が立ち、
その海を月の舟が漕ぎ渡って、星の林に隠れて行くのが見える。
    (角川書店編『ビギナーズ・クラシックス 万葉集』角川ソフィア文庫92(2005)、167頁。)
どちらかというと、この歌を初めて見たのが、バイチマンによる英訳の付いた版でした。
In the sea of heaven
cloud waves rise and
the moon boat sails
into a forest of stars,
then is seen no more
     (Janine Beichman)
(大岡信、ジャニーン・バイチマン『(対訳)折々のうた』講談社インターナショナル、2002年、97頁)
この訳では、英語らしく動画的な映像が目蓋を過ぎります。
「in」は海という空間全体を想起させ、その中心に雲の海が立ちます。
そしてそこへboat(屋根なしの小型舟)が現れ、「sail」(帆走する)という動詞の示すように、
爽快に海を進んでいきます。

一方、リービ氏による英訳では、このような形になっています。
On the sea of heaven
the waves of cloud rise,
and I can see
the moon ship disappearing
as it is rowed into the forest of stars.
(Hideo Levy)
(リービ英雄『英語でよむ万葉集』岩波書店[岩波新書(新赤版920)]、2004年)77頁参照。)
「on」では、「海上を」ということになりますから、海の上に雲の波が立ち上がる、という、
水面にクローズアップしたような映像が沸きあがります。
「私」という語り手が現れ、語り手は、月の舟が消えていく場面を、ふと目撃するような
知覚動詞(see)+O+C(=現在分詞)という文型を巧く使っています。
「as」は同時性を表していますから、「漕がれて」ゆくと同時に消えていくのだと
証言していることになります。
また、舟をリービ氏はshipを使っていますから、屋根付きの舟で、
しかもrowを使っているので、櫂で漕いでいる、いわゆる
クレオパトラがアントニウスを誘惑したときに使ったような屋根付きの漕ぎボート、あるいは
たまに山水画に出てくる中国の屋根つきで宴会をするときに使う屋根つき漕ぎボートを
イメージしているのだと想定されます。

どちらも名訳ですよね~
すごいなぁ…

でもまず、人麻呂のイメージが一番凄い!
ロマン派先取り~☆してますよねぇ☆

ちなみに、月の舟を漕いでいるのは
「月人壮士(つきひとおとこ)」らしいです。
マザーグースに出てきた「月の男」みたいだな~と思いました☆
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