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湖と山と森の王<愛>

2011年08月13日 21:07

志賀高原のお馬さん2011

【チャイルドハロルドの巡礼】第3編より、99-104連
    バイロン作  Shallot B.訳

99
クララン! 麗しいクララン! 深い<愛>の誕生の地よ!
おまえの大気は情熱的な<思い>の吐息。
おまえの樹は<愛>に根を張る。
氷河のうえの雪は<愛>の彩。
そして愛情をこめて眠る陽の光で
薔薇の淡色へと雪が染められるのを、<斜陽>は見ている。
岩々は、不朽の岩山は、ここで<愛>について語る。
誘惑する詐欺師<希望>を使って、
<魂>を掻き乱し突き刺すこの世の衝撃から逃れる場所を、
<愛>は岩々のなかに求めたのだ、と。

100
クラランよ! 不滅の<愛>の、美しい足がおまえの小径を踏みしめる。
階(きざはし)が続いている玉座へと、
<愛>はのぼってゆくのだ。
そこでは、<神>が<生>と<光>へ拡がっている。
そして、ただ峰々のうえや、
ただ静かな洞窟や森のなかに輝くのではない。
花のうえ、その眼は瞬き、
その優しい夏の息吹はそよぐ。
その息吹の柔らかな力は、いちばん酷いときの嵐の強さをも凌ぐ。

101
黒樅の樹々から葡萄畑に至るまで、ここではすべてが<愛>のもの。
梢に影をなす黒樅の樹々、
そこで<愛>の耳を傾ける奔流の唸り声。
岸辺へと降りてゆく緑の小径に勾配をつける葡萄畑、
恭しい<湖>は<愛>に出会い、崇め、
囁きながらその御脚に口づけする。
古木に覆われた<森>は、老いては幹を白くして、
軽やかな葉は、若いときと同じように喜び、昔立っていた場所に立ち、
その賑わしい閑地を、<愛>に差し出すのだ。

102
蜂と鳥、妖精の姿や彩られた大勢で賑わしい閑地、
彼らは<愛>をことばよりも甘美な調べで崇め、
そして、恐れを知らず、活気溢れて
無邪気に陽気な翼を広げる。迸る湧き水、
貴やかな泉が落ち、揺すれる枝々がたわみ、
<美>をすぐに思い浮かべさせる蕾――
こういったものは、ここで拡がり、まじわりあい、
<愛>によってつくられる。
ひとつの大いなる目的を手にするために。

103
愛を知らないひとは、ここでその教えを乞い、
感情を心意気に変える。
優しい神秘を知るものはさらに愛するだろう。
というのも、これは<愛>の隠れ家で、ひとの虚しい嘆きや、
この世の無駄なことは<愛>から遠く追いやられてしまった。
というのも、進むか死ぬか、それが<愛>の性質だからだ。
じっとしてはいられずに、朽ちるか、
はたまた不滅の光をまとい、
永遠を生きる限りない祝福へと育つか、どちらかだ!

104
ルソーが愛情いっぱいにして、この場所を選んだのは、
フィクションのためじゃなく、
<情熱>が<理性>の純粋なものにあてがった光景だと
わかったからだ。若い<愛>は<こころ>の帯をほどき、
美しさで清めたのもこの地だった。
人里はなれた、素晴らしい、奥深く、
耳にするにも、目にするにも、美しいところ。
ここは、ローヌ河が寝椅子に横たわり、
アルプス山脈が玉座を頂いているところ。


ルソー『新エロイーズ』を基盤とする99-104連。
アルプスのクラランを舞台にした作品に思いを寄せながら、
目の前の美しい自然、景色と想像が入り混じります。
個人的にはルソーの作品よりも、
ルソーがもとにした中世の物語『エロイーズ』のほうに興味アリ。



XCIX.

Clarens! sweet Clarens! birthplace of deep Love!
Thine air is the young breath of passionate Thought;
Thy trees take root in Love; the snows above
The very Glaciers have his colours caught,
And Sun-set into rose-hues sees them wrought
By rays which sleep there lovingly: the rocks,
The permanent crags, tell here of Love, who sought
In them a refuge from the worldly shocks,
Which stir and sting the Soul with Hope that woos, then mocks.

Glacier:氷河
wrought:((古))workの過去・過去分詞形。念入りに仕上げられた;装飾の施された
lovingly:愛情を込めて
sought:〈物・場所などを〉捜し求める,得ようとする,求める
worldly:この世の,地上[現世,浮世]の


C.

Clarens! by heavenly feet thy paths are trod, -
Undying Love’s, who here ascends a throne
To which the steps are mountains; where the God
Is a pervading Life and Light, - so shown
Not on those summits solely, nor alone
In the still cave and forest; o’er the flower
His eye is sparkling, and his breath hath blown,
His soft and summer breath, whose tender power
Passes the strength of storms in their most desolate hour.

heavenly:((古風))天国のような;喜びに満ちた;美しい、((文))こうごうしい,この世のものではない
pervading:(他)〈思想・宣伝などが〉…全体に普及する,広がる;〈におい・感情・特性などが〉〈場所に〉しみわたる,充満する
solely:ただひとりで,単独で


CI.

All things are here of Him; from the black pines,
Which are his shade on high, and the loud roar
Of torrents, where he listeneth, to the vines
Which slope his green path downward to the shore,
Where the bowed Waters meet him, and adore,
Kissing his feet with murmurs; and the Wood,
The covert of old trees, with trunks all hoar,
But light leaves, young as joy, stands where it stood,
Offering to him, and his, a populous solitude.

hoar:(老いて)〈髪などが〉灰色の,灰白色の,白い;白髪の(hoary)
populous:〈場所が〉人で混雑している,人出の多い,にぎわしい
solitude:人里離れた(寂しい)所;へんぴな所


CII.

A populous solitude of bees and birds,
And fairy-formed and many coloured things,
Who worship him with notes more sweet than words,
And innocently open their glad wings,
Fearless and full of life: the gush of springs,
And fall of lofty fountains, and the bend
Of stirring branches, and the bud which brings
The swiftest thought of Beauty, here extend,
Mingling―and made by Love―unto one mighty end.

gush:ほとばしり,噴出


CIII.

He who hath loved not, here would learn that lore,
And make his heart a spirit; he who knows
That tender mystery, will love the more;
For this is Love’s recess, where vain men’s woes,
And the world’s waste, have driven him far from those,
For ’tis his nature to advance or die;
He stands not still, but or decays, or grows
Into a boundless blessing, which may vie
With the immortal lights, in its eternity!

lore:((古))教育;教え,教訓
recess:奥深い所,隠所;(心の)奥底;奥義


CIV.

’Twas not for fiction chose Rousseau this spot,
Peopling it with affections; but he found
It was the scene which Passion must allot
To the Mind’s purified beings; ’twas the ground
Where early Love his Psyche’s zone unbound,
And hallowed it with loveliness: ’tis lone,
And wonderful, and deep, and hath a sound,
And sense, and sight of sweetness; here the Rhone
Hath spread himself a couch, the Alps have reared a throne.

allot:…を(人に)(運命として)定める,指定する((to ...))
hallow:…を神聖にする,清める
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