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ひとは空へと眼を向ける

2009年07月12日 20:21

ミネルヴァさんとミューズさんたち
*STELLA, Jacques (b. 1596, Lyon, d. 1657, Paris) Minerva and the Muses(1640-45)、Oil on canvas, 116x162 cm、Musée du Louvre, Paris

【チャイルドハロルドの巡礼】第2編より、1連-4連
    バイロン作  Shallot B.訳

1
さぁ、青い瞳をした天の処女(おとめ)よ! しかし、ああ、
おまえはこの世のたったひとつの歌でさえ決して与えてはくれなかった。
知恵の女神よ! ここギリシアのアテネにはおまえの神殿があったのだ。
そして今も存在している。<戦争>や、なにもかもをめちゃめちゃにする炎、
そしておまえへの崇拝に消えろと命じた歳月などにもかかわらず。
しかし、刀剣よりも、炎よりも、のろのろ過ぎ行く歳月よりも悪いのは、
おまえとおまえの信者たちの思いが洗練された胸に授ける聖なる光を
まったく感じなかった者どもによる
恐怖の王権と陰惨な支配なのだ。

2
いにしえよりいる者よ! 畏れ多いアテナよ! 一体どこに、
おまえを信じる心根の堂々とした立派な勇者がいるのだろうか?
逝っちまった――過去の幻影を抜けて煌きながら。
<栄光>のゴールを目指す競走で先頭をきり、
勝ち、そして消えちまった――これで終わりか?
こどものおはなし、一炊の夢!
<戦士>の武器や<賢者>の肩帯を求めても無駄だ。
朽ちゆく塔の上高く、権力の影が
歳月の靄で薄暗く翳り、陰気な様相で飛び回る。

3
<暁>の息子よ! ここへ来るがいい!
来るんだ――だがあそこの無防備な骨壷を苛まないでくれ。
ここを見るがいい――一国の墳墓を!
もはや篝の灯らぬ社の数々、神々の住処を。
神々でさえ屈しなければならない――宗教はかわるがわる。
かつてはジュピターの、そして今はマホメットの時代。
ほかの宗教は別の時代に隆盛するだろう、ひとに
虚しく香炉を掲げ、その犠牲者の血を見るまで。
可哀想な<猜疑>と<死>の子は、一縷の望みを葦に託す。

4
大地に縛りつけられて、ひとは空へと眼(まなこ)を向ける――
いま生きているとわかるだけで、それでいいじゃありませんか、
あわれなものよ! たとえこの世でなくとも、天と交われるならどこでも、
いちど生を受けたのに、2度も生きたいと願い、
どこへ行くのか意にも介さず、見ず知らずのところへと行きたいと願うとは、
これが有難くも賜わった恩恵なのか?
それでもなお、おまえは未来の<歓喜>と<悲嘆>を夢にみるつもりか?
飛び去るまえに、むこうの灰燼を見て考えなさい。
あの小さな骨壷は、夥しいほどの説法よりもものを語っているのだよ。


<見どころとか、呟き>
1連: アテナ、カッコイイです~(笑) やっぱ軍神。
2連: glimmering through the dream of things that were(3行)の煌いて消えていく幻やら夢やらなんて、とっても漫画ちっく…ほっ。the wonder of an hour(6行)は、「一炊の夢」と訳しましたが、これは意訳です。直訳すると「一時間の驚き」。日本語として味気ない気がしたんですよね~。8-9行もゴシック版画っぽくていいですね~!
3連: 「<暁>の息子」っていうのは、いろいろ解釈があるようですが、個人的にはルシファーをどことなくイメージしているのがいいかなーと。ルシファーは「明けの星」の意ですからね! 宗教のかわるがわるの勃興、そして犠牲者の流血惨事は、今もまだ続いているのですね。人間って、そう簡単には変われない…。いつの時代も同じ愚かさが繰り返されているのかもしれません。
4連: 実は4-6行がうまくつかめてません…sn。1-3行では、中原中也の「ゆふがた、空の下で、身一点に感じられれば、万事に於て文句はないのだ。」と「蛙声」のBeville英訳を思い出しました。多分、skiesとsky、そしてheavenの使い分けですね。宗教的な眼差しが入り込むことばです。近代自我の認識って、やっぱ空の下でめいっぱい感じるものなんでしょうねぇ。カッコイイ☆ハート2つ



I.
Come, blue-eyed Maid of Heaven! - but Thou, alas,
Didst never yet one mortal song inspire -
Goddess of Wisdom! here thy temple was,
And is, despite of War and wasting fire,
And years, that bade thy worship to expire:
But worse than steel, and flame, and ages slow,
Is the dread sceptre and dominion dire
Of men who never felt the sacred glow
That thoughts of thee and thine on polished breasts bestow.

Come: ((間投詞的に))((話・古風))((催促・警告・怒り))さあ, おい, これこれ, よせ, ふざけるな;((慰め・励まし))さあ, ほら
blue-eyed maid of heaven: 女神アテナのこと。
mortal: ((限定))((詩))(死すべき運命をもった)人間の(human);この世の(earthly)
inspire: …を霊感[神感]によって伝える;〈作品などを〉霊感によって生じさせる;〈人を〉霊感[神感]によって導く.
despite: [前]…にもかかわらず(in spite of)
wasting:〈戦争などが〉荒らす, 荒廃させる;〈地域が〉しだいに荒廃する
bade:bidの過去形。[V[名](to) do] ((文))〈人に〉(…するよう)命令[指示]する, 頼む
expire:〈火などが〉消える, 絶える.
steel:「ここでは「鋼鉄の武器」の意。」(田吹)
sceptre:((the ~))王権, 王位
dominion:((文))支配, 統治
dire:(通例限定))恐ろしい, ものすごい, 悲惨な, 陰惨な, 不吉な, 不幸[災難]をもたらす
polished:文章・物腰・人などが〉洗練された, 教養のある, 優雅な


II.
Ancient of days! august Athena! where,
Where are thy men of might, thy grand in soul?
Gone - glimmering through the dream of things that were:
First in the race that led to Glory’s goal,
They won, and passed away - is this the whole?
A schoolboy’s tale, the wonder of an hour!
The Warrior’s weapon and the Sophist’s stole
Are sought in vain, and o’er each mouldering tower,
Dim with the mist of years, grey flits the shade of power.

Ancient:Ancient of daysで「日の老いたる者」の意(田吹)。神を表すことば。
august:((文))威厳のある, 堂々とした, おそれ多い, 身分の高い
might:能力, 実力, 知力, 体力, 腕力
wonder:不思議な[驚くべき]物[人, 事];驚嘆[感嘆]を引き起こすもの;奇跡;奇跡的な行為[事件, 効果, 効能]
stole:聖職者用祭服の帯状の布
Dim:薄暗く[ほの暗く]なる;かすむ e.g.The room dimmed with smoke. 部屋は煙で薄暗くなった.
flit:(自)〈人・物が〉すっと動く, (せわしなく)動き回る;〈雲などが〉すばやく飛ぶ;〈鳥・昆虫などが〉飛び回る((about));〈時が〉すばやく過ぎ去る((by));〈思い・表情などが〉かすめる, 去来する, よぎる

III.
Son of the Morning, rise! approach you here!
Come - but molest not yon defenceless Urn!
Look on this spot - a Nation’s sepulchre!
Abode of Gods, whose shrines no longer burn.
Even Gods must yield - Religions take their turn:
’Twas Jove’s - ’tis Mahomet’s; and other Creeds
Will rise with other years, till Man shall learn
Vainly his incense soars, his victim bleeds;
Poor child of Doubt and Death, whose hope is built on reeds.

molest:((古風))〈人などに〉危害を加える, を苦しめる;…の邪魔をする.
yon:あそこの, 向こうの, あそこに見える
defenceless:防備のない, 無防備の
sepulchre:((文))墓, 墳墓, 埋葬所. ▼特に岩穴に設けられたものや石・煉瓦(れんが)造りのものをいう
Abode:((文・法律))住所, 住居, 居所;((おどけて))家, うち
yield:((文))〈人・軍隊などが〉(…に)降服[屈服]する;(権力・懇願・議論・欲望などに)屈する, 負ける, 折れる, 従う, 応じる((to ...))

IV.
Bound to the Earth, he lifts his eyes to Heaven -
Is’t not enough, Unhappy Thing! to know
Thou art? Is this a boon so kindly given,
That being, thou would’st be again, and go,
Thou know’st not, reck’st not to what region, so
On Earth no more, but mingled with the skies?
Still wilt thou dream on future Joy and Woe?
Regard and weigh yon dust before it flies:
That little urn saith more than thousand Homilies.

boon:((古風))頼み, 願いごと、(…にとっての)恩恵, 利益((for, to ...));恵みとなるもの, ありがたいもの((for ...))
reck:((文))((疑問文・否定文))…を意に介する
weigh:…を慎重に考慮する
saith:((古))sayの三人称単数直説法現在形.
Homilies:((形式))法話;訓戒
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