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自然というお母さまへ

2009年11月22日 22:35

Minaret

【チャイルドハロルドの巡礼】第2編より、36連-38連
    バイロン作  Shallot B.訳

36
先へ! 歌の途中でのろのろ進んではいけない、
我々には、虚構によってではなく、もの想う<悲しみ>によって
導かれて行く山路(やまみち)がたくさんあるし、
沿って航海する様々な岸辺がたくさんあるのだから。
そのうえ、人間の頭が、そのちっぽけな空想で、
かねてより想像する限りに美しい国々が、
あるいは、あの堕落したものがかつてそのように教えられたのであれば、
人がありうる姿を、あるいは人があるべき姿を教える、
新たな<理想郷>にて知らしめられる国々が、たくさんあるのだから。

37
愛しい自然は、その穏やかな表情には、常に変化があるけれども、
なお最も優しいお母さま。
僕はお母さまのお気に入りっ子ではないけれど、決して乳離れしないこの僕に、
お母さまの露わな胸からお乳をたくさん飲ませてほしい。
あぁ! 文明がその小路を汚さぬところでは、
その激しい表情がもっとも美しい!
僕は誰もほかのひとが見ていないときに彼女を見つめていたけれども、
昼も夜も、彼女はいつも僕に微笑んでくれた。
そして僕は彼女をもっともっと追い求め、嵐のときの彼女をいちばん愛したのだ。

38
アルバニアの大地よ! そこは、若者たちがよく口にする名、
賢者の指標とも言える、アレクサンドロス大王が生まれたところ。
そして彼、その大王と同じ名の男もここに生まれ、
しばしば当惑したその敵は、彼の勇敢な偉業の業にひるんだ。
おまえに、荒んだ野郎どもの荒くれ乳母よ!
十字架が沈み、イスラムの光塔が立ち昇り、
そして、町々のたくさんの糸杉の木立ちを通して、
蒼褪めた三日月が峡谷に輝くのだ。


36連は、いつもどおり、横道へ話がそれたときの、バイロンの常套手段。
37連は、大好きな自然というお母さまの美しさとその崇拝者である語り手の気持ち。
39連は、アルバニアへの呼びかけ。

ひさしぶりにバイロンを訳すということの幸せを噛みしめました。
じっくりこれに集中して取り組めるという状況こそ、大切なのですね。
かけがえのないものをまたひとつ改めて認識しました…

38連の最終3行にバイロンの描写の巧さが認められると思います!
ここポイントじゃないかしら。


XXXVI.

Away! nor let me loiter in my song,
For we have many a mountain path to tread,
And many a varied shore to sail along,
By pensive Sadness, not by Fiction, led―
Climes, fair withal as ever mortal head
Imagined in its little schemes of thought;
Or e’er in new Utopias were ared,
To teach Man what he might be, or he ought―
If that corrupted thing could ever such be taught.

Away:=Go away
loiter:(当てもなく)ぶらつく, うろつく((about, around));のろのろ進む;道草を食う, 寄り道をする
pensive:思案に暮れた, 物思いに沈んだ.
By pensive Sadness, not by Fiction, led:=Led by pensive Sadness, not by Fiction.(田吹)
Clime:地方, 地域, 国
withal:そのうえ, 同様にまた, 同時に
fair withal as ever mortal head/ Imagined:=fairer than man ever imagined
scheme:計画, 企画, (…の)案((for, of ...)
ared:=aread(=declare, make known, utter, tell)の過去分詞。

XXXVII.

Dear Nature is the kindest mother still!
Though always changing, in her aspect mild:
From her bare bosom let me take my fill,
Her never-weaned, though not her favoured child.
Oh! she is fairest in her features wild,
Where nothing polished dares pollute her path:
To me by day or night she ever smiled,
Though I have marked her when none other hath,
And sought her more and more, and loved her best in wrath.

my fill :drink one's fillさんざん飲む.
wean:〈赤ん坊・動物の子を〉(…から)乳離れさせる((from ...));…を(…から)引き離す

XXXVIII.

Land of Albania! where Iskander rose,
Theme of the young, and beacon of the wise,
And he his namesake, whose oft-baffled foes
Shrunk from his deeds of chivalrous emprize:
Land of Albania! let me bend mine eyes
On thee, thou rugged Nurse of savage men!
The Cross descends, thy Minarets arise,
And the pale Crescent sparkles in the glen,
Through many a cypress-grove within each city’s ken.

Albania:アルバニア(共和国)(Republic of Albania):Balkan半島西部;首都Tiranaティラナ
Iskander:アレクサンダー大王(356-323B.C.):マケドニアの王(336-323B.C.)
Theme of the young:「勇猛果敢な征服者としての彼の野心的な行為は、経験の浅い未熟な若者たちをひきつけ、彼らはそれを好んで口にする」(田吹)
beacon of the wise:賢者の指針となる人物
he:George Castriota (Kastrioti, 1404-68)のこと。アルバニア独立のために戦った。詳細は、こちらhttp://en.wikipedia.org/wiki/Skanderbeg
namesake:他と同名の[他にちなんで名づけられた]人[物]
emprize:=an undertaking, enterprise.
rugged:〈人・性格などが〉きびしい, 険しい;厳格な
Minarets:(イスラム寺院の)光塔, ミナレット
ken:理解, 知識, 認識;視野, 視界
grove:((文))木立ち, 林, 小さな森
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