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カディスへと逃れた愛欲の女神

2009年05月08日 17:50

カディスの夕暮れ

【チャイルドハロルドの巡礼】第1編より、65連-67連
    バイロン作  Shallot B.訳

65
誇り高いセヴィリヤの街は麗しい。国を自慢させてやれ、
その強さを、富を、古代遺跡を誇らせてやれ。
しかし遙かな岸辺に立ちのぼるカディスが、
生まれは卑しくともさらに優しい賛美を引き出す。
ああ、<悪徳>よ! おまえの艶やかな手管のなんと優美なことか!
少年の血が頭にのぼるとき、
おまえの魅力的な眼差しの誘惑を、逃れられるものか。
われらのまわりで、智天使を装ったヒドラのようなおまえは大きく口をひらき、
欺瞞的な姿をあらゆる嗜好に合わせるのだ。

66
忌わしい<時>よ! すべてを征服する女王でさえ、おまえに屈さねばならない。
パフォスの神殿が<時>に打ち崩されたとき、
<快楽>は逃げたが、おなじくらい温暖な国を求めた。
ほかのものには不忠なヴィーナスも、故郷の海には忠を尽くし、
ここに逃れてきて、この白壁の内側に御社を定めたのだ。
女神はその崇拝をひとつの社に限らないけれども、
その儀式に捧げるために、
幾千もの祭壇が並び、
いつまでも炎が燃え続けている。

67
朝から晩まで、そして晩から、宴に高笑う連中を、
朝がこっそり見ては頬を赤らめるまで、
歌が聞こえ、薔薇の花飾りは身につけられる。
風変わりな趣向や、新しい戯れが
踵を接して歩いてゆく。ここに逗留するひとは、
喜びを落ち着かせ、永い別れを述べるのだ。
なにものも宴を妨げはしないが、
ほんとうの信仰の代わりに、修道院じみた御香が焚かれ、
<愛>と<祈り>は一体となり、あるいは交互に時間を支配するのだ。


時の擬人化は、バイロンの得意とするところですが、そこからパフォスの神殿(家)を壊された愛欲の女神がカディスへ引っ越してくるところはうまいですね。その御香のイメージが美しいです。



LXV.

Fair is proud Seville; let her country boast
Her strength, her wealth, her site of ancient days,
But Cadiz, rising on the distant coast,
Calls forth a sweeter, though ignoble praise.
Ah, Vice! how soft are thy voluptuous ways!
While boyish blood is mantling, who can ’scape
The fascination of thy magic gaze?
A cherub-hydra round us dost thou gape,
And mould to every taste thy dear delusive shape.

site:遺跡, 跡;(事件などの)現場
ignoble:劣等の, 粗悪な;生まれ[身分]の卑しい
Call forth:…を引き出す((forth, up));(ある状態に)引き起こす((into, to))
voluptuous:〈女性が〉豊満な体をした, グラマーな;官能的[肉感的]な;好色な;みだらな。((文))感覚に快い, なまめかしい, 色っぽい
mantling:〈顔の赤らみなどが〉広がる;〈顔などが〉赤らむ, 赤くなる;〈雲などが〉一面に広がる.
gape:(驚いたりして)(…を)口をぽかんとあけて見る((at ...));大口をあける;((古風))あくびをする.
mould to:ぴったり合わせる((to, round ...)).
delusive:まぎらわしい, 人を惑わす[だます]

LXVI.

When Paphos fell by Time - accursèd Time!
The Queen who conquers all must yield to thee -
The Pleasures fled, but sought as warm a clime;
And Venus, constant to her native sea,
To nought else constant, hither deigned to flee,
And fixed her shrine within these walls of white;
Though not to one dome circumscribeth she
Her worship, but, devoted to her rite,
A thousand altars rise, for ever blazing bright.

accursèd:((古風))のろわれた;運の尽きた.
constant:(人に)誠実[忠実]な(faithful)((to ...))
deign:〈目上の人が〉もったいなくも[かたじけなくも](…)してくださる
circumscribe:…の周囲に線を引く;…を線で取り囲む;…を区切る, の境界[範囲]を定める
altar:祭壇, 供物台.

LXVII.

From morn till night, from night till startled morn
Peeps blushing on the revel’s laughing crew,
The song is heard, the rosy garland worn;
Devices quaint, and frolics ever new,
Tread on each other’s kibes. A long adieu
He bids to sober joy that here sojourns:
Nought interrupts the riot, though in lieu
Of true devotion monkish incense burns,
And love and prayer unite, or rule the hour by turns.

Peep:(すきま・穴などから)のぞく((through ...));(…を)のぞき見する, こっそり[そっと]見る, 盗み見する((at, into ...))
startle:…をびっくりさせて[刺激して](…の状態に)させる((into, out of, from ...))
revel:((文))底抜け[お祭り]騒ぎ;(ダンスや仮装舞踏会などを伴った)大騒ぎの宴.
garland:(装飾用, または名誉を表す)花輪, 花冠, 花飾り;栄誉, 名誉, 勝利の印, 賞
Devices:工夫, 計画, 趣向;((しばしば ~s))策略, たくらみ
quaint:古風な趣[魅力]のある;風変わりで美しい, しゃれた, いきな
frolic:はしゃぐ, 浮かれ騒ぐ;遊び戯れる((around, about, over))
Tread:((古))〈踊りを〉踊る, 舞う. ((文))((英))行く, 歩く(walk).
sojourn:(自)(場所に)逗留(とうりゅう)する((in, at, on ...));(人の)家に滞在する((with, among ...)).
sober:(他)〈人を〉落ち着かせる;〈人を〉まじめにする((down));〈人の〉酔いをさまさせる((up))
in lieu of ...:…の代わりに(instead of).
monkish:((通例軽蔑))修道士の, 修道院の, 修道生活の;坊主くさい.
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