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徐々に迫ってくる戦士の歌声

2010年01月17日 21:04

ドドナの神殿跡

【チャイルドハロルドの巡礼】第2編より、53連-55連
    バイロン作  Shallot B.訳

53
あぁ! ドドナの地よ、おまえの古き森、
預言の泉、聖なる神託はどこにあるのか?
ゼウスの御声はいかなる谷間にこだましたのか?
いかなる痕跡が<雷神>の社に残っているのか?
すべて、すべては忘れられた。そしてひとは
あっという間の人生の脆い絆が崩れてゆくと嘆いているのか。
やめなさい、なんと愚かな! 神々の運命はひとの運命になってしかるべきなのだ。
おまえは大理石や楢の大樹よりも生き永らえるつもりなのか?
国家が、言語が、世界が時の一撃で斃れなければならないというのに!

54
エピルスの国境は退いてゆき、山々がかき消えてゆく。
じっと天を仰ぐのに疲れた眼は、草色の布に身を包んだとこしえの春のように
滑らかな谷間を、喜んでうち眺める。
平原にでさえ、みすぼらしい美などありはしない。
そこではいくぶん大胆な河が長大な広域を引き裂いて、
岸辺に沿った森は、梢をざわめかせている。
樹々の影は輝く水面に踊り、
時には<真夜中>の荘厳な恍惚のうちに、月明かりとともに眠る。

55
太陽は広大なトマロス山脈の彼方に沈み、
広く猛々しいラオス河は傍を轟々と流れていった。
いつもの夜闇が差し迫って来たけれども、
そのとき、注意深く曲がりながら、急な岸辺を降りて行った。
そして貴公子ハロルドは、まるで空の彗星のように、
光り輝くテパレンのイスラム寺院の光塔を見た。
寺院の壁は河を見下ろしている。徐々に迫ってくる戦士の騒々しい歌声が、
長く続く峡谷に沿って流れる夜風に乗って来るのを、
彼は聞いた。


いよいよバイロンの生涯(?)のヒーローであり、憧れのアリ・パシャ登場!
光塔や戦士達の歌声は彼の権力を示している模様。
まるで目の前に戦士達がいるような錯覚のする55連。聴覚・視覚効果ともにすばらしい。
空気まで感じられるようですね。




LIII.

Oh! where, Dodona, is thine aged Grove,
Prophetic Fount, and Oracle divine?
What valley echoed the response of Jove?
What trace remaineth of the Thunderer’s shrine?
All, all forgotten - and shall Man repine
That his frail bonds to fleeting life are broke?
Cease, Fool! the fate of Gods may well be thine:
Wouldst thou survive the marble or the oak?
When nations, tongues, and worlds must sink beneath the stroke!

Dodona:古代ギリシア北西部、エーペイロスにある。ゼウスの神殿があった。神託で知られる。(東中)
trace:(事件・事物などの)形跡, 名残り, 痕跡(こんせき)((of ...))
repine:むずかる, じれる(fret);(…について)不平を言う, ぐちをこぼす, 文句を並べる((at, against ...))
oak:《植》オーク:ブナ科コナラ属の総称;常緑樹カシの類も含む(▼大木となり, 強靭(きょうじん)さの象徴;雷が落ちやすいとされる;実はacorn)

LIV.

Epirus’ bounds recede, and mountains fail;
Tired of up-gazing still, the wearied eye
Reposes gladly on as smooth a vale
As ever Spring yclad in grassy dye:
Ev’n on a plain no humble beauties lie,
Where some bold river breaks the long expanse,
And woods along the banks are waving high,
Whose shadows in the glassy waters dance,
Or with the moonbeam sleep in Midnight’s solemn trance.

Epirus:エピルス, エペイロス。ギリシャ北西部とアルバニア南部にあった古代国家
fail:〈光・音・においなどが〉消えてゆく, なくなる
Repose:(場所に)横になる, 寝る, 休む, 休息[休養]する
yclad:=Clothed(田吹)
grassy:草色の.
dye:染料, 染(料)液
humble:質素な, みすぼらしい
trance:夢うつつ;ぼう然自失;忘我(の境), 恍惚(こうこつ)





LV.

The Sun had sunk behind vast Tomerit,
The Laos wide and fierce came roaring by;
The shades of wonted night were gathering yet,
When, down the steep banks winding warily,
Childe Harold saw, like meteors in the sky,
The glittering minarets of Tepalen,
Whose walls o’erlook the stream; and drawing nigh,
He heard the busy hum of warrior-men
Swelling the breeze that sighed along the lengthening glen.

Tomerit:Zitsa北東にあるTomarusという山並みを念頭に置いて書かれている。ただし、バイロンが実際に見た「山の夕陽」はこの山ではないらしい。方向がずれている。
Laos:Aous河のこと。
wonted:((限定))((古風))平常の, いつもの
winding:〈流れ・道などが〉曲がりくねっている
warily:注意深く, 慎重に, 警戒して.
minaret:(イスラム寺院の)光塔
Tepalen:アリ・パシャの生地であり、宮殿があった町。
nigh:(空間・時間・関係が)(…の)近くに(near)((on, onto, unto ...)) e.g. The hour draws nigh.時は刻々迫っている.
Swell:〈音を〉徐々に強める[高める]
sigh:〈風などが〉ため息のような音をたてる e.g. The breeze sighed in the trees.
風が木立の間でかすかに鳴った.
lengthen:…を長くする, 伸ばす, 延長する
glen:峡谷, 谷間
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