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しあわせの王子(2)

2011年11月03日 19:15

【しあわせの王子】 (部分)
   オスカー・ワイルド 作
   Shallot B.訳

 ある夜、その街の上空に、小さなつばめが飛んでいました。つばめの仲間は6週間も前にエジプトへ飛んで行ってしまいましたが、彼は残っていたのです。というのも、もっとも美しい葦に恋してしまったからでした。春先につばめは葦に出会いました。大きな黄色い蛾を追って、川を下ってきたときでした。そしてそのすらりとした腰にとても魅かれてしまい、彼女に話しかけるために飛ぶのをやめました。
 「あなたに恋してもいい?」と、単刀直入を好むつばめは言いました。すると、葦は低くお辞儀をしました。そこで、つばめは葦の周りをぐるぐる廻り、翼を水に打ちつけては銀色の細波を立てました。これが彼の求愛であり、それは夏の間中続きました。
 「馬鹿げた献身ぶりだな」と他のつばめがさえずりました。「その娘にはお金がないし、親戚が多すぎる。」実際、川縁(かわべり)は葦の一族でいっぱいでした。そうして、秋が来ると、つばめたちはみんな飛んで行ってしまいました。
 みんなが飛び去ったあと、つばめは心細くなって、彼の恋人にも飽きてきました。「あの娘(こ)は何も喋らないし、浮気っぽいと思う。だって、いつも風といちゃついているんだもの。」とつばめは言いました。確かに、風が吹くといつでも、葦は膝を曲げて、もっとも品のあるお辞儀をしました。「彼女は家庭的だよ、でも僕は旅行が好きなんだ、だから僕の奥さんにも旅行が好きでいて欲しいんだよね」とつばめは続けました。
 「僕と一緒に来てくれないか」と、つばめはついに葦に言いました。しかし、葦は頭を横に振りました。それほどまでに家に愛着を持っていたのです。
 「きみは僕をもてあそんだんだね」とつばめは叫びました。「ピラミッドへ行くよ! さよなら!」そして彼は飛び去りました。
 つばめは一日中飛び続け、夜になってこの街にたどり着きました。「どこへ泊まろうかな。この街に用意ができているといいけど。」
 そのときつばめは円柱のうえに彫像をみつけました。
 「あそこにしよう。いいところにあるし、いい空気もある。」つばめはしあわせの王子の足の間に降り立ちました。



『しあわせの王子』(1)
『しあわせの王子』(3)
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