スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ひとりぼっちのススメ

2011年04月04日 19:41

レマン湖の湖面

【チャイルドハロルドの巡礼】第3編より、68-71連
    バイロン作  Shallot B.訳

68
レマン湖は澄んだ面差しで僕を口説く。
その面差しはまさに鏡――そこへ、星々と山々が、
自分の輪郭に見える静けさに
空遠くから映し出される青藍の、澄みきったものを眺めている。
ここには人が多すぎて、確かな心持ちで
僕の見ている力を見抜くなんてできないんだね。
でもすぐに、僕の心のほうでは、
衆愚と交わって自分を連中の群れに閉ざす前の、
あのころの昔と相も変わらず大切にしている、秘めた<思い>を孤独が甦らせてくれるだろう。

69
人を避けることが人嫌いってことじゃない。
みんながみんな、あくせくするのに向いてるわけじゃなし、
熱い人波にもまれて噴きこぼれるのがこわくて、
心を泉の奥深く、しまっとくのが厭とは思わない。
熱い人波のなかじゃ、ひとは悪の餌食となり、
手遅れになるまで、諍いだらけのこの世の真ん中で、
弱い者だらけの場所であがきながら、
惨めに不正行為には不正行為をもって
その骨折りを嘆きつつ奮闘するんだ。

70
人波のなかじゃ、あっという間に、
人生が取り戻せない後悔へと突き進み、
己の<魂>を枯らしながら心血は涙に、そして
彩りのあざやかさは暗い<闇>の色へと変わってしまうこともある。
闇夜を進む者にとって、
人生の行路は望みのない逃走になる。
海では、勇敢なひとは招いてくれる港だけを目指して舵を取る。
けれど、小舟を波間に進め、決して碇を降ろさない、
<永遠>をさまよう流浪人もいるのだ。

71
それなら、矢のようなローヌ河の青い奔流のそばで、あるいは
綺麗だけどへそまがりの赤ん坊の泣き声がすると
キスして「泣き声とんでけ」ってあやしてくれる母親のように
ローヌ河を養っては世話をしているレマン湖の澄み渡った懐深くで、
ひとりでいて、地上での楽しみのために
<大地>を愛するほうがいいんじゃないの?
おしあいへしあいする人波にのまれて、
傷つけあって耐えあうよりも、
こんなふうに、人生過ごすほうがいいんじゃないの?


LXVIII.

Lake Leman woos me with its crystal face,
The mirror where the stars and mountains view
The stillness of their aspect in each trace
Its clear depth yields of their far height and hue:
There is too much of Man here, to look through
With a fit mind the might which I behold;
But soon in me shall Loneliness renew
Thoughts hid, but not less cherished than of old,
Ere mingling with the herd had penned me in their fold.

woo:求愛する,くどく.
yield:収穫
pen:(他)〈家畜を〉囲い[おり]に入れる;〈人を〉閉じ込める,監禁する((in, up/in ...))
*最後3行は文法的に分析しきれていない。しかし、田吹先生の注解を参考に訳出した。以下、『チャイルド・ハロルドの巡礼第三編、注解』(九州大学出版会)186頁より引用。
 ・not less cherished than of old「昔と同じように、今も大事に仕舞っている」。
 ・Ere mingling with the herd had penned me in their fold「衆愚と交わって、わが身をその群れの囲いの中に閉じ込めてしまう以前の」。ここでは大衆を愚かなる羊の群れに喩えている。


LXIX.

To fly from, need not be to hate, mankind;
All are not fit with them to stir and toil,
Nor is it discontent to keep the mind
Deep in its fountain, lest it overboil
In the hot throng, where we become the spoil
Of our infection, till too late and long
We may deplore and struggle with the coil,
In wretched interchange of wrong for wrong
Midst a contentious world, striving where none are strong.

discontent:(…に対する)不満,不平((at, about, over, with ...))
spoil:(略奪の)えじき,目的物
infection:悪風に染まること;(気分・態度などの)影響,感化
deplore:…を深く悔いる,遺憾に思う
contentious:〈人が〉論争[けんか]好きの
wretched:悲惨な感じを与える


LXX.

There, in a moment, we may plunge our years
In fatal penitence, and in the blight
Of our own Soul turn all our blood to tears,
And colour things to come with hues of Night;
The race of life becomes a hopeless flight
To those that walk in darkness: on the sea
The boldest steer but where their ports invite―
But there are wanderers o’er Eternity
Whose bark drives on and on, and anchored ne’er shall be.

plunge:…を浸す[沈める];…を(…に)押し込む,突っ込む((into ...))
penitence:悔い改め,後悔,ざんげ
*wanderers:筆者は「さまよえるユダヤ人」を念頭に置いている。


LXXI.

Is it not better, then, to be alone,
And love Earth only for its earthly sake?
By the blue rushing of the arrowy Rhone,
Or the pure bosom of its nursing Lake,
Which feeds it as a mother who doth make
A fair but froward infant her own care,
Kissing its cries away as these awake; ―
Is it not better thus our lives to wear,
Than join the crushing crowd, doomed to inflict or bear?

sake:((for ...'s ~, for the ~ of ...の形で))動機,ため,利益;目的
earthly:((文))(天国・天上に対して)地上の,この世の,現世の,浮世[俗界]のe.g. an earthly paradise地上の楽園
froward:ひねくれた,つむじ曲がりの,強情な,手に負えない
関連記事


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://sousleau.blog5.fc2.com/tb.php/713-ee9497ec
    この記事へのトラックバック


    Articles


    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。