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ライン河との別れ

2011年02月13日 20:42

ライン河の夕暮れ

【チャイルドハロルドの巡礼】第3編より、59-61連
    バイロン作  Shallot B.訳

59.
さよなら、さよなら、美しいライン河よ! ずいぶんと永いこと
旅人は道半ばにして楽しく道草していたんだろう!
旅の道連れのあるひとも、独り者の<瞑想>も、
きみのような景色には迷いこみたくなるものだ。
己を苛む者の胸をいつまでも餌食にし続ける禿鷹を
止めさせることができるのも、ここなのだろう。
ここには陰気すぎず陽気過ぎず、
野生的だが荒々しくはなく、畏敬すべきだが峻厳ではない、
そんな自然が一年の秋のような豊饒の<大地>と向かい合っている。

60.
さよなら、さよなら! さよなら!
きみのような光景に言える別れなんてない。
心はきみの持つあらゆる彩で染まっている。
麗しいライン河よ! もし愛おしくきみを見詰めるのを
仕方なくやめなきゃならなくっても、別れ際には
ありがとうの気持ちを込めて、賛美の言葉を紡ぐよ。
きみより壮大な場所も立ち現れて、もっとぎらぎら輝くかも。
でも、輝かしいもの、美しいもの、温和なもの、そういった昔日の栄光の数々を
ひとつながりの迷宮に纏めあげはしないだろう。

61.
忘れられた栄光を眠らせた雄大さ、
やがて来る豊熟を匂わせる満開の花々、白い街の輝き、
流れ落ちる河、断崖の暗がり、
森の茂み、そして合間に見えるゴシック風の城壁――
人の手で模造したみたいな動楼に見える形をした
野の岩山。このなかに、景色と同じように幸せな顔をした人々。
その豊かな自然の恵みは、ここではあらゆるものに拡がって、
きみの河岸に湧き出している。
近くでは、幾つもの帝国が崩落するけれどね。


別れ際の賛美の言葉が凄すぎる…(笑)
59連の禿鷹のイメージは、ギリシアのプロメテウスさん(天界から火を盗み、人間に知識を与えた者)に対して
神様が罰を与えた、その罰のイメージですね。永遠に猛禽類に心臓をついばまれ続ける、という…(痛い
61連、実は10年ほどまえにも一度訳したのですが、そのときはこの連の凄さにまだ気づいてなくて…。
いや~… ぶっちゃけ、英雄に対するの誉れの言葉の連って、
ちょっと長くなる原因だし、いらないんじゃないかとおもってたんですけど
(特に前回更新した56・57連とか)
でも、こうして改めて61連を読むと、こういういろんな歴史的な内容とか
自分の大切な人々への思いとか、景色そのものの美しさとか(61連の8-9行の内容)、
あらゆる要素がぜ~んぶ景色のなかに溶け込んで、
だから「素晴らしい」って言えるんですねぇ…。
まさに、地誌的叙情。
すげぇわぁ…
いや、感服。

ところで、「Adieu」を「さよなら」の反復に訳したのは、中也さんの真似です(汗)
さて、いよいよライン河ともお別れ。これからハロルド一行はアルプスの山の中へと向かいます。



LIX.

Adieu to thee, fair Rhine! How long delighted
The stranger fain would linger on his way!
Thine is a scene alike where souls united
Or lonely Contemplation thus might stray;
And could the ceaseless vultures cease to prey
On self-condemning bosoms, it were here,
Where Nature, not too sombre nor too gay,
Wild but not rude, awful yet not austere,
Is to the mellow Earth as autumn to the year.

fain:((古・詩))[副]((wouldと共に用いて))喜んで,進んで,快く
delighted:((通例叙述))〈人が〉(…を)喜んで[楽しんで,うれしがって]いる
※Where Nature[…]Is to the mellow Earth as autumn to the year:そこでは自然が、一年間における秋のような豊かな(実りをもたらす)<大地>と向かい合っている。*as:前置詞「~のような」、to:前置詞(対向を表して)「~に向かい合って、相対して」。

LX.

Adieu to thee again! a vain adieu!
There can be no farewell to scene like thine;
The mind is coloured by thy every hue;
And if reluctantly the eyes resign
Their cherished gaze upon thee, lovely Rhine!
’Tis with the thankful glance of parting praise;
More mighty spots may rise - more glaring shine,
But none unite in one attaching maze
The brilliant, fair, and soft; - the glories of old days.

reluctantly:いやいやながら,しぶしぶ

LXI.

The negligently grand, the fruitful bloom
Of coming ripeness, the white city’s sheen,
The rolling stream, the precipice’s gloom,
The forest’s growth, and Gothic walls between,―
The wild rocks shaped, as they had turrets been,
In mockery of man’s art; and these withal
A race of faces happy as the scene,
Whose fertile bounties here extend to all,
Still springing o’er thy banks, though Empires near them fall.

The negligently grand:「人々に無視されてはいるが、雄大なる景観」(田吹)、「顧みられぬままに壮観な過去の栄光」(東中)。the grand=that which is grand; the lofty, magnificent, sublime.(田吹)。
fruitful:〈雨などが〉豊作をもたらす;((文))〈土地が〉肥えた(fertile)
sheen:光沢,つや;輝き
precipice:断崖(だんがい), 絶壁
turret:(城壁などの攻撃用)動楼
mockery:模倣(品),まがいもの
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