劣悪な血 ⑥

2004年08月10日 02:17

 でも、酒宴も女友達も、僕には禁じられていた。たった一人の仲間さえいなかった。僕は銃殺隊に直面しながら、解ってはもらえない不幸に涙を流しながら、しかもそれを受け入れながら、怒り狂った群衆の前に、己の姿を見た!――ジャンヌ・ダルクみたいに!――「司祭様、教授方、先生たち、あなたがたは僕を正義に委ねるなんて、間違っておられる。僕がそういう人間だったことなどはないのですから。僕は決してキリスト教徒ではありませんでした。僕は責苦の中で歌を歌う人種です。僕には法律がわからない。良識もないのです。僕は野蛮人です。あなたがたは間違っておられるんだ……」
 そう、僕は光に閉じ込められた瞳を持っている。僕は獣だ、黒人だ。だけど僕は救われるだろう。あなたがたはエセ黒人だ、偏執狂で残忍で、しみったれた連中だ。商人さんよ、アンタは黒人だ。判事さんよ、アンタ黒人だ、将軍さん、アンタ黒人だ。皇帝さんよ、腐った心の野望よ、アンタ黒人だぜ。アンタは無課税のリキュールを御飲みになったが、そいつは魔王が作ったもんなのさ。この連中には熱病と癌が吹き込んでいるのさ。片端もジジイもあんまりに尊いんで、カッとなることが求められてるのさ。――最善はこの大陸を去ることだ。ここじゃあ狂気が浮浪者たちを人質に取れるようにってうろついてやがる。僕はシャムの王国へと入っていく。
 僕はまた自然を理解できるかな? 自分を理解できてるかな? 言葉はもうイラナイ。僕は胃の中に死を飲み込む。叫び声、太鼓、舞、舞、舞、舞! 白人たちが到来して、僕が悲惨へと転がり堕ちてゆくところでは、僕はまったく時間を認識することもない。
 飢え、乾き、叫び、舞、舞、舞、舞!
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