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ひもじさ(『地獄の季節』「錯乱Ⅱ」)

2010年02月14日 14:27

うさこ100214

【『地獄の季節』「錯乱Ⅱ」抄】
作 A.ランボー/訳 Shallot B.

ひもじさ

僕がひもじいとしたら 食べたいものは
ほんの土くれ、石ころばかり
いつも食べてるものといったら
空気と岩と、炭と鉄

ひもじさよ 回れ ひもじさよ 食め
音の糠の 牧草地
昼顔の 鮮やかな毒を
吸い寄せろ

喰らえ 砕かれた砂利を
教会の古い小石を
いにしえの 大洪水の砂利を
灰鼠色の谷に 散らばったパンを

―――――

餌食の鳥の 綺麗な羽を
吐き出しながら
葉群で狼が吠えていた
奴みたいに 俺はこの身を磨り減らす

サラダ菜も フルーツも
もう収穫を 待つばっかり
なのに垣根の蜘蛛ときたら
菫の花しか 口にしない

眠りたい! 怒りたい!
ソロモン王の供犠台で
泡が鉄錆の上に流れ出し
セドロンの流れへと熔けてゆく

ついに、おお 幸福よ、おお 理性よ、私は本当は黒い空から、紺碧色を引き剥がした。そして「自然」の煌きの黄金の閃光となって生きたのだ。
(ランボー『地獄の季節』「錯乱Ⅱ」より抜粋)


ひっさびさにランボーの訳をしてみました。
あらためて、「すげぇ!」を実感。

<前半>
『聖☆おにいさん』で、イエスが陶芸をしようとして、陶土をパンに変えると言うエピソード(もともとは聖書で、石をパンに変えるというイエスの奇蹟)がありましたが、なぜかこの詩を読んだとき、思わず思い出してしまったんですよね…、1連で食べ物として扱われている鉱物を読んだとき…。
・「昼顔」は、英語ではconvolvulusといい、謙虚の象徴なんだとか。
・「毒」は、『地獄の季節』ではイヤでもキリスト教を認識させられてしまう、語り手を苦しめる根源ですね。
・「砂利」(cailloux)「小石」(pierres)「(海や川原の)砂利」(galets)は、谷間に散らばったパン(pains)と同格なんですね…。また『聖☆おにいさん』のエピソード??(笑)
・「谷」は、vallées de larmes(涙の谷間)で、現世を意味するようです。

<後半>
・「狼」「蜘蛛」は、明らかに語り手が憑依している対象物。自己を投影してます。(多分。)
・「羽」「葉群」は、ともに文筆活動を意識しているのかしら。フランス語「羽(plumes)」には「ペン」の意味があるし、「葉群(feuilles)」は、「紙葉」の意味があります。
・「鳥(volailles)」は、「女」の意味があるけど、これは深読みしすぎかな。深読みだと思う。
・「垣根」は、おうちの生垣のことだとは思うけど、昔共同体と森(その外側の世界)との間には垣根があったのよね。魔女なんかはそこらへんに住んでいたのよね。
・「菫」は、英語ではvioletで、謙譲、貞節、薄命の象徴。花言葉は忠実、愛。
・「怒りたい」は、原文では「que je bouille(煮えくり返りたい)」。だから「泡(あぶく)」へとイメージがつながるのね。
・ソロモン王は、「ソロモンはエジプトのファラオの娘をめとり、ギブオンで盛大なささげものをした。そこで神がソロモンの夢枕に立ち、「何でも願うものを与えよう」というと、ソロモンは知恵を求めた。神はこれを喜び、多くのものを与えることを約束した」そうです。(「フレッシュアイペディア」より引用。)知恵と引き換えにされたのが捧げものというわけなのですね~。
・「セドロンの流れ」は、その河の流れが暗い色合いのことから、「暗闇へ」の意味があるようです。また、宗教的な意味合いもふんだんにもりこまれていて、ユダの裏切りによって、イエスが逮捕された場所の近くを流れているとか。旧約からの意味合いも多い模様。(参考はこちら。)

<語りの部分>
・ふと思ったんですが、空から青を引き剥がすと、宇宙空間が出現しますよね。

以上、気になったところメモ。
こんなふうに読み取ると、なんだか、単にイメージが綺麗なだけじゃない、宗教色でガチガチの、悲痛な叫び声とたんて読めてきますねぇ。



FAIM

Si j'ai du goût, ce n'est guère
Que pour la terre et les pierres.
Je déjeune toujours d'air,
De roc, de charbons, de fer.

Mes faims, tournez. Paissez, faims,
Le pré des sons.
Attirez le gai venin
Des liserons.

Mangez les cailloux qu'on brise,
Les vieilles pierres d'églises ;
Les galets des vieux déluges,
Pains semés dans les vallées grises.

__________

Le loup criait sous les feuilles
En crachant les belles plumes
De son repas de volailles :
Comme lui je me consume.

Les salades, les fruits
N'attendent que la cueillette ;
Mais l'araignée de la haie
Ne mange que des violettes.

Que je dorme ! que je bouille
Aux autels de Salomon.
Le bouillon court sur la rouille,
Et se mêle au Cédron.



Enfin, ô bonheur, ô raison, j'écartai du ciel l'azur, qui est du noir, et je vécus, étincelle d'or de la lumière nature.
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