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夜半

2011年04月27日 18:52

春の川べり11の1

 道の両側にそびえる街灯に照らし出された商店街。
 そのまっすぐに伸びた道路の向こうがわに、赤い信号が燈っている。あの信号はいつも赤だ。いや、時折青く、ほんの一瞬だけ黄色いこともあるが、たいていは赤い。
 商店街のここそこには細い路地が張り巡らされていて、時たま路地から路地へ、左から右へと、ひとが横切ってゆくのが見える。――ああ、あの娘(こ)も左から右へと横切った。
 私はあの赤い信号の手前を、左側へと折れる。赤い信号の手前を、細い路地へと入って行く。
 その先には、人家の生垣に、沈丁花の小さな花が、白く群れをなして咲き誇っている。凍りついたように息を潜めている邸宅の外灯に、山羊の繊毛のような銀色にぼうっと照らし出されている。だが、辺りを覆う闇に漂っているのは、おぼろげな色彩などではなく、春の冷気に混じり合う、咽ぶような匂いなのだ。
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