La tristesse est salie...

2009年01月25日 02:09

いちごのきせつ
【La tristesse est salie...】
par Chuya Nakahara/ traduit par Yves-Marie Allioux

La tristesse est salie et tombe sur elle
Aujourd'hui comme hier une neige légère
La tristesse est salie et tombe sur elle
Aujourd'hui comme hier passe même le vent

La tristesse est salie
Telle une peau de renard
La tristesse est salie et c'est elle
Qui se blottit sous la neige légère

Salie est la tristesse
Qui sans rien espérer ni sans rien demander
Salie est la tristesse
Qui dans son grand ennui ne rêve que de mort

Dans la tristesse salie
Lamentablement la peur nous saisit
Sur la tristesse salie
Dans l'impuissance retombe la nuit



Telle une: ~のような、ように
peau: 皮
renard: 狐
se blottir: ちぢこまる、身をすくめる、身を隠す
sans rien~: なにも~せずに
ne~que…: …しか~ない
lamantablement: 惨めに、痛ましく
peur: 恐怖、恐れ
saisir: (人を)捕らえる、(感情などが人を)捕らえる、襲う


久しぶりの更新です~><; この数週間というもの、忙しすぎてブログどころかmixi日記すら更新できない有様でした。

先日、とても寒い日に、仲のいい女の子に肩揉みをしてもらいつつ、肩こりの原因のひとつが「寒いと体の筋肉はどうしてもちぢこまっちゃいますからね~」と指摘をされ、なるべく肩周りを温めるように指導されました(笑)。で、ふと思い出したんです…「小雪のかかってちぢこまる、ってかい」。私の鉄板のような肩には、もはやICチップが埋め込まれていて、買い物さえできるんじゃないかというほどに硬くなっておりまして。「汚れつちまつた悲しみ」ばりに肩も悲鳴をあげている模様。

このアリューさんの訳、すごいですね~!
「汚れつちまつた悲しみ」+助詞の変化を、語句の倒置や前置詞句への変化で巧みに訳し分けているんです。

4行の「Aujourd'hui comme hier passe même le vent」は、「今日も」の部分を、「昨日と同じように」という句を補って、相も変わらない様を巧妙に表現しています。
更に凄いなぁと感動したのが、「倦怠のうちに死を夢む」の部分。行末に「mort」を置くことで、次の連の最終行「nuit」と呼応しているのですが、mortとnuitは音としての韻こそ踏んではいないけれど、イメージとしての韻は確実に意識されていると思います。
また、14行の「la peur nous saisit」は「いたいたしくも怖気づき」の訳ですが、日本語では語り手が「怖気づく」のに対し、フランス語では、「恐怖が我々を捕らえる」のです。これは非常に恐ろしいニュアンスであり、読み手の恐怖感を増大させますね~。

いやはや、脱帽。中也の原文も悲痛で身を切るような悲しみですが、アリュー訳も横文字に独特の感情を呼び覚まします。



【汚れつちまつた悲しみに……】 中原中也 作

汚れつちまつた悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れつちまつた悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる

汚れつちまつた悲しみは
たとへば狐の革裘(かはごろも)
汚れつちまつた悲しみは
小雪のかかつてちぢこまる

汚れつちまつた悲しみは
なにのぞむなくねがふなく
汚れつちまつた悲しみは
倦怠(けだい)のうちに死を夢む

汚れつちまつた悲しみに
いたいたしくも怖気(おぢけ)づき
汚れつちまつた悲しみに
なすところもなく日は暮れる……
         (青空文庫より転載)
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コメント

  1. まさ | URL | -

    Re: La tristesse est salie...

    講義前の次官、何気に読んでしまいました。イブさん、お会いする前は勝手に絶世のフランス美女が来るのかとおもってました……現れたのは、ゲンズブール…いや、とにかく男性で(勝手な)驚き。
    いい訳ですよね。

    ちなみに、この詩は、「汚れつちまつた」と二回促音便が入るので一行が3拍子になる詩なんです。こうした3拍子の旋律の特殊性を論じた菅谷規矩雄さんの「詩的リズム」は、優れた批評です、お勧めです。

    失礼しました!!

  2. Shallot B. | URL | GosGM5ns

    Re: La tristesse est salie...

    まさ先生こんにちは!!

    コメントありがとうございます!!
    菅谷規矩雄さんの本読んで見ます~☆
    促音便が2回入ることはわかるのですが、
    感覚的に(「よご・れっ・ちまっ・た」で)4拍子だと思ってました…(汗)
    拍のとりかたが難しい…><;

    詩の勉強を続けているのに、いまだに英語とフランス語の音の数が数えられません…(笑)

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