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こよなくギリシアを愛するひとの叫び その4

2010年04月25日 23:50

athena blue

【チャイルドハロルドの巡礼】第2編より、91連-93連
    バイロン作  Shallot B.訳

91.
しかし、おまえの壮麗な過去の残骸に、
哀愁を感じながら飽きもせず、過客たちは集ってくる。
永く、旅人はイオニアの潮風に乗って
<戦争>と<歌>の耀う国に挨拶を告げる。
永く、おまえの歴史と不滅の語りが、
その名誉で、多くの海岸の若者心を満たすのだろう。
老人の誇り!青年の教え!
<賢者>は崇め、<詩人>が慕う。
そのとき、女神アテナと詩神ミューズがその畏れ多い智慧を授ける。

92.
もし、心を同じくしてくれるひとが、温かい団欒を迎えてくれるのなら、
旅人の心はいつもの家庭を離れない。
孤独なひとは、此処をさまよい、
性に合った大地を満足げに眺める。
ギリシアは快活で陽気な土地ではない。
しかし、神殿デルフォイの聖なる山の辺をゆっくりと歩き回り、
ギリシア人とペルシア人の滅びた平原を見つめるとき、
悲しみが宥めてくれるひとはそこにとどまり、
自分の誕生地を悔やんだりはしない。

93.
こういった旅人たちをこの聖地に来させ、
魅惑的な荒野を穏やかに通しておやり。
でも、その遺跡はいけない。せわしない手はいけない、
その光景を、もうどんなに損なわれたか、その光景を傷めてはいけない!
祭壇はそんなことのために設けられたんじゃない。
かつて国々が崇めていた遺物を崇めるんだ。
そうすれば、<我が国>の名は貶められることもなく、
そうすれば、<愛>と<生>の、すべての誠実な喜びによって愛され、
おまえの若者が育った場所で、おまえは繁栄するだろう!


田吹先生の御著書によると、この3連は、「旅人たちに対するギリシアの魅力」と「古代の遺物・遺跡を破壊することなく崇敬せよ、と訴える」連です。ロンドンの大英博物館にはエルギン卿が持って帰ったとされるアレがいっぱいですからねぇ。それでなくても、バイロンはこの行為に大変お怒りでしたから(『ハロルド』2編の冒頭参照)。

神様は本来いるところで崇めるべき、ということかしら。

さりげなく日本の博物館につれまわされる行脚の仏様たちにも…? それはまた別か。



XCI.

Yet to the remnants of thy Splendour past
Shall pilgrims, pensive, but unwearied, throng;
Long shall the voyager, with th’ Ionian blast,
Hail the bright clime of Battle and of Song:
Long shall thine annals and immortal tongue
Fill with thy fame the youth of many a shore;
Boast of the aged! lesson of the young!
Which Sages venerate and Bards adore,
As Pallas and the Muse unveil their awful lore.

remnants:(通例少しの)残り, (…の)残部, 残物;残存者((of ...))。断片, 残りくず, はぎれ。なごり, 遺風, 面影((of ...))。
splendour:豪華, 華麗, 壮麗;((~s))壮観。雄大さ, すばらしさ, みごとさ, (名声などの)顕著, 卓越。輝き, 光彩。
pensive:思案に暮れた, 物思いに沈んだ. 〈言動・表情などが〉哀愁を漂わせる, 物悲しい
unwearied:疲れてない
throng:(場所に)群がる, 込み合う, 殺到する
hail:…にあいさつする;…を歓迎する;…を熱烈に是認する
annals:年代記, 年譜, 年史。(事件に関する)歴史的な記録, 歴史((of ...))
Boast:自慢(の種), 誇り(とする物);ほら
venerate:(他)((形式))…を尊敬する, あがめる
adore:…を深く敬慕[敬愛]する, 熱愛する;崇拝する.
Pallas:《ギリ神話》パラス:女神Athena
lore:((古))教育;教え, 教訓

XCII.

The parted bosom clings to wonted home,
If aught that’s kindred cheer the welcome hearth;
He that is lonely-hither let him roam,
And gaze complacent on congenial earth.
Greece is no lightsome land of social mirth:
But he whom Sadness sootheth may abide,
And scarce regret the region of his birth,
When wandering slow by Delphi’s sacred side,
Or gazing o’er the plains where Greek and Persian died.

parted:離れた, 分離した
cling:(…に)しがみつく((to, onto ...))
wonted:((限定))((古風))平常の, いつもの
kindred:(形式))血族の;親族[親類]の, 身寄りの。同一の, 同様の, 類似の
aught:何か, 何にせよ
cheer:((通例受身))〈人を〉励ます, 元気づける((up)
hearth:(暖炉の)炉床;炉辺;家庭(のだんらん)
hither:((文))ここ[こちら, こちらの方]へ.
complacent:悦に入った, 自己満足の, ひとりよがりの
congenial:〈人が〉(人と)気心の合った, 同じ性質の, 同趣味の((to ...))
lightsome:軽やかな;快活な, 陽気な
social:社交的な(sociable)
mirth:((文))歓喜;陽気;浮かれ騒ぎ;笑い. ▼ひとりでにこみ上げてくるうれしさや陽気な気分
abide:(場所に)とどまる, 滞在する((at, in ...));(人の)(所に)居残る((with ...))

XCIII.

Let such approach this consecrated Land,
And pass in peace along the magic waste;
But spare its relics - let no busy hand
Deface the scenes, already how defaced!
Not for such purpose were these altars placed:
Revere the remnants Nations once revered:
So may our Country’s name be undisgraced,
So mayst thou prosper where thy youth was reared,
By every honest joy of Love and Life endeared!

such:そのような者=旅人たち。
consecrate:…を神聖にする, 神聖だと宣言する;…を聖別する, 奉献する
waste:((主に文))[U]荒廃;[C]荒廃した地域;荒涼とした場所[土地], 荒れ地, 荒野;((a ~))(…の)茫漠(ぼうばく)[荒涼]とした広がり((of ...))
relic:((通例~s))(歴史的な)遺物, 遺構, 遺跡
deface:(…で)…の外観を損なう, 醜くする。…の表面を傷つけて[よごして]読めなくする, 摩損する.
altars:祭壇, 供物台.
revere:(他)((形式))…を(畏怖(いふ)の念で)あがめる, 崇敬する
rear:〈子供を〉育てる, 教育する;〈家族を〉養う;〈動物を〉飼育する
endear:(他)[endear A to B]〈親切・微笑・ユーモアなどが〉〈A(人)をB(人)に〉いとしいと思わせる, 慕わせる, 愛されるようにする;((~ -self))〈Bに〉慕われる, 愛される(▼受身不可)
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