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廃墟の城が見てきたもの

2010年10月31日 22:19

ライン河のお城のひとつ

【チャイルドハロルドの巡礼】第3編より、46連-49連
    バイロン作  Shallot B.訳

46
もう考えるのはよそう。本当の<叡智>の世界は
創造の過程にあるのだ、でなきゃおまえの中にあるのだね、
母なる<自然>よ! その壮麗な河ラインの岸辺に、
さて、おまえのように豊かなものはほかにあるのか?
そこでハロルドは、聖なる作品を見詰めている、
あらゆる美の調和を。渓流、谷津、
果実、葉群、巌、樹、麦畑、山、葡萄畑、
そして<荒廃>が緑の衣裳をまとって棲む、葉で覆われた灰色の壁から
厳めしい表情で別れを告げる、主のいない城の数々。

47
そしてそこに、気高い心が聳えるように、城々は建っている。
疲れ果て、だが賤しい群衆に頭を垂れることもなく、住む人もない。
ただ隙間から分け入る<風>に従い、
<雲>と影を交わし合うだけ。
彼らにも若く誇り高い日があった。
旗が高く翻り、戦いが下方を過ぎていった。
しかし、戦った者どもは血まみれの白布に包まれ、
風に翻っていたものも今では切れ端残らず灰燼に帰す。
吹きさらしの胸壁はもう未来の一撃には耐えられないだろう。

48
あの胸壁の下(もと)、あの壁の中、
<豪腕>は<熱情>に囲まれて棲んでいた。
盗賊の首領どもが、そのよこしまな命令を下し、
後の世の偉大な英雄たちに劣らず誇らしげに、
それぞれ武装した城を守っていた。
「偉大」と呼ばせるために購われた<歴史>の1ページ以外、
征服者が持っていて、この無法者どもがもっていないものは何だ?
広大無辺の領土か――それとも装飾のついた墓か?
奴らの望みは熱く、奴らの心意気は勇敢だった。

49
その諸侯の争いで、そして一騎打ちの戦いで、
どんな大胆な行為が記録もされずにかき消えてったか!
しかし<愛>は、浮気な誇りでうまく図案化された紋様で、
その紋章を盾に掲げさせて、
あらゆる鋼鉄(はがね)の心臓をすり抜けていったものだ。
やがて、なおも奴らの炎は燃え盛り、そして激しい抗争が繰り広げられ、
破壊がもたらされた。美しい災禍(わざわい)の女を手に入れたものの、
ほんとうに多くの塔がその目に映したのは、
変色した河ラインが廃墟の下をながれてゆく姿だった。


49連の最終2行は何度読んでも忘れられませんね…。
「変色」というのは、血の色に染まっているということ。『ハロルド』第1編のスペインでも同じような描写がありましたねぇ…。なかなかゴシックっぽい。

盗賊は思わずシラーの『群盗』を思い出してしまいます☆



XLVI.

Away with these; true Wisdom’s world will be
Within its own creation, or in thine,
Maternal Nature! for who teems like thee,
Thus on the banks of thy majestic Rhine?
There Harold gazes on a work divine,
A blending of all beauties; streams and dells,
Fruit, foliage, crag, wood, cornfield, mountain, vine,
And chiefless castles breathing stern farewells
From grey but leafy walls, where Ruin greenly dwells.

teem:((しばしば進行形))〈場所などが〉(…で)満ちる,いっぱいである((with ...))

XLVII.

And there they stand, as stands a lofty mind,
Worn, but unstooping to the baser crowd,
All tenantless, save to the crannying Wind,
Or holding dark communion with the Cloud
There was a day when they were young and proud;
Banners on high, and battles passed below;
But they who fought are in a bloody shroud,
And those which waved are shredless dust ere now,
And the bleak battlements shall bear no future blow.

tenant:(土地・家屋などの)占有[居住]者,住人
cranny:(壁・岩などの)すき間,割れ目,裂け目,ひび((in ...))

XLVIII.

Beneath these battlements, within those walls,
Power dwelt amidst her passions; in proud state
Each robber chief upheld his armèd halls,
Doing his evil will, nor less elate
Than mightier heroes of a longer date.
What want these outlaws conquerors should have
But History’s purchased page to call them great?
A wider space-an ornamented grave?
Their hopes were not less warm, their souls were full as brave.

hall:(中世の城・大邸宅で)大広間;(中世の王侯・貴族の)城,大邸宅
elate:…を大得意にさせる,元気づける;((受身))(…で)大得意になる

XLIX.

In their baronial feuds and single fields,
What deeds of prowess unrecorded died!
And Love, which lent a blazon to their shields,
With emblems well devised by amorous pride,
Through all the mail of iron hearts would glide;
But still their flame was fierceness, and drew on
Keen contest and destruction near allied,
And many a tower for some fair mischief won,
Saw the discoloured Rhine beneath its ruin run.

baronial:男爵にふさわしい;堂々たる,豪壮な
feud:(特に2者間の長年の)不和,確執,宿恨
prowess:(戦場での)勇気,力量;[C]勇敢[大胆]な行為.
blazon:紋章盾形の紋地;紋章
amorous:好色な,多情な
mail:甲冑メール,鎖かたびら;((広義))よろいの総称
glide:すべる,すべるように動く
contest:(勝利・優位獲得のための)争い,抗争(struggle)
allied:〈国が〉同盟[連合]している;〈軍事行動などが〉共同の;〈人・家などが〉姻戚(いんせき)関係にある
mischief:害,損害,災い
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