2009年09月03日 10:37
![]() | 魔女とキリスト教―ヨーロッパ学再考 (講談社学術文庫) (1998/01) 上山 安敏 商品詳細を見る |
バイロンとランボー共通項が見え隠れしました!(感涙)
『魔女とキリスト教』読了しました☆
色々な面で多大に刺激されました。
まず、『サロメのダンスの起源』でも出てきたキュベレー神を含めた大地の豊饒神=地母神信仰とキリスト教のかかわりについて。ここに、バイロンの『マンフレッド』のヒロイン、アスタルテの名前のもととなっているアシュタルテ神も含まれて出てきます。また、キリスト教以外の古代宗教のバール神やモロク神、ゾロアスター教のアフリマンなんかもここへ出てきました。
キリスト教の脱魔術についてでは、ランボーの『地獄の季節』における「ことばの錬金術」の説明に研究者ブリュネルが用いていたカバラ文献であるとか、バイロンの<自我意識>の説明で用いられるネオプラトニズムなどが出てきました。
そのほか、絵画では版画のデューラー、ブリューゲルなどが取り上げられ、魔女や悪魔のイメージの普及に版画がどのように関わったかが述べられていました(219-220頁)。
ジェンダーでは、カタリ派やリリトの伝説など、男女の平等を基準とする考え方がキリスト教では異教あるいは異端として扱われた過程、現代の<魔女>の使われ方などが述べられていました。シェイクスピアの女性嫌悪(ミゾジニー)表現って、実は時代性だったんじゃないかとさえ思えました。
また、魔女裁判をめぐる15-16世紀のヨーロッパにおける社会と思想の動きがいかなるものであったかも詳細に述べられていました。熱狂って怖ろしいですね(笑)。
ランボーやバイロンの魔女・悪魔・魔術についての文化的背景が垣間見れました。
これでまた、彼らの作品を読むのがいっそう楽しくなります☆
- 関連記事
-
- 吉本隆明『詩の力』読了
- 上山安敏『魔女とキリスト教』読了
- 『ぬらりひょんの孫』第6巻読了
コメント
コメントの投稿