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こよなくギリシアを愛するひとの叫び その2

2010年03月08日 03:03

2010springチューリップ2

【チャイルドハロルドの巡礼】第2編より、78連-83連
    バイロン作  Shallot B.訳

78.
だが、奴らの陽気さを見ろ。四旬節が始まるまえの、
日々の禁欲と夜毎の祈りによって
人間から原罪の苦役に許しを与えるための、
彼らの聖なる儀式が備えた贖罪だ。
しかし<改悛>が痛悔服に袖を通すまえに、
幾日かの歓喜がみんなに振舞われ、
密かな喜びの分け前をとることが許される。
そして斑模様の服に身を包み、仮面舞踏会で踊ったり、
陽気なカーニバルの仮装行列に加わったりする。

79.
そして、おお イスタンブールの都よ、かつては支配の皇后であったものよ!
おまえの歓喜の日々よりも、歓楽で満ち溢れている日々がどこにある?
今やターバンを巻いた連中が叡智の女神の社を汚しているけれども、
ギリシアは虚しく自分の祭壇を見つめているのだ。
(なんということだ! 僕の調べは未だに彼女の悲嘆に満ちている!)
かつて吟遊詩人たちは陽気だった。というのも、ギリシアの人々は自由で、
今は装わねばならない共通の喜びを、みんなが感じていたからだ。
眼が惹きこまれるような光景を、私はもはやあまり見ることはないし、
ボスフォラス海峡に響き渡るような歌を、耳にすることもない。

80.
岸辺の軽やかな騒ぎは喧しい。
<音楽>はしばしば変わったが、けっしてその調べを止めることはなかった。
そして時を得た単調な櫂の音がこだました。
そして漣寄せる水は快い唸り声を立てた。
海(わだつみ)の<女王>は、大きく頷き、輝いた。
そして儚い微風が波の上をさーっと流れたとき、
それは、まるで天国の玉座から放たれたかのように、
<女王>の映った姿がいっそう煌輝に閃いたのだ、
火花を散らしている波が、洗う岸辺を照らしているかのように思えるまで。

81.
海の沖合いで軽い小帆船がたくさん煌めき、
陸の岸辺で娘たちが踊っていた。
男女ともに安息や家を思い浮かべることはなかった。
たくさんの物憂い瞳が眼差しを交わしたとき、
ほとんどの胸が震える手に抗わなくていい。
あるいは、優しく握り、なおいっそう強く握り返した。
おお <愛>よ! おまえの薔薇の帯で縛られたなら、
賢者や皮肉屋には言わせておけばいい。
この時が、この時だけが、<生>の不運の歳月を償ってくれたのだ。

82.
しかし、陽気な仮面舞踏会の群衆の真ん中で、
半ば顕わになった蝋引布に袖を通し、
密かな痛みで動悸を感じる心を潜ませる者はいないのか?
そのような大海原の優しい呟きに
心は虚しく嘆き返しているだけのように思える。
理不尽な考えと頑な軽蔑の源は
遊び好きの連中のそのような喜びに向かう。
痛む心は、愚かな高笑いに嫌気を感じ、
酒宴の衣装を経帷子に変えたいと願うことのいかほどか。

83.
もしギリシアがひとりの真に生まれついた愛国者を誇るなら、
ギリシアの真に生まれついた息子そのひとは、こう感じなければならない。
それは、<平和>の、奴隷の平和の影で<戦争>について蘊蓄を語り、
失くしたものを嘆きながらも、
お世辞の巧い笑顔で暴君にへこへこして、
剣ではなく、奴隷の鎌を巧みに使う、そんな連中のことじゃない。
ああ! ギリシアよ! 奴らの生まれ、血、そして祖先の英雄たちの栄光の記録、
おまえを最も所有している奴らはおまえを最も愛していない。
奴らは今や、おまえの堕落した群衆を恥じ入らせるのだ!


80連はいいですねぇ☆。バイロンの巧さの醍醐味ですね!
擬人法、情景描写、しかも美しい海の光景。
ギリギリ劇画っぽい81連もいいかな。

T先生は、バイロンの凄さを、彼の筆の巧さだけではなくて、筆致・饒舌さ・強さにもあると仰っています。
…。うーむ、私にはなかなかバイロンの饒舌さのミソが分からない…(泣)。
バイロンの巧さがどうしても情景描写に限られている気がしてならないのですー。

だから、
この辺りも、やっぱりギリシアへの呼びかけが長すぎるように思えてならないですー…><;。
修行が足りないかぁ…。



LXXVIII.

Yet mark their mirth - ere Lenten days begin,
That penance which their holy rites prepare
To shrive from Man his weight of mortal sin,
By daily abstinence and nightly prayer;
But ere his sackcloth garb Repentance wear,
Some days of joyaunce are decreed to all,
To take of pleasaunce each his secret share,
In motley robe to dance at masking ball,
And join the mimic train of merry Carnival.

mirth:[U]((文))歓喜;陽気;浮かれ騒ぎ;笑い. ▼ひとりでにこみ上げてくるうれしさや陽気な気分
Lenten:四旬節の
penance:贖罪(しょくざい), 難行苦行。(教会の課す)贖罪行為;《カトリック》告解[悔悛(かいしゅん)]の秘跡
shrive:〈司祭が〉〈告解者に〉罪の償いを課する, 罪の許しを与える
abstinence:[U](一定の飲食・快楽を)断つこと, (…の)自制, 節制, 禁欲((from, in ...));《経》制欲, 節欲
sackcloth:粗布の衣服[喪服, 痛悔服]
joyaunce:=joyance. ((古))楽しさ, 喜び.
decreed:〈神・運命が〉命ずる。…を(法令によって)命じる, 宣言する;〈…であると〉定める, 命じる
pleasaunce:喜び。
motley:((文))雑色の, まだらの;まだらの服を着た.

LXXIX.

And whose more rife with merriment than thine,
Oh Stamboul! once the Empress of their reign?
Though turbans now pollute Sophia’s shrine,
And Greece her very altars eyes in vain:
(Alas! her woes will still pervade my strain!)
Gay were her minstrels once, for free her throng,
All felt the common joy they now must feign,
Nor oft I’ve seen such sight, nor heard such song,
As wooed the eye, and thrilled the Bosphorus along.

rife:((叙述))((形式))〈好ましくない物・事が〉はびこって, 広まって;〈場所が〉(好ましくない物・事で)いっぱいである, 満ち満ちている((with ...)). ▼主にbeまたはgrow, waxと共に用いる
merriment:[U]((形式))笑いさざめき, 歓楽.
Sophia:古代ヘレニズム世界で、智慧を象徴する女神。
altar:祭壇, 供物台
eye:…を(好奇心・疑い・嫌悪の情などをもって)見る, じっと見つめる, じろじろ見る
minstrel:中世の)吟遊詩人;((詩))詩人, 音楽家
throng:群衆, 人だかり, 雑踏
Bosphorus:〈the ~〉ボスポラス海峡 黒海の南西隅にあり, 地中海方面への出口 .


LXXX.

Loud was the lightsome tumult on the shore,
Oft Music changed, but never ceased her tone,
And timely echoed back the measured oar,
And rippling waters made a pleasant moan:
The Queen of tides on high consenting shone,
And when a transient breeze swept o’er the wave,
’Twas, as if darting from her heavenly throne,
A brighter glance her form reflected gave,
Till sparkling billows seemed to light the banks they lave.

tumult:動乱、騒乱
lightsome:軽やかな;快活な, 陽気な
timely:時宜を得た, 適時の, 折よい
measured:〈動作が〉調子の整った, 一様な。韻文の;律動[韻律]的な
rippling:〈水面が〉さざ波を立てる, 波紋をつくる;〈水が〉さざ波を立てて流れる;〈船が〉さざ波を立てて進む;((広義))(さざ波を立てるように)波打つ
moan:((文))(風・海・木などの)うなり
consenting:同意[承諾]する.
transient:一時的な, つかのまの, はかない


LXXXI.

Glanced many a light Caique along the foam,
Danced on the shore the daughters of the land,
No thought had man or maid of rest or home,
While many a languid eye and thrilling hand
Exchanged the look few bosoms may withstand,
Or gently prest, returned the pressure still:
Oh Love! young Love! bound in thy rosy band,
Let sage or cynic prattle as he will,
These hours, and only these, redeemed Life’s years of ill!

Caique:(Bosporus海峡で用いる)櫓櫂(ろかい)船;(地中海東部で用いる)1本マストの小帆船.
foam:((詩))あわ立つ海, 海
languid:(虚弱・疲労から)だらっとした, ものうい, けだるい, 元気がない
thrilling:震える.
withstand:〈外部の力・敵・攻撃などに〉抵抗する, 逆らう, よく耐える, 持ちこたえる
prattle:〈おとなが〉(…について)ぺちゃくちゃしゃべる((on/about ...))
redeem:償う, 埋め合わせる


LXXXII.

But, midst the throng in merry masquerade,
Lurk there no hearts that throb with secret pain,
Even through the closest searment half betrayed?
To such the gentle murmurs of the main
Seem to re-echo all they mourn in vain;
To such the gladness of the gamesome crowd
Is source of wayward thought and stern disdain:
How do they loathe the laughter idly loud,
And long to change the robe of revel for the shroud!

throng:群衆, 人だかり, 雑踏
masquerade:仮装舞踏会;仮装
Lurk:(悪意をもって)潜む, (動かずに)隠れる, 待ち伏せる。疑念・野心などが〉(胸中に)潜在する, 潜んでいる
throb:〈心臓などが〉(…で)脈打つ, 鼓動する, 動悸(どうき)を打つ, どきどきする
searment:=cerement。((通例~s))(死体用)蝋(ろう)引き布;(一般に)経かたびら
betrayed:(うっかり)さらけだす, 暴露する, 示す
main:(詩)大海原
gamesome:((文))はしゃぎ回る, 遊び好きの;陽気な
wayward:〈暴力などが〉不法な, 理不尽な;〈人・態度などが〉強情な;わがままな
disdain:軽蔑, 蔑視, 侮蔑((for, of ...))


LXXXIII.

This must he feel, the true-born son of Greece,
If Greece one true-born patriot can boast:
Not such as prate of War but skulk in Peace,
The bondsman’s peace, who sighs for all he lost,
Yet with smooth smile his Tyrant can accost,
And wield the slavish sickle, not the sword:
Ah! Greece! they love thee least who owe thee most -
Their birth, their blood, and that sublime record
Of hero Sires, who shame thy now degenerate horde!

prate:…を[と]軽々しく言う
skulk:(悪巧みなどのために)こそこそ隠れる[行動する]
bondsman:奴隷;農奴
accost:〈知らない人を〉(迷惑を顧みず)呼び止める, にずけずけと話しかける;〈人・鏡などに〉(ずうずうしく)面と向かう, 立ちはだかる.
wield:〈武器・道具などを〉巧みに使う
degenerate:低下[悪化]する((from ...;into ...));(肉体的・精神的に)退化[衰退]する, 退歩[退廃]する, 衰える;(道徳的に)堕落[退廃]する。低下[悪化]した;(肉体的・精神的に)退廃した, 衰退[堕落]した
horde:遊牧民の群れ
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