スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

夏の雨、弾丸の雨

2011年02月12日 20:05

Coblentzの景色の絵

【チャイルドハロルドの巡礼】第3編より、56-58連
    バイロン作  Shallot B.訳

56.
コブレンツの傍、こんもりとした丘のうえ、
緑の塚に載っている
小さくて簡素な「ピラミッド」があって、
その下には英雄たちの遺灰が隠れている。
我々の敵の遺灰だが、マルソーへの栄誉を妨げてはならない。
フランスのために、その権利の回復のために戦い、斃れた
その運命を嘆き、羨み、
夭折した英雄の墓には
涙が、大粒の涙が猛々しい兵士たちの目蓋からあふれてくる。

57.
マルソーの若き生涯は、短く、勇敢で、それでいて誉あるものだった。
彼の死を悼む者は、敵味方双方の軍だった。
異邦人が運良くここを訪ない、
その勇気ある<心意気>の栄えある眠りに祈りを捧げることを許してほしい。
なぜなら、彼は<自由>の<闘士>であり、
<自由>がその武器を巧く使う者に与えた、
懲罰のための特権を濫用しなかった
数少ない人々のひとりだったからだ。
彼は清廉さを失わなかった。ゆえに男たちが彼に涙したのだ。

58.
ここエーレンブライトシュタインは、
高く聳えてはいるが、地雷の爆風で黒くひしがれた壁で、
炸裂弾や弾丸が甲斐なく強固なそれに跳ね返り火花を散らした
在りし日の面影を残している。
<勝利>の<塔>よ! おまえはそこから
平原へと潰走する敵の姿を見たのだね。
だが<平和>は<戦争>が挫くことのできなかったものを壊し、
<夏>の雨にあの誇らしい甍を曝した。――
そこにはかつて何年も鉄の雨が空しく降り注いでいたのだった。


マルソーさんは、フランスの将軍(1769-1796)。かのフランス革命のときに活躍した人物のひとりです。
エーレンブライトシュタインの描写(58連)は、Shallotがこの『CHP』第3編のなかでも大好きな、
というかバイロンの描写力に脱帽する場面(連)の指折りのひとつ。
ダブルイメージ(と勝手に呼んでますが、要は目の前の風景に幻の風景がダブルで見えること)。
夏の雨の、樹々や草に落ちる音や光景に、かつての戦いの砲撃、銃の弾丸の降り注ぐ様子が重なっています。
現在は↓こんな感じみたい。
エーレンブライトシュタインの現在の様子



LVI.

By Coblentz, on a rise of gentle ground,
There is a small and simple Pyramid,
Crowning the summit of the verdant mound;
Beneath its base are Heroes’ ashes hid―
Our enemy’s ― but let not that forbid
Honour to Marceau! o’er whose early tomb
Tears, big tears, gushed from the rough soldier’s lid,
Lamenting and yet envying such a doom,
Falling for France, whose rights he battled to resume.

gush:〈液体・言葉などが〉(…から)勢いよく流れ出る,わき出る,ほとばしる,噴出する


LVII.

Brief, brave, and glorious was his young career, ―
His mourners were two hosts, his friends and foes;
And fitly may the stranger lingering here
Pray for his gallant Spirit’s bright repose;―
For he was Freedom’s Champion, one of those,
The few in number, who had not o’erstept
The charter to chastise which she bestows
On such as wield her weapons; he had kept
The whiteness of his soul―and thus men o’er him wept.

host:((古))軍,軍勢
fitly:ぴったりと,都合よく,適時に,適宜に
gallant:勇ましい,雄々しい,勇気のある
Champion:(人・主義・主張の)擁護者,代弁者;戦士,闘士,勇者
o’erstept:(~ped, ~・ping)(他)…を踏み越える;〈限度を〉越す
charter:特権,特免
chastise:((形式))〈人を〉(…の理由で)手きびしく非難する((for ...));((古風))〈人を〉(…のかどで)せっかんする((for ...))
wield:〈武器・道具などを〉巧みに使う


LVIII.

Here Ehrenbreitstein, with her shattered wall
Black with the miner’s blast, upon her height
Yet shows of what she was, when shell and ball
Rebounding idly on her strength did light;―
A Tower of Victory! from whence the flight
Of baffled foes was watched along the plain:
But Peace destroyed what War could never blight,
And laid those proud roofs bare to Summer’s rain―
On which the iron shower for years had poured in vain.

shell:砲弾,破裂弾;砲弾式の花火
ball:弾丸,弾. ▼shellと異なり,炸裂しない鉄[鉛など]の塊
関連記事


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://sousleau.blog5.fc2.com/tb.php/705-393acace
    この記事へのトラックバック


    Articles


    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。