The Dancing Satyr

2005年03月13日 00:48

 井上究一郎氏の『アルチュール・ランボーの「美しき存在」』という本があった。半年くらい前に拝読したのだが、この書物のなんと最初のページに『サチュロス』(ポンペイ秘儀荘の壁画)なる写真があった。…グロかった…。最初見たとき、どう反応していいかわからなかったほどだ。この書物の内容は、簡単に言うと、ランボーの『Illuminations』全体に触れながら、特にその中の一遍、『Being Beauteous』の精霊について言及した論文集だった。で、ランボーの作品の中では、ギリシア・ローマの影響を色濃く見て取れる作品の一つに、『Antique』(古代風)というのがある。私の個人的で貧相な想像では、この「牧神の息子」は、大理石の彫刻で、それが実際に動き出す瞬間を捉えた作品ではないかと勝手に理解している。
 で、そんな『サチュロス』のグロいイメージを持っていた私に、電車の広告が目に入ったのは先月のこと。上野の博物館で、サテュロス像が公開されるという。しかも、なんか写真の彼は、あの写真とはだいぶちがうではないか。
 …というわけで、つい先ごろ、見に行ってきた。
 両手と片足を失ったSatyrは、躍動感に満ち、どこか哀愁さえ漂わせながら、半狂乱になった瞳を失い、その痕跡が更に見る者を魅入らせる。上体のねじれ、筋肉の美しさ…。失われた指先が見れないことが、酷く残念だった…髪の流れも(てっぺんがなくなっちゃってて気の毒。)本当に素晴らしくて、もしこの彫刻家がアテネの像を作っていたら、それはどんなに美しいだろうと思う。誰が何の目的でこれを作ったんだろう? 分厚い唇が少し歪んでいたのは、「生」の含有する悲哀のせい? それにしても、動的な霊感を感じずにはいられない像だったと思う…。夜になって、誰もいなくなったら、失った手足を修復して、独り会場を狂気を満たして踊っていたら、きっと素晴らしいだろうとおもう…。
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コメント

  1. はろるど | URL | -

    ブログで初めまして。
    ランボーとサテュロスの記事を読みました。
    「グロい」サテュロス像が、今回の展覧会で一新されたようですね。

    >夜になって、誰もいなくなったら、失った手足を修復して、独り会場を狂気を満たして踊っていたら、きっと素晴らしいだろう

    私は手のないサテュロスをそのまま楽しみましたが、確かに表慶館のあの場所で、
    身体性を回復したサテュロスが踊っていたら素敵ですね!

  2. Shallot Barbarina | URL | GosGM5ns

    はろるどさん

    こんばんは~☆
    コメント&トラックバック、有難うございます!
    はろるどさんは、Satyrの手がないという事実を
    解放されたSatyrとお書きになっておられましたが、
    確かにそういう一面はあるのかもしれませんね!
    いつもながら、はろるどさんの観察眼には驚かされます。
    これからもはっとするような感想を聞かせてくださいね☆

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