悪魔たちの饗宴――セヴィリヤ

2009年04月13日 12:00

シエラの風景
【チャイルドハロルドの巡礼】第1編より、42連、45連-47連
    バイロン作  Shallot B.訳

42
そこで奴らは朽ちてゆく――<野心>の馬鹿どもめ!
そうさ、<名誉>が奴らの死体をくるむ墓土を飾りたててくれる。
馬鹿げた詭弁さ! 道具に成り果てた奴らを見ろよ、
毀れた道具さ、独裁者たちが人間の心臓で奴らの道を敷き詰めるとき、
数限りなく投げ捨てた、毀れた道具さ。――どこへ行くのか?――ただ夢ばかりさ。
独裁者どもが権力をつなぎとめておくものを成し遂げることはないのかね?
あるいは、本当に僅かな土地を有し、
骨のひとつひとつがついには砕けるその場所を守ることができるのか?

45
誇り高いセヴィリヤが屈服せずに勝利するところ、
ハロルドはひとり寂しい道をどんどん進んでゆく。
セヴィリヤはまだ自由なのか?―― 略奪者たちは獲物を求めてきたのだが!
すぐに、まもなく<征服>の烈火のような足が踏み込み、
その美しい寺院を粗暴な足跡で汚すのだ。
避けられぬ時よ! 運命に抗ってあがくことは無駄なこと。
そこでは<荒廃>がお腹をすかせた稚魚たちの卵を産みつける。
そうでなければトロイもフェニキアもまだ滅びてはいないだろうし、
<美徳>はすべてを打ち負かし、<殺人>が蔓延ることもない。

46
近づく運命には誰も気づかずに、
宴が、歌が、お祭り騒ぎがここには満ち満ちているのだ。
歓楽の奇妙な流儀が時間を費やし、
祖国の傷ではこれらの愛国者たちが血を流すこともありはしない。
ここでは<戦争>の喇叭の音ではなく、<愛>の音楽が鳴り響く。
ここでは<愚>が彼の信者をとりこにする。
そして若い眼をした<淫猥>が夜更けに辺りを歩きまわる。
<悪徳>は、都会の音なき犯罪でその身を固め、
崩れる城壁に最後までしがみつく。

47
農夫はそうではない。震える伴侶とともに、
その重たい眼を遠くへ見遣ることもなく、潜んでいる。
葡萄畑が枯れ果てるのをみるといけないから、
<戦争>の幾度もの熱い吐息の下で荒れ果てるのを見るといけないから。
もはや、優しい宵の明星の下、彼の陽気なカスタネットを
アンダルシアの陽気な踊りが打ち鳴らすこともありはしない。
あぁ、君主どもよ! おまえたちが台無しにした歓喜の味を思い知れたら、
<栄光>の罠にひっかかって苦悩することもないだろう。
皺枯れたけだるい太鼓も黙り、人はずっと幸せだろうに。


いや~… 擬人法に脱帽します~…。

ポイントになるのは、やっぱり
42連→人間の心臓で道を敷き詰めるというメタファー。骨のひとつひとつが砕ける場所すら守れるかわからないこと。
45連→<征服>の烈火のような足による痕跡。<荒廃>の産みつける卵が孵化するときのイメージ。
46連→<愚>が男性で表現されていること。<淫猥>は女性で表現されていること(どことなくバビロンの娼婦のイメージが浮かぶ)。
47連→<戦争>の吐き出す灼熱の吐息。

ヒエロニムス・ボスの悪魔絵画もびっくり! バイロンってボスの絵画を見たのかなぁ~?
直感的に、これを関連付けて研究してみようかと思い始めてます。。。
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