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「上から目線」のナポレオン

2010年10月24日 16:27

Napoleonさん

【チャイルドハロルドの巡礼】第3編より、36連-45連
    バイロン作  Shallot B.訳

36
そこで斃れたのはもっとも偉大な者であって、最悪な者じゃない。
そいつの心意気は対照的なものが混じり合っていた。
あるときはもっとも気高いものに、
そして別のときには取るに足らないものに、執着心を持っていた。
極端過ぎるのだよ! きみが中庸なひとだったら、
きみの王座はまだその手にあったかもしれない、あるいは初めからなかったか。
豪胆さがきみの栄達と凋落をもたらした。
きみは今でさえ皇帝然とした物腰を取り戻し、
世の中を揺るがそうとしている、この世の<雷神>よ!

37
きみは<世界>の<征服者>であり、<虜>でもある!
<世界>はまだきみに慄くけれど、きみの放埓な名は
<名誉>の笑いものになっているほかは、もはや只の人だということ以外に、
人々の脳裏には浮かばないだろう。
<名誉>はかつて隷属者としてきみに言い寄り、
きみの獰猛さに諂うようになった。やがてきみは自分を[全能の]神だと思った。
驚愕した国々も逆らえずに同じように思い、
ひとときの間、きみの主張にはなんでも従っていた。

38
おお ひとの上下を行き、貴賎のいずれにあっても
国々と戦い、戦場から逃れ、
諸侯の首を足蹴にしたと思えば、
屈従するように指示された足軽以下となった。
ひとつの<帝国>をきみは毀し、支配し、再建した。
しかし自分のちっぽけな情熱を支配することも出来なかったし、
どんなに人間の天性を深く見抜けても、自分のことを見抜けなかったし、
戦いに対する欲望を抑えられずに
魅惑的な<運命>が気高い星を立ち去ることも見抜けなかった。

39
しかし教わったこともない生来の天性で
よくもきみの魂は渦巻く潮を耐え忍んできたものだ。
そいつは、<叡智>であれ<冷酷>であれ、根深い<傲慢>であれ、
敵にとっては胆汁や苦蓬なのさ。
きみが怯むのを見て嘲ろうと、
憎悪に満ちた敵の軍隊が差し迫ったとき、
きみは冷静になにもかもを耐え忍ぶ眼で微笑んだ。――
<運命>が甘やかしたお気に入りの子を棄てるときにも、
彼は降り積もる災禍に屈することなく立っていた。

40
いいときより悪いときのほうが賢明だったね。というのも、
[いいときには]野心がきみを早急に支配して、
民衆とその思想を常習的な嘲りや非難を顕在化させてしまったからだ。
嘲りの気持ちを抱くのはいいとしても、
唇や眉にそれを見せたり、
きみの立場をひっくり返されるところまで、
使うつもりだった道具を嘲っては駄目だ。
勝っても負けても、この世は虚しい。
それがきみに示されたってわけさ。で、そんな貧乏籤を引いてしまったひとにもね。

41
もし、断崖の岩に立つ塔のように、
きみが立つも崩れるも独りぼっちであるように作られていたならば、
民衆に対するそんな嘲りは、激震に勇敢に立ち向かうのに一役買ったことだろう。
だが、民衆の思想はきみの王座への道を舗装する踏み石だったのだ。
彼らの賞賛はきみの輝く最大の武器だった。
(きみの王権を示す「紫衣」を投げ捨てたのでなければ、)
きみはフィリップ王の息子アレクサンダー大王の役を演じるべきで、
民衆を嘲笑うような頑固者の哲学者ディオゲネスを演じるべきじゃなかった。
王笏を手にした皮肉屋どもには、この世はあまりに広すぎる塒だからだ。

42
血気逸る胸にはじっとしていることが地獄なのだ。
そしてそこにきみの破滅の種があった。
情熱と魂の運動がある。
それは自分のちっぽけな存在には留まっておれず、
野望のちょうどいい中庸を越えてゆくことを求める。
そして、一度火がついてしまえば、永遠に鎮火できず、
高邁な冒険を餌食とし、休息よりほかには飽きることがない。
心に情熱を抱く者、かつて抱いていた者すべてに、それは致命的なのだ。

43
情熱は影響力でひとを狂わせる狂人を生み出す。
<征服者>に<国王>、宗派や組織の<創設者>、
それに加えて<哲学者>、<詩人>、<政治家>、みんな
精神の秘泉をあまりに激しくかき乱し、愚弄する連中に
己が愚者とみなされる、黙っちゃいない輩どもだ。
羨まれるが、あまりにも望ましくない奴らだ!
その痛みはどれほどのものか!
ひとつの胸が開かれたなら、そこにはひとつの教えがある。
それは、輝きたいとか支配したいとかいう欲望を捨てるようにと告げるものだ。

44
彼らの吐息が人の心をかき乱す。
そしてその人生は嵐、その嵐に乗り、ついには沈むのだ。
けれどもそのように育てられ、戦うことに頑なで、
その日々が過去の苦難を生き延び、
平穏な暮れがたに溶けゆくものならば、
彼らは悲しみ、もはやどうでもいいという思いに囚われて死んでゆく。
燃料の注がれない炎がちらちら揺れて消えてゆくように、あるいは
うち捨てられた刀が、自らを腐食し、
人目に触れぬまま錆びついてゆくように。

45
山をのぼり詰めた者は、
とても高い頂が雲と雪に覆われているのがわかるだろう。
人々を凌ぎ、支配する者は、
下々の者どもの憎悪を見下げなくてはならない。
遙か高く、<栄光>の<陽>は輝いている。
そして遙か下には<大地>と<海>が拡がっている。
彼の周りには凍てついた岩があり、
彼の無防備な頭には轟音を立てて嵐が吹き付ける。
頂にのぼり詰めた労苦に報いてくれるものは、こんなものなのだ。


正直、この36-45連は、『チャイルドハロルドの巡礼』が現代人には長すぎるので、
私がもしこの作品を現代日本語訳で世の中に出すときには是非ともカットしたい、
でなければ絶対に現代のひとにはウケナイと思う部分です。

上から目線のナポレオンは情熱に駆られて、民衆と相容れなくて
気の毒な最後を迎えたというバイロンの主張をメッセージとするなら、
せめてきっと45連だけでいいはず。
10連はイラナイと思われますが… いかがでしょうか…。

訳しててたるかった…(汗)
早く次のライン河のところをやりたくてうずうずしました(笑)




XXXVI.

There sunk the greatest, nor the worst of men,
Whose spirit antithetically mixed
One moment of the mightiest, and again
On little objects with like firmness fixed;
Extreme in all things! hadst thou been betwixt,
Thy throne had still been thine, or never been;
For daring made thy rise as fall: thou seek’st
Even now to reassume the imperial mien,
And shake again the world, the Thunderer of the scene!

antithetically:対照的に,正反対に
firmness:固定[安定],堅固
daring:(冒険的な)勇気,大胆不敵,豪胆
reassume:改めて仮定する
mien:((文))(その人に典型的な)物腰,態度

XXXVII.

Conqueror and Captive of the Earth art thou!
She trembles at thee still, and thy wild name
Was ne’er more bruited in men’s minds than now
That thou art nothing, save the jest of Fame,
Who wooed thee once, thy Vassal, and became
The flatterer of thy fierceness, till thou wert
A God unto thyself; nor less the same
To the astounded kingdoms all inert,
Who deemed thee for a time whate’er thou didst assert.

Vassal:((文))召し使い;奴隷;隷属者,配下,しもべ
astounded:びっくり仰天した
inert:〈人・物が〉自力で行動[運動,抵抗]できない

XXXVIII.

Oh, more or less than man - in high or low,
Battling with nations, flying from the field;
Now making monarchs’ necks thy footstool, now
More than thy meanest soldier taught to yield:
An Empire thou couldst crush, command, rebuild,
But govern not thy pettiest passion, nor,
However deeply in men’s spirits skilled,
Look through thine own, nor curb the lust of war,
Nor learn that tempted Fate will leave the loftiest star.

XXXIX.

Yet well thy soul hath brooked the turning tide
With that untaught innate philosophy,
Which, be it Wisdom, Coldness, or deep Pride,
Is gall and wormwood to an enemy.
When the whole host of hatred stood hard by,
To watch and mock thee shrinking, thou hast smiled
With a sedate and all-enduring eye;―
When Fortune fled her spoiled and favourite child,
He stood unbowed beneath the ills upon him piled.

XL.

Sager than in thy fortunes; for in them
Ambition steeled thee on to far too show
That just habitual scorn, which could contemn
Men and their thoughts; ’twas wise to feel, not so
To wear it ever on thy lip and brow,
And spurn the instruments thou wert to use
Till they were turned unto thine overthrow:
’Tis but a worthless world to win or lose;
So hath it proved to thee, and all such lot who choose.

spurn:〈人・申し出・忠告などを〉はねつける,にべもなく拒絶する。…を鼻であしらう,相手にしない,軽蔑する

XLI.

If, like a tower upon a headland rock,
Thou hadst been made to stand or fall alone,
Such scorn of man had helped to brave the shock;
But men’s thoughts were the steps which paved thy throne,
Their admiration thy best weapon shone;
The part of Philip’s son was thine, not then
(Unless aside thy purple had been thrown)
Like stern Diogenes to mock at men;
For sceptred cynics earth were far too wide a den.

sceptred:笏(しやく)を持った;王位にある
den:(野獣の)ねぐら,巣,穴,ほら穴

XLII.

But quiet to quick bosoms is a hell,
And there hath been thy bane; there is a fire
And motion of the soul, which will not dwell
In its own narrow being, but aspire
Beyond the fitting medium of desire;
And, but once kindled, quenchless evermore,
Preys upon high adventure, nor can tire
Of aught but rest; a fever at the core,
Fatal to him who bears, to all who ever bore.

quenchless:[形]消すことのできない;いやせない

XLIII.

This makes the madmen who have made men mad
By their contagion; Conquerors and Kings,
Founders of sects and systems, to whom add
Sophists, Bards, Statesmen, all unquiet things
Which stir too strongly the soul’s secret springs,
And are themselves the fools to those they fool;
Envied, yet how unenviable! what stings
Are theirs! One breast laid open were a school
Which would unteach mankind the lust to shine or rule:

XLIV.

Their breath is agitation, and their life
A storm whereon they ride, to sink at last,
And yet so nursed and bigoted to strife,
That should their days, surviving perils past,
Melt to calm twilight, they feel overcast
With sorrow and supineness, and so die;
Even as a flame unfed, which runs to waste
With its own flickering, or a sword laid by,
Which eats into itself, and rusts ingloriously.

bigoted:偏見にこり固まった
supineness:無関心
ingloriously:名もなく,無名に

XLV.

He who ascends to mountain-tops, shall find
The loftiest peaks most wrapt in clouds and snow;
He who surpasses or subdues mankind,
Must look down on the hate of those below.
Though high above the Sun of Glory glow,
And far beneath the Earth and Ocean spread,
Round him are icy rocks, and loudly blow
Contending tempests on his naked head,
And thus reward the toils which to those summits led.
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