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「我が生活」拝読

2008年09月02日 01:21

志賀高原この道をゆけば

 とにかく私は自己を失つた! 而も私は自己を失つたとはその時分つてはゐなかつたのである! 私はたゞもう口惜しかつた。私は「口惜しき人」であつた。
 かくて私は、もはや外界をしか持つてゐないのだが、外界をしかなくした時に、今考へてみれば私の小心――つまり相互関係に於いてその働きをする――が芽を吹いて来たのである。私はむしに、ならないだらうか?
 私は苦しかつた。そして段々人嫌ひになつて行くのであつた。世界は次第に狭くなつて、やがては私を搾(し)め殺しさうだつた。だが私は生きたかつた。生きたかつた! ――然るに、自己をなくしてゐた、即ち私は唖だつた。[…]たゞ口惜しかつた! 「口惜しい口惜しい」が、つねに顔を出したのである。或時は私は、もう悶死するのかとも思つた。けれども一方に、「生きたい!」気持があるばかりに、私は、なにはともあれ手にせる書物を読みつゞけるのだつた。[…]
 が、読んだ本からは私は、何にも得なかつた。そして私は依然として、「口惜しい人」であつたのである。
 その煮え返る釜の中にあつて、私は過ぎし日の「自己統一」を追惜するのであつた。
 甞ては私にも、金のペンで記すべき時代があつた! とラムボオがいふ。

     (中原中也「我が生活」より抜粋)


有名な、「我が生活」を読みました。壮絶です……。長谷川泰子と中原中也、そして小林秀雄の伝説。(これはたぶん、伝説と言ってもいいと思います。)悔しかっただろうなぁ、中也…。でも、小林だって、きっと最後まで悔しかっただろうなぁ…。明日長谷川泰子の本がamazonから届く予定。楽しみ☆

こんなお話、本当にあるんですね。バイロンではないけれど、「事実は小説より奇なり」かなぁ。

「ビッグな人物には逸話がついてまわる」「それはもはや伝説になる」なんて、梅沢春人の『BOY』に書いてあった記憶があるけれど、それはホントにそのとおりかも。中原中也にも逸話や伝説がたくさんあるような気がします~。
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