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The Twilight of This Spring Day

2008年10月18日 23:32

だるまるのうた3

【The Twilight of This Spring Day】
written by Chuya Nakahara
trans. by Ry Beveille

Metal munching on cracers of rice
The twilight of this spring day is calm
A handful of ashes tossed and turning pale
The twilight of this spring day is silent

Wait! Could there be a scarecrow? ―probably not
The whinny of horse? ―not a whinny either
And together with the filmy glimmer of the moon
The twilight of this spring day goes on as ever

Little by little, the temple in the pasture reddens
The wheel of a horse-drawn wagon is dripping oil
If I make some kind of remark at this historical moment
I'm heckled―heckled by the sky and mountains

A single tile has loosened from its place
And now without the slightest sound
The twilight of this spring day
Begins to seep into its vein



munch: むしゃむしゃ食べる
A handful of: 僅かな
toss: (ボールなどを)放り投げる
scarecrow: かかし
whinny: 馬のいななき
together with~:~に加えて、~と共に
filmy: 靄のように霞んだ
glimmer: 微かな光、ちらちらする光
go on: 進み続ける
as ever: いつものように
redden: 赤くなる
wagon: 四輪荷馬車
make remark: (意見などを)言う
heckle: (演説者を)しつこくやじる
loosen from: 解き放たれる、ばらばらになる
seep into: ~へしみこむ

Poems of the Goat: Yagi No UtaPoems of the Goat: Yagi No Uta
(2002/01/10)
Chuya NakaharaRy Beville

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原典は、中原中也の「春の日の夕暮れ」です。



   春の日の夕暮

トタンがセンベイ食べて
春の日の夕暮は穏かです
アンダースローされた灰が蒼ざめて
春の日の夕暮は静かです

吁! 案山子はないか――あるまい
馬嘶くか――嘶きもしまい
ただただ月の光のヌメランとするまゝに
従順なのは 春の日の夕暮か

ポトホトと野の中に伽藍は紅く
荷馬車の車輪 油を失ひ
私が歴史的現在に物を云へば
嘲る嘲る 空と山とが

瓦が一枚 はぐれました
これから春の日の夕暮は
無言ながら 前進します
自らの 静脈管の中へです



案山子(scarecrow)といえば、「秋の愁嘆」の〈悪魔のおじさん〉ですね~
春の霞の中へすべてが閉ざされてのみこまれてゆく。
イメージの転換の仕方が本当に柔らかで素晴らしいですね。

〈ヌメラン〉がなかなか難しい。
Beveille氏はthe filmy grimmer of the moonとしていますが、
フランス語訳のイヴ=マリ・アリュー氏の訳ではさらに「ヌメラン」に近くなっています。
〈伽藍〉という言葉には、おそらく「がらんとした」という寂しさを表す修飾語のイメージが
かぶさっていると思うのですが、どうでしょう。だれもいない、もののないところ。
それが〈伽藍〉に誰もいない雰囲気が演出されているのではないでしょうか。

〈歴史的現在〉はレトリック的な表現。
使うことで、過去のことを引きずっている語り手がいます。

面白いな、と思ったのは、「瓦が一枚 はぐれました」は、
英語では「一枚の瓦がその場所からふりほどかれました」となっているところ。
佐々木幹郎氏が「西洋の言語は空間的な広がりを、日本語は平面的な広がりをする」というような
ことを御著書の中でおっしゃっておられますが、最後の連は、それが顕著に見て取れるような気がします。 

中原中也 悲しみからはじまる (理想の教室)中原中也 悲しみからはじまる (理想の教室)
(2005/09)
佐々木 幹郎

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コメント

  1. hanae | URL | -

    こんにちは

    初めて書き込みます。いつも見に来てます。また遊びにきます☆

  2. Shallot B. | URL | GosGM5ns

    Re: The Twilight of This Spring Day

    hanaeさん、こんにちは。
    コメントありがとうございます☆
    また見ていただけると嬉しいです☆

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