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シントラの丘と森

2008年12月14日 20:39

冬のシクラメン08の1
【チャイルドハロルドの巡礼】第1編より、19連-21連
    バイロン作  Shallot B.訳

19
崩れそうな修道院を冠しているのは、畏ろしい岩山。
草木の繁った斜面を包むのは、真っ白なコルク樫。
焼けつく御空に焦がされた山苔。
窪んだ峡谷、そこでは陽のあたらない潅木が涙してるにちがいない。
凪いだ海の優しい青藍。
燃え立つ緑の大枝を飾るオレンジ色。
崖から谷へと飛びこむ奔流。
高みに葡萄樹、低きに柳枝。
ひとつの拡がる景色に混じり、すべてが色とりどりの美に輝いている。

20
それからゆっくり曲がりに曲がった道を登り、
道すがら、ときおりためらいがちに振り返っては、
さらに高い巌から、新たな美を眺めるがいい。
やがて「聖母の悲しみの家」で一息つきなよ。
そこでは質素な修道士たちが旅人たちに小さな聖遺骨を見せ、
様々な伝説を語ってくれる。
ここで冒涜者は罰せられてきたんだ。見て!
あそこの穴窪の深く、隠者が長きに渡って住んでいたんだ。
地上を地獄に変えてまで、天に値したいと願っていたんだ。

21
そしてきみが岩へと飛び渡るとき、ここそこに、おびただしい数の
荒削りの十字架が、小径の脇に突き刺さっているのを見て。
しかしこれは「献身」の供物だとは思わないで。
これらは殺人の怒りに手向けた儚い記念碑なんだ。
叫び声をあげた犠牲者が、暗殺者の刃に血を流したとこにはどこでも
誰かが朽ちゆく木片で、十字架を立ててやるのさ。
そして森や谷は、この血塗られた大地には、こんな幾千の十字架で満ちている。
ここでは法も命を護りはしないのだ。



昨日に引き続き、バイロンの『ハロルド』1編から。
勉強するって楽しいねぇ(笑)

『ハロルド』3編のライン河の辺りにも、風景を描写するのに、
眼に映るものをひとつずつ1行ずつ書き足していく方法があったような。

バイロンの醍醐味は、美しい風景描写の直後に、血の匂いがすること…(汗)
尚、21連みたいな場所は現実にはないんだそうです。ってことは、バイロンの頭の中のシーン。
いやはや、参りました!



以下原典+注をつけます。
XIX.

The horrid crags, by toppling convent crowned,
The cork-trees hoar that clothe the shaggy steep,
The mountain moss by scorching skies imbrowned,
The sunken glen, whose sunless shrubs must weep,
The tender azure of the unruffled deep,
The orange tints that gild the greenest bough,
The torrents that from cliff to valley leap,
The vine on high, the willow branch below,
Mixed in one mighty scene, with varied beauty glow.

XX.

Then slowly climb the many-winding way,
And frequent turn to linger as you go,
From loftier rocks new loveliness survey,
And rest ye at ‘Our Lady’s House of Woe;’
Where frugal monks their little relics show,
And sundry legends to the stranger tell:
Here impious men have punished been; and lo,
Deep in yon cave Honorius long did dwell,
In hope to merit Heaven by making earth a Hell.

XXI.

And here and there, as up the crags you spring,
Mark many rude-carved crosses near the path;
Yet deem not these devotion’s offering -
These are memorials frail of murderous wrath;
For wheresoe’er the shrieking victim hath
Poured forth his blood beneath the assassin’s knife,
Some hand erects a cross of mouldering lath;
And grove and glen with thousand such are rife
Throughout this purple land, where law secures not life!

19
horrid:恐ろしい, こわい, 忌まわしい.
crag:そそり立つごつごつした岩, ごつごつした岩角
topple:(倒れそうに)前にかしぐ
cork-trees:ブナ科の常緑高木。葉は硬く、長楕円形。5月ごろ花をつけ、秋に実を結ぶ。地中海沿岸地方に多く、樹皮の厚いコルク層から良質のコルクがとれる。
hoar:灰白色の, 白い
clothe:…を(…で)すっかりおおう
shaggy:〈草木が〉はびこった
scorching:焼けつくような, 非常に暑い
imbrown :(他)…を茶色にする;〈人を〉(陽やけで)黒くする;…を薄暗くする.
sunken:〈壁・道路などが〉沈下した, 下がった
glen:(アイルランド・スコットランドの)峡谷, 谷間
shrub:低木, 灌木
unruffled:冷静[沈着]な;〈水面などが〉波立ってない
deep:《詩》海, 大海原, わだつみ
gild:…のうわべを飾る, 見ばえをよくする
mighty:((文))〈物が〉非常に大きな, 巨大な;〈海などが〉広大な

20
linger:(去りかねて)ぐずぐずする, 居残る
frugal:つましい
relic:《キリスト教》聖遺物.
sundry:((形式))いろいろな, 種々の;数個の
impious:不信心な, 不敬な, 不遜(ふそん)な, 無礼な.
yon:あそこの物[人]
Honorius:ホノリウス。1596年、95歳で死んだ修道会士にして隠者。30年以上小さな穴に住んだ。

21
frail:〈陶器などが〉もろい;〈幸福などが〉はかない, 一時の
erect:障壁などを〉築く
moulder:(徐々に)朽ちる, くずれる, 崩壊する((away, down))
lath:木摺(きずり), 木舞(こまい):塗り壁や屋根の下地にする薄く細長い小幅板
grove:((文))木立ち, 林, 小さな森
glen:(アイルランド・スコットランドの)峡谷, 谷間
rife:[形]((叙述))((形式))〈好ましくない物・事が〉はびこって, 広まって
with thousand such are rife:=are rife with thousand such (crosses).
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