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レマン湖畔――嵐の夜に

2011年07月24日 18:57

5月の情景2011の2
【チャイルドハロルドの巡礼】第3編より、91-98連
    バイロン作  Shallot B.訳
92
くるめく空! なんというくるめき! おお<夜>よ、
<嵐>よ、<闇>よ、おまえたちは素晴らしく強い、
それでいて、女の黒い瞳の輝きように、
強さには美しさを秘めている。
矢継ぎ早に、峰から峰へと、轟音を響かせる岩巌を抜けて、
雷霆が生き生きと跳ねまわる! ひとつの雲からじゃなく、
それぞれの山全体がことばを放っている。
そして、霧の白布を引き裂いて、大声で呼びかける歓喜のアルプスに、
山脈ユラは答えるのだ。

93
そしてこれは<夜>のうちに、――なんと燦然たる<夜>!
おまえは眠りのために来たんじゃない!
俺にその峻烈さと凄まじい狂喜を分けてくれ、
おまえの嵐の分けまえを!
なんと閃く湖が輝くのだろう、燐火の海、
そして大粒の雨が地上へと踊りながら落ちてくる!
やがてまた闇。今、まるで幼い<地震>の誕生を慶び、
山々は嬉しい大声を出しては、
山々の浮かれ騒ぎで震動する。

94
さて、掘りこまれた溝があまりにも深いので、
心が毀れているのに二度と会えない、
憎み合って別れた恋人たちのように見える<高み>の間を
敏捷なローヌ河はどうと流れてゆく。
お互いに啀(いが)み合う魂(こころ)を貫いて
人生の花を枯らし、消えていった、愚かな怒りの根は、
まさに<愛>にあったのだ。
その<愛>が終わり、冬の時代、心の中で戦い続ける争いの時代を
恋人たちに残したのだ。

95
さて、そうして怒涛のローヌ河は息せき切って流れ、
行く先では、強大な嵐が仁王立ちしている。
ここでは、ひとつの嵐ではなく、実に数多い嵐が戯れていて、
手から手へと、閃かせてはあたりに散らして、雷を投げつけている。
分かたれた峰々を抜けて、この雷群のなかで、
とりわけ鮮烈なものが、
その閃光を万朶(ばんだ)とする。
<破壊>が作り出したような溝では、潜むものは何であれ、
灼熱の矢が放たれるべきとわかっているようだ。

96
<空>、<山々>、<河>、<風>、<湖>、<閃光>!
おまえたち! 夜と雲と雷をもって、
これらを捉えさせ、感情とした<霊魂>が
俺を眠らせなかったのも当然だ。
遠ざかるおまえの轟く声は、
たとえ横になっていても、眠らぬ俺の中の弔鐘だ。
だが、おお<嵐>どもよ! その行き先はどこ?
おまえたちは人の胸中のようなのか?
それとも、鷲のように、高みに巣を見つけるのか?

97
今、僕の中にあるものを表し、打ち明けられたら、――
僕の考えをことばにできて、それから
魂を、心を、精神を、熱情を、強かれ弱かれ感情を、
僕の探し求めてきたものすべてを、そして今も探し、
抱き、理解し、感じ、そしてことばに洩らすすべてのものを、
一言にできたら、そしてその一言が<閃光>であれば、
僕は語るだろう。でも実際はそうではないので、
声なき思いを抱き、刀のように鞘に収め、
誰にも告げずに生きて死のうと思うよ。

98
また<朝>の光が立ち昇る、露けき<朝>だ。
芳しい吐息、花ひらくような頬をして――
戯れに嘲り、雲を笑い飛ばして、
大地には墓などないかのように生き生きして、
真昼へむかって輝いていく。
僕らは生の行進を再開するんだ。
だが、綺麗なレマン湖よ! 僕はまだきみの岸辺で瞑想の場所と糧を見つけ、
適切に思いをめぐらせば、僕らを立ち止める多くのものを
見のがさないですむかもしれない。


はっはっは…
バイロン訳が1ヶ月も止まってた…

レマン湖の美しい嵐の情景は、古代の神々、巨大なタイタン族を彷彿とさせるものとされています。
確かに、なんとなく巨人たちが火の玉を投げ合っているような感じですねぇ…



XCII.

The sky is changed! - and such a change! Oh Night,
And Storm, and Darkness, ye are wondrous strong,
Yet lovely in your strength, as is the light
Of a dark eye in Woman! Far along,
From peak to peak, the rattling crags among,
Leaps the live thunder! Not from one lone cloud,
But every mountain now hath found a tongue,
And Jura answers, through her misty shroud,
Back to the joyous Alps, who call to her aloud!

wondrous:((詩))[形]驚くべき,不思議な、[副]((形容詞の前で))驚くほど,すばらしく.


XCIII.

And this is in the Night: - Most glorious Night!
Thou wert not sent for slumber! let me be
A sharer in thy fierce and far delight, -
A portion of the tempest and of thee!
How the lit lake shines, a phosphoric sea,
And the big rain comes dancing to the earth!
And now again ’tis black, - and now, the glee
Of the loud hills shakes with its mountain-mirth,
As if they did rejoice o’er a young Earthquake’s birth.

phosphoric:燐の
lit:〈窓・光源が場所・物を〉明るくする,照らし出す((up))
glee:大喜び,歓喜


XCIV.

Now, where the swift Rhone cleaves his way between
Heights which appear as lovers who have parted
In hate, whose mining depths so intervene,
That they can meet no more, though broken-hearted:
Though in their souls, which thus each other thwarted,
Love was the very root of the fond rage
Which blighted their life’s bloom, and then departed:―
Itself expired, but leaving them an age
Of years all winters, - war within themselves to wage.

cleave:(…に)ぴったりくっつく,しがみつく;((形式))(主義などを)固守する((to ...))
thwart:((形式))〈人の〉目的達成を妨げる,じゃまをする,〈計画・目的などを〉挫折(ざせつ)させる,…の裏をかく


XCV.

Now, where the quick Rhone thus hath cleft his way,
The mightiest of the storms hath ta’en his stand:
For here, not one, but many, make their play,
And fling their thunder-bolts from hand to hand,
Flashing and cast around: of all the band,
The brightest through these parted hills hath forked
His lightnings, ―as if he did understand,
That in such gaps as Desolation worked,
There the hot shaft should blast whatever therein lurked.


XCVI.

Sky―Mountains―River―Winds―Lake―Lightnings! ye!
With night, and clouds, and thunder, ―and a Soul
To make these felt and feeling, well may be
Things that have made me watchful; the far roll
Of your departing voices, is the knoll
Of what in me is sleepless, - if I rest.
But where of ye, O Tempests! is the goal?
Are ye like those within the human breast?
Or do ye find at length, like eagles, some high nest?



XCVII.

Could I embody and unbosom now
That which is most within me, - could I wreak
My thoughts upon expression, and thus throw
Soul―heart―mind―passions―feelings, strong or weak―
All that I would have sought, and all I seek,
Bear, know, feel―and yet breathe - into one word,
And that one word were Lightning, I would speak;
But as it is, I live and die unheard,
With a most voiceless thought, sheathing it as a sword.

unbosom:((~ -self))心の中[秘密]を(…に)打ち明ける((to ...))
wreak:(…に)ぶちまける((on, upon ...))


XCVIII.

The Morn is up again, the dewy Morn,
With breath all incense, and with cheek all bloom―
Laughing the clouds away with playful scorn,
And living as if earth contained no tomb, -
And glowing into day: we may resume
The march of our existence: and thus I,
Still on thy shores, fair Leman! may find room
And food for meditation, nor pass by
Much, that may give us pause, if pondered fittingly.

dewy:露を帯びた(露のように)しとやかな,さわやかな
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