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そしてハロルドはスペインからギリシアへ

2009年06月04日 01:13

スペインの女性3
【チャイルドハロルドの巡礼】第1編より、85連-93連
    バイロン作  Shallot B.訳

85.
さよなら、麗しいカディスよ! そうさ、永い別れだ!
おまえの城壁がどれほど丈夫に立ちはだかったか忘れられるはずがない。
すべてが変わりゆくとき、おまえだけが変わらなかった。
最初に自由になり、最後に屈服した。
そして、両軍が激突する戦乱の光景の只中で、
この地の民が血を流し、おまえの通りを染め上げるのを見たとしても、
敵の下に斃れたのはただひとりの裏切り者だけだった。
ここでは、貴族以外は、みな気高かった。
堕落した騎士以外、誰も征服者の鎖にすがりついたりしなかった!

86.
スペインの息子たちよ、このようにあれ! そして運命に抗うのだ!
決して自由ではなかった者が、自由を求めて戦う。
<裏切り>のこのうえない奴隷たちに誠意を尽くし、
王なき国民が力のない国家のために戦い、
指揮官が逃走するとき、隷属する者どもが戦う。
命以外何ひとつくれなかった土地を愛し、
<誇り>が自由へと通じる道を指差す。
戦いに挫折しても、戦場に戻り、叫びはまだ戦い、
戦いなのだ、「戦いは終局へと向かっている!」

87.
スペインとスペインの人々について知りたい者は、
さぁ、酷く血塗られた争いについて書かれたものならなんでも読みたまえ。
烈しい<復讐>が外敵にむかって駆り立てられるものなら何でも
そこでは、人命に反する行動をとる。
閃光を放つ三日月刀から隠し小太刀まで、
必要に応じてそれぞれの武器を鋳造する。
どうか彼が姉妹と妻を見守りますように。
どうか彼が呪われた圧制者を殺せますように。
そしてそんな敵が最も冷酷な行為に値するものでありますように!

88.
死者のための憐れみの涙は流れないのか?
血塗られた平原の破壊を見ろ。
女を虐殺して赤く染まった手を見ろ。
埋葬されない死体は犬にやれ、
餌食にする鳥の胃袋にはもったいなくても、
それぞれの死骸はハゲタカにくれてやれ。
白骨化した骨に、そしてどす黒い血痕に、
この戦場での背筋も凍る恐れで、永く印をつけさせるのだ。
こうすることによってのみ、我々の息子たちは我々の見た光景を理解するのだ。

89.
いや、しかし、ああ、非道な行為がなされているのだ。
新たな軍隊がピレネー山脈を下り、流入する。
情勢はまだ悪化し、事態はほとんど始まったばかりだ。
人間の眼が、遠い終焉を見越すことはない。
敗戦した国々はスペインを凝視する。もしスペインが解放されれば、
スペインはかつて残忍なピサロたちが軛につないだ土地よりも多くの土地を解放する。
奇妙な報復だ! 今やコロンビアの平穏は、
キトーの息子たちが受けた暴虐を償っている。
一方母国では、<殺人>がその大地を気ままにうろつきまわっている。

90.
タラベラで流れた血も、
バロッサの驚異的な戦いも、
なみなみとした死者数のアルブエラも、
その正当な権利をスペインには獲得させなかった。
スペインのオリーブの枝から害虫を取り除いてやれるのは、いつの日か?
血色の恥辱の苦役からスペインに息をさせてやれるのは、いつの日か?
フランスの強盗が略奪から足を洗い、
この土地のものではない自由の樹が、祖国の土に根付くまで、
どれほど多くの不穏な日が、夜に沈んでゆけばいいのか?

91.
ああきみ、わが友よ! 無益な嘆きが
僕の胸からあふれ出して、この歌に混じってしまう。
もし力強い兵士とともに、剣がきみを斃したのなら、
<誇り>は<友情>にさえ嘆くことを禁じるだろう。
しかしきみが、こうして栄誉を与えられることもなく、虚しく黄泉への道を下り、
ひとりの胸中を除けば、みんなに忘れられて、
血も流さずに、誇り高い死者たちと混じり合うのに、
一方で栄光がおびただしい数の卑しい兜に冠を被せるとは!
きみは何をしたんだい、そんなに穏やかな眠りへと落ちてゆくなんて?

92.
おぉ、私がもっとも幼いころから知り、もっとも崇めた者よ!
他に愛しい者がなかった心にとって愛しい者よ!
僕の甲斐なき日々からは、永遠に失われてしまったけれど、
夢の中では、どうか会っていただきたい!
<朝>はそっと<意識>の嘆きをかき起こし、
彼女の涙を新たにさせる。
そして<妄想>が、血も流れない棺のうえをつきまとい、
私の脆い肉体が生まれたところに戻り、
やがて悼まれ者も悼む者も、ひとつのまとまりに結び合わさって、横たわるのだ。

93.
ここでハロルドの旅の一節が終わる。
彼についてもっと知りたいひとは、
もしも今歌い紡いでいる者が、さらに書き散らせば、
将来書かれる一葉にいくらか消息が見つけられるだろう。
もう充分だって? 手厳しい批評家よ、まぁそう言うなって。
堪えてくれたまえ! そうすれば、彼が行くよう運命づけられていた土地で、
ギリシアとギリシアの技を蛮族が押し潰すまえの、
古い記念物がある土地で、彼が見たものについて、
きみにお聞きかせしようじゃないか。


92連、いいっスね。。。thouの訳語にめっさ困ったけど。

91連で亡くなった友人の話をしていたのに、(通説では)92連は亡くなった母親の話にすりかわってるので、要注意。91連のthouは「きみ」で多分OKだけど、92連は多分友人と母親など、当時から見て近年亡くなった身の回りの人々を想起しているに違いなく…。母親に向かって「きみ」はないよね。「そち」「そなた」もアウトでしょ? ……「汝」は古臭い感じがするんで、絶対使いたくないし…。とまぁ、苦心惨憺した挙句、こうなりました。

92連の最終行も素敵、というか、1816年の夏に書いたFragment(Could I remount...)と通じるものを感じて、かなりテンションあがるあがる☆*^-^* 擬人法、やっぱ絶妙ですね。

『ハロルド』第1編と第2編は同時発売(?)だったから、内容に連続性があるはず。
来年は多分第2編を訳すことになるはず。というか、訳したい…。
がむばりま~す!!


LXXXV.

Adieu, fair Cadiz! yea, a long adieu!
Who may forget how well thy walls have stood?
When all were changing, thou alone wert true,
First to be free, and last to be subdued.
And if amidst a scene, a shock so rude,
Some native blood was seen thy streets to dye,
A traitor only fell beneath the feud:
Here all were noble, save nobility;
None hugged a conqueror’s chain save fallen Chivalry!

true:終始一貫した, 〈方向などが〉変わらない
save:[前]…を除いては, のほかは, は別として
nobility:((通例the ~))((集合的))貴族(階級)
hug:…を(特に愛情を持って)抱き締める, 抱擁する
Chivalry:((古))((集合的に複数扱い))騎士団;勇敢な武士[紳士]

LXXXVI.

Such be the sons of Spain, and strange her fate!
They fight for freedom, who were never free;
A kingless people for a nerveless state,
Her vassals combat when their chieftains flee,
True to the veriest slaves of Treachery;
Fond of a land which gave them nought but life,
Pride points the path that leads to liberty;
Back to the struggle, baffled in the strife,
War, war is still the cry, ‘War even to the knife!’

nerveless:(体に)力[活気]がない, 力がはいらない;おどおどした, 勇気がない, 臆病(おくびょう)な.
vassal:隷属[従属, 奴隷]
combat:(…と)争う((with, against ...));(…のために)戦う((for ...))
chieftain:((古・詩))指揮官, 隊長
veriest :((文))この上ない, 完ぺきな.
baffle:((しばしば受身))〈望み・計画などを〉くじく;〈人を〉(企てなどで)挫折(ざせつ)させる((in ...))
War to the knife=War to the last extremity, fierce or relentless war.(extremity :極端さ, 過激さ。relentless:ひどく厳格な, きびしい, 過酷な, 容赦のない)

LXXXVII.

Ye, who would more of Spain and Spaniards know,
Go, read whate’er is writ of bloodiest strife:
Whate’er keen Vengeance urged on foreign foe
Can act, is acting there against man’s life:
From flashing scimitar to secret knife,
War mouldeth there each weapon to his need -
So may he guard the sister and the wife,
So may he make each curst oppressor bleed,
So may such foes deserve the most remorseless deed!

urge:せきたてる, かりたてる, …を急がせる, 早める
scimitar:三日月刀:アラビア・ペルシア起源の片刃刀
mould:…を型で作る, 鋳造する;…の鋳型を作る
remorseless:人・行為などが〉無慈悲な, 冷酷な, 残忍な;後悔のない

LXXXVIII.

Flows there a tear of pity for the dead?
Look o’er the ravage of the reeking plain:
Look on the hands with female slaughter red;
Then to the dogs resign the unburied slain,
Then to the vulture let each corse remain,
Albeit unworthy of the prey-bird’s maw;
Let their bleached bones, and blood’s unbleaching stain,
Long mark the battle-field with hideous awe:
Thus only may our sons conceive the scenes we saw!

ravage:破壊行為, 破壊, 略奪.
reeking:血まみれになる
resign:〈権利・要求などを〉放棄[断念]する;〈契約などを〉破棄する;〈財産などを〉譲り渡す;〈人・仕事などを〉(…に)託する, ゆだねる((to ...))
slain:<slay。((文))…を殺す, 殺害する
corse:(人間の)死体, 死がい, なきがら(dead body).
Albeit:((文))…ではあるが(although);…であろうとも(even though)
maw:((文))(肉食動物の)口, のど, 食道;胃
hideous:恐ろしい, ぞっとするほどいやな, ひどく醜い


LXXXIX.

Nor yet, alas, the dreadful work is done;
Fresh legions pour adown the Pyrenees:
It deepens still, the work is scarce begun,
Nor mortal eye the distant end foresees.
Fall’n nations gaze on Spain: if freed, she frees
More than her fell Pizarros once enchained.
Strange retribution! now Columbia’s ease
Repairs the wrongs that Quito’s sons sustained,
While o’er the parent clime prowls Murder unrestrained.

legion:軍隊, 部隊, 軍団.
deepen:(自)(一段と)深くなる;〈音・声が〉低くなる;〈色が〉濃くなる
foresees:…を予感[予知]する, 見越す
fell:激しい;恐ろしい, 残忍な.
retribution:(悪業などの)報い, 仕返し, 報復((for ...));懲罰
Quito:キト:南米エクアドルの首都。ピサロに征服された。
sustain:〈傷・損失などを〉被る, 受ける
wrong:不正行為;不当な待遇, 虐待
prowl:(自)(餌(えさ)・盗む物などを捜して)こそこそうろつく((for ...));ぶらつく, 徘徊(はいかい)する((about, around))
unrestrained:抑制されない, 慎みのない, 気ままな

XC.

Not all the blood at Talavera shed,
Not all the marvels of Barossa’s fight,
Not Albuera lavish of the dead,
Have won for Spain her well-asserted right.
When shall her Olive-Branch be free from blight?
When shall she breathe her from the blushing toil?
How many a doubtful day shall sink in night,
Ere the Frank robber turn him from his spoil,
And Freedom’s stranger-tree grow native of the soil?

Talavera:タラベラ。スペインの地名。1809年イギリス・スペイン連合軍とフランス軍との戦いがあった場所。
Barossa:バロッサ。スペインの地名。1811年イギリス軍とフランス軍との戦いがあった場所。
Albuera:アルブエラ。スペインの地名。1811年イギリス・スペイン連合軍とフランス軍との戦いがあった場所。
lavish:豊富な, たっぷりの;多すぎる;豪奢(ごうしゃ)な
blight:((単数形))損傷[破滅]の原因;(希望・楽しさを)こわすもの((on ...))
blushing:(恥ずかしさ・当惑などで)顔を赤らめる((for, with ...));(…に)赤面する((at ..., to do))
Frank:フランク族(の一人), フランク人。ここではフランス人のこと。

XCI.

And thou, my friend! since unavailing woe
Bursts from my heart, and mingles with the strain -
Had the sword laid thee with the mighty low,
Pride might forbid e’en Friendship to complain:
But thus unlaurelled to descend in vain,
By all forgotten, save the lonely breast,
And mix unbleeding with the boasted slain,
While glory crowns so many a meaner crest!
What hadst thou done, to sink so peacefully to rest?

my friend:1811年5月14日、コインブラで熱病で亡くなった近衛連隊のジョン・ウィングフィールドのこと(原注)(東中)。(同じ時期に、バイロンは複数の友人と母親を亡くしており、このことが、1-2行に反映している。)
unavailing:[形]((文))〈努力・勇気などが〉効果のない, 無益な, むだな, むなしい.
laurel:…に栄誉[名誉]を与える
descend:黄泉への道を下って行くこと。(田吹)
boasted:(…を)誇張して[誇らしげに]話す, 自慢する, 誇る, 誇りにする((about, of ...)).
crest:《紋》かぶと飾り

XCII.

Oh, known the earliest, and esteemed the most!
Dear to a heart where nought was left so dear!
Though to my hopeless days for ever lost,
In dreams deny me not to see thee here!
And Morn in secret shall renew the tear
Of Consciousness awaking to her woes,
And Fancy hover o’er thy bloodless bier,
Till my frail frame return to whence it rose,
And mourned and mourner lie united in repose.

bier:[名]棺架, 棺台;墓
bloodless:病死したために血を流していない。
hover:(人・場所に)付きまとう, (…の)そばをうろつく, 離れない((around, about ...))
repose:まとまり
united:((限定))結ばれた, 結合[連合, 合体, 合併]した

XCIII.

Here is one fytte of Harold’s pilgrimage.
Ye who of him may further seek to know,
Shall find some tidings in a future page,
If he that rhymeth now may scribble moe.
Is this too much? Stern critic, say not so:
Patience! and ye shall hear what he beheld
In other lands, where he was doomed to go:
Lands that contain the monuments of eld,
Ere Greece and Grecian arts by barbarous hands were quelled.

fytte:=fit。((古))歌, 物語;(歌・物語の)一節.
tidings:(複)((通例複数扱い))((古))便り, 通知, 音信, 消息, 報道, 情報
moe:=more
rhyme:…を詩(特に押韻詩)に作る[うたう], 〈詩・物語などを〉韻文で書く
scribble:走り書きする, 落書きする
quell:〈反乱・騒擾(そうじょう)などを〉しずめる, 鎮圧する
monument:記念建造物[碑, 像, 館]
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