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巡礼者は太陽の、羊飼いは嵐の、行き過ぎるのを見つめて

2010年01月17日 19:01

Yanina
Yanina, ca. 1810

【チャイルドハロルドの巡礼】第2編より、48連-52連
    バイロン作  Shallot B.訳

48
ジッツァの修道院よ! こじんまりとはしているが、
聖なる土地の恵まれた場所よ! おまえの陰がちの額から、
周囲、上方、下方、我々はどこを見つめても、
なんという虹の色合いを、なんという魔的な魅力を、発見できるのか!
岩、河、森、山、そして全体を調和させる最も青い空、
すべては結びつくのだ。
下方では、驚かせるが魂を宥めてくれる、遠く本流の音が
あれらの転げ落ちそうな岩々の間で、
煙立ち込める瀑布がどこで渦を巻いているかを告げている。

49
むこうのこんもりした丘に頂いている茂みの真ん中に、
(それはたくさんの山々が近くになければ、
立派な階級にかぞえられ、そしてなお立派だと言われ、
それ自体気高いものだと充分思われるのかもしれないが、)
修道院の白い壁が高く美しく輝いている。
ここには修道僧が住んでいて、彼は決して粗野ではないし、
もてなしを慎むこともない。通りすがりの人々は、
いつも歓迎されるのだ。もしも彼が親切な自然の輝きを目にして喜ぶのならば、
彼は考えなしにここから逃れはしないだろう。

50
ここへは彼を、うだるような暑い季節に休息させに来させるといい。
あれらの老木の下では緑が鮮やかだ。
ここではもっとも優しい翼の風が、彼の胸を仰ぐだろう。
天国そのものからのそよ風を、彼は吸い込んでもいいのだ。
平原は遙か下方にある――おぉ! 彼にできるだけ純粋な喜びを
持たせてやってくれ。ここでは焼きつくような光線が
身を焼き焦がすこともないし、病気を吹き込むこともない。
それから彷徨う巡礼者にはその身を横たえさせてやれ、
そして朝が、昼が、夕が行き過ぎるのを、飽きることなく見つめなさい。

51
目の前に拡がる、暗褐色で巨大な
<自然>の火山の劇場、
炎を吐く怪獣の山脈が左から右へと拡がってゆく。
その下に、息づく谷間が身動きしているみたい。
山羊の群が遊び、樹木がそよぎ、せせらぎが聞こえ、山樅が頭上でざわめく。
かつて黄泉へと流れ、崇められた
暗き三途の川を見て!
冥府の王よ! もし僕が見ているこれが冥界ならば、
面を汚された楽園の門を閉ざせよ、僕の霊はもう何も求めないよ。

52
街の塔が美しい景観を損なうことはない。
そんなに遠くもないけれど、小高い山に遮られて
ヤニナの山は見えない。ここは人も少なくて、
村もまばらで、寂れた小屋も滅多にない。
でも、崖から下を見下ろせば、羊や山羊が草を食んでいる。
それから、散り散りになった群れを案じて、
羊飼いの少年が、白い外套をみにまとい、
華奢な体を岩にもたせかけている、
またあるときは、にわかな<嵐>の行き過ぎるのを、洞の中で待っている。


Zitsaの丘の修道院と、そこからの眺望を歌った部分です~。
昨日府中のターナー展を見てきた直後だけに、いっそう水彩のイメージが…(笑)

画像を検索していて気づいたんですが、アルバニアって、数年前まで戦争していたのでしたね。
こんなにも美しい景色の中で、兵士達が銃口を向けている写真は、なんだか胸の詰まるものがありました。

51連は、少し内容を詰め込みすぎた感がありますね。
バイロンはきっと書きたいことがいっぱいありすぎたんでしょうね。
前半5連+9連の末尾だけでいいような気がします~。

52連は、素描のような図像ですね。
聖書風の白い外套(コート)、どことなく宗教画のような雰囲気さえ漂います。





XLVIII.

Monastic Zitza! from thy shady brow,
Thou small, but favoured spot of holy ground!
Where’er we gaze―around―above―below―
What rainbow tints, what magic charms are found!
Rock, river, forest, mountain all abound,
And bluest skies that harmonise the whole:
Beneath, the distant Torrent’s rushing sound
Tells where the volumed Cataract doth roll
Between those hanging rocks, that shock yet please the soul.

Monastic:((通例限定))修道院の
brow:((詩))顔つき, 表情
volumed:〈煙などが〉うず巻いた, もくもくした
Cataract:((文))滝, (特に)大滝, 瀑布(ばくふ).

XLIX.

Amidst the grove that crowns yon tufted hill,
Which, were it not for many a mountain nigh
Rising in lofty ranks, and loftier still,
Might well itself be deemed of dignity,
The Convent’s white walls glisten fair on high:
Here dwells the caloyer, nor rude is he,
Nor niggard of his cheer; the passer by
Is welcome still; nor heedless will he flee
From hence, if he delight kind Nature’s sheen to see.

dignity:気高さ, 品位, 高潔さ, 気品;価値, 貴重さ, 尊さ, 価値, 優秀さ
caloyer:ギリシア人の修道僧。
heedless:(…に)かまわない;不注意な((of ...))
flee:(危険・災害・追跡者などから)逃げる((from ...));(安全な所へ)逃げる((to ...))

L.

Here in the sultriest season let him rest,
Fresh is the green beneath those aged trees;
Here winds of gentlest wing will fan his breast,
From heaven itself he may inhale the breeze:
The plain is far beneath - oh! let him seize
Pure pleasure while he can; the scorching ray
Here pierceth not, impregnate with disease:
Then let his length the loitering pilgrim lay,
And gaze, untired, the morn, the noon, the eve away.

inhale:息を吸い込む
scorch:〈太陽・夏などが〉〈植物などを〉枯らす, しなびさせる
impregnate:…に(…を)充満[飽和]させる, しみ込ませる((with ...));〈人・心などに〉(思想・感情を)吹き込む, 植えつける((with ...))

LI.

Dusky and huge, enlarging on the sight,
Nature’s volcanic Amphitheatre,
Chimera’s Alps extend from left to right:
Beneath, a living valley seems to stir;
Flocks play, trees wave, streams flow, the mountain fir
Nodding above; behold black Acheron!
Once consecrated to the sepulchre.
Pluto! if this be Hell I look upon,
Close shamed Elysium’s gates, my shade shall seek for none.

enlarge:(いっそう)大きくなる;ふえる;広がる;〈写真が〉引き伸ばしがきく.
volcanic:火山の;火山性の, 火山作用による;火山のある[多い]
Amphitheatre:(古代ローマの)円形劇場[闘技場];(半円形の)階段教室. すりばち形の地形, 盆地.
Chimera:((しばしばC-))《ギリ神話》キメラ:ライオンの頭・ヤギの体・蛇の尾を持ち, 火を吐く怪獣
stir:〈人・物が〉(かすかに, そっと)動く, そよぐ
fir:モミ
Acheron:《ギリ・ローマ神話》アケロン:よみの国(Hades)の川;渡し守Charonの舟で死者の魂がここを渡る. 地獄(hell);よみの国, 冥土(めいど).ただし、ここでは実際のアケロン川だと思い込まれている東側の川のこと。
consecrated:…を神聖にする, 神聖だと宣言する;…を聖別する, 奉献する。((しばしば受身))…を崇拝[尊敬]の対象とする, あがめる
sepulchre:[名]((文))墓, 墳墓, 埋葬所. ▼特に岩穴に設けられたものや石・煉瓦(れんが)造りのものをいう
Pluto:《ギリ神話》プルトン:冥府(めいふ)の神.
shame:〈人を〉恥ずかしめて(…を)させる[やめさせる]((into ...;out of ...))
Elysium:《ギリ神話》エリュシオン(Elysian Fields):祝福された人々が死後に住む楽土.
shade:((文))亡霊, 幽霊;死霊(しりょう)

LII.

Ne city’s towers pollute the lovely view;
Unseen is Yanina, though not remote,
Veiled by the screen of hills: here men are few,
Scanty the hamlet, rare the lonely cot:
But, peering down each precipice, the goat
Browseth; and, pensive o’er his scattered flock,
The little shepherd in his white capote
Doth lean his boyish form along the rock,
Or in his cave awaits the Tempest’s short-lived shock.

Ne:《古》not
screen:遮蔽(しゃへい)物;防護物
Scanty:まばらな
hamlet:小村, 村落. ((英))(教会がなく, 近くの村・町の教区に属する)小村
cot:((詩))小さな家, 小屋.
peer:じっと見る, (…を)凝視する((at, about, through ...))
precipice:断崖(だんがい), 絶壁;危機, 窮地
Browseth:牛・シカなどが〉(草などを)食べる, はむ((on ...))
pensive:思案に暮れた, 物思いに沈んだ、〈言動・表情などが〉哀愁を漂わせる, 物悲しい
capote:フードつきの長い外套(がいとう)
lean:…を(…に)寄りかからせる, もたせかける((against, on, upon ...))
form:(人の)姿, 体つき, 体
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