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究極の妄想男子ルソー

2011年05月01日 20:06

春の川べり11の2

【チャイルドハロルドの巡礼】第3編より、76-81連
    バイロン作  Shallot B.訳

76
だがこれは我が主題ではない。
で、直接的な事柄に立ち戻るので、
骨壷に思いをめぐらせるひとたちには、ある人物を見つめてほしいのだ。
今は亡き彼の骨肉は、かつて激しく炎と燃え、
私は行きずりの旅人だが、いましばらくのんでいる、
澄んだ空気の里に彼は生まれた。
彼は生粋の土地の人物で、野望は栄誉を得ることだった。
それは馬鹿げた探求だったが、彼ときたら、
それを手に入れるためだけにほかをみんな犠牲にした。

77
自虐の詭弁家、<苦悩>の伝道者、放縦なルソー。
彼は<情熱>のうえに<魔力>を投げかけ、
<悲嘆>から圧倒するような能弁さを捻り出した。
この地にこそ最初に生を受けたゆえに、彼は惨めな生を送った。
だが、<狂気>を美しいものにする手立てを彼は知っていた。
読者の眼を過(よ)ぎるときには、陽光のように煌くので
眼からは心を打たれてとめどなく涙を流してしまうような
この世のものとは思えないほど美しいことばの彩を
誤った行為と思想に与えて撒いた。

78
その愛は<情熱>の真髄で、
稲妻に打たれて燃えあがる樹のようだった。
彼は天上の炎に煽られ、立ち枯れた。
というのも、それと愛されることとは同じだったからだ。
だが、彼は生身の女性を愛したのではなく、
夢に立ち現れる死者を愛したのでもなく、
彼の脳内に存在するようになった理想の<美女>を愛したので、
狂気のように見えても、
その燃え盛る紙葉には彼女への思いが溢れている。

79
この愛こそ、ジュリという女性に息吹を与え、
この愛こそ、自由で甘美なものすべてを彼女に与えた。
彼女は知人に出会ったときにする普段のキスのつもりだったけれど、
彼はそれを毎朝熱っぽい唇で受けとめていた。また、
その愛こそが、普段のキスを忘れられないキスとして聖なるものにしていたのだ。
だが、そうして優しく触れた瞬間、頭と胸の全体に、
狂喜乱舞して、霊魂の愛に捧げられた熱が閃いた。
たぶん彼は、あの心を奪うような溜め息にひたって、
望むものすべてを手に入れたいと願う俗っぽい連中よりも幸せだと思っていた。

80
彼の人生は自分で探し出した敵、つまり
自分で突き放した友人たちとの、長い長い戦いだった。
というのも、彼は自分でこころに<疑念>の聖所を設け、
己の残酷な供犠に親切な人々を選び、
奇妙にも盲目的に憤り、その人たちに激怒した。
ともかく、彼は狂っていた。 お医者さまにも皆目検討などつかないのだから、
理由なんて、誰にもわからないでしょ?
ともかく、彼は狂っていた。 理論的な面持ちでありながら、
ものごとの最悪に達するまで病み、嘆いては狂っていたのだ。

81
そのとき彼に神様が降りてきた、往昔の神殿に配された巫女たちに
神秘の洞窟からで託されたように、世界を炎へと投じ、
王国という王国が崩壊するまで燃え続ける神託が
彼に与えられたのだ。
ルソーとその仲間の声によって、膨張した恐怖に引き続く
あまりに未曾有の激怒となって、フランスが立ち上がるまで、
積年の世襲による暴君に平伏して、
耐えていた軛に打ちのめされ、震えている
フランスのためにしたことじゃなかったの?


LXXVI.

But this is not my theme; and I return
To that which is immediate, and require
Those who find contemplation in the urn,
To look on One whose dust was once all fire,―
A native of the land where I respire
The clear air for awhile - a passing guest,
Where he became a being, - whose desire
Was to be glorious; ’twas a foolish quest,
The which to gain and keep, he sacrificed all rest.

immediate:じかの,直接の(direct);直接の関連がある
respire:呼吸する,息をする.
became a being:=was born(田吹)

LXXVII.

Here the self-torturing sophist, wild Rousseau,
The apostle of Affliction, he who threw
Enchantment over Passion, and from Woe
Wrung overwhelming eloquence, first drew
The breath which made him wretched; yet he knew
How to make Madness beautiful, and cast
O’er erring deeds and thoughts, a heavenly hue
Of words, like sunbeams, dazzling as they past
The eyes, which o’er them shed tears feelingly and fast.

wild:自由奔放な,放縦な
wretched:〈人が〉不幸な;悲惨な,みじめな;哀れな;〈物が〉悲惨な感じを与える
feelingly:感動しやすい,思いやりのある
heavenly:((古風))天国のような;喜びに満ちた;美しい

LXXVIII.

His love was Passion’s essence - as a tree
On fire by lightning; with ethereal flame
Kindled he was, and blasted; for to be
Thus, and enamoured, were in him the same.
But his was not the love of living dame,
Nor of the dead who rise upon our dreams,
But of ideal Beauty, which became
In him existence, and o’erflowing teems
Along his burning page, distempered though it seems.

ethereal:きわめて優美な,絶妙な,霊妙な、((詩))天上の;(天空に満ちた)精気の;天空の;精神界の
Kindled:〈人・物が〉〈感情・情熱などを〉燃え立たせる,あおる,〈興味などを〉そそる;〈人を〉刺激して(…)させる((to do))
blasted:しなびた,枯れた;台なしの
teem:((しばしば進行形))〈場所などが〉(…で)満ちる,いっぱいである((with ...))
distempered: 雅 狂気の

LXXIX.

This breathed itself to life in Julie, this
Invested her with all that’s wild and sweet;
This hallowed, too, the memorable kiss
Which every morn his fevered lip would greet,
From hers, who but with friendship his would meet;
But to that gentle touch, through brain and breast
Flashed the thrilled Spirit’s love-devouring heat;
In that absorbing sigh perchance more blest,
Than vulgar minds may be with all they seek possest.

Invested:((形式))[invest A with B]〈A(人)にB(権限・官職)を〉付与する,A(人)をB(公職)に就任させる,〈A(物)にB(性質など)を〉与える,帯びさせる
hallow:…を神聖にする,清める;…を神聖な目的にささげる
thrilled:((叙述))(…で)わくわくして,ぞくぞくして((with ...))
absorbing非常におもしろい;心を奪う

LXXX.

His life was one long war with self-sought foes,
Or friends by him self-banished; for his mind
Had grown Suspicion’s sanctuary, and chose
For its own cruel sacrifice, the kind,
’Gainst whom he raged with fury strange and blind.
But he was frenzied, - wherefore, who may know?
Since cause might be which skill could never find;
But he was frenzied by disease or woe
To that worst pitch of all, which wears a reasoning show.

sanctuary:神聖な場所,聖所,聖域,教会,寺院.
reasoning:理論

LXXXI.

For then he was inspired, and from him came,
As from the Pythian’s mystic cave of yore,
Those oracles which set the world in flame,
Nor ceased to burn till kingdoms were no more:
Did he not this for France, which lay before
Bowed to the inborn tyranny of years?
Broken and trembling to the yoke she bore,
Till by the voice of him and his compeers
Roused up to too much wrath, which follows o’ergrown fears?

Pythian:(古代ギリシャの)Delphiの、(Delphiでの)Apolloの神託の
yore:((文))昔,往昔(おうせき), 過ぎし時代
yoke:くびき、((the ~))服従[隷属,屈従]の印[象徴];束縛,かせ,重圧;支配
compeers:親友,仲間
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