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信じたい

2012年03月24日 20:35

赤い椅子

【チャイルドハロルドの巡礼】第3編より、111-114連
    バイロン作  Shallot B.訳

111
さて、思わしくない行く先のまま、ふたたび始めた(物語の)主題を
書き進めてきたけれど、ずいぶんと書いて来ちゃったな。
これまでの自分とは違うんだって感じること、
今の自分のあるべき姿じゃないって思うこと、
心を強く持つこと、
人間の思念の暴虐な心意気――つまり愛や憎しみ、あるいは何か、
情熱とか感情とか、決意、悲しみ、熱意なんかを、誇り高い警戒心で隠すこと。
それが魂の過酷な試練なんだ。
大丈夫、わかってるから。

112
ことばにしてみれば、こうして歌へと織り込まれてゆくのだから、
ことばなど人畜無害なたくらみだ、とも言えるかもしれない。
しばらく、僕の心や、他人のそれを紛らわせるために、
あっという間に過ぎ行(ゆ)く景色の彩を、
行(ゆ)き過ぎながら、僕はこの手に掴むんだ。
若いひとは名誉を強く望むけれど、
他人のしかめっ面やら微笑を
栄誉ある幸運の得失だなんて考えるほど、僕はもう若くない。――
他人(ひと)にどう思われようと、今も昔も、俺はひとりで立っている。

113
俺は<この世>が好きじゃなかった、そして奴もまた俺を好いてはいまい。
<この世>の臭い息にすりよったことはないし、
<この世>を信じて奴に忍従したりもしなかったし、
笑顔を造るために頬を歪ませたりしなかった。
熱狂の叫びに酔いしれて大声をあげることもなく、
人込みでは誰も俺を認めることはなかった。
俺は群衆の只中に立っていた、だが奴らと同類じゃなかった、
連中とは違う思念という死衣に包まれていたのだ。
こんなふうに克己して、俺の心が汚れていなかったなら、
今でもまだ人の群れの只中に、ひとり立っていられたのに。

114
俺は<この世>が好きじゃなかった、そして奴もまた俺を好いてはいまい。
だが対等な敵どもと別れさせてくれ。
まだ見かってはいないけれど、
欺かない希望とか、
慈愛に満ち、転落へと陥れる罠を仕掛けることのない<美徳>とか、
実を伴った言葉があるのかもしれないと、俺は強く信じている。
ひとりか、ふたり、見た目どおりで、
他人の悲しみに対して、心から嘆き悲しむ者もあるのだとも思いたい。
つまり、<女神>とは名前だけでなく、<幸福>が夢ではないと。


一日がかりだった~(集中力が切れ切れだったせいもあるけれど)。
これで、とりあえず114連まで終了。
113連では、群衆のデモ行進の中にいながら、冷めた目で、同調できない語り手の姿が見えましたけど、
それって極めて現代的な解釈なのでしょうねぇ…。


CXI.

Thus far have I proceeded in a theme
Renewed with no kind auspices: - to feel
We are not what we have been, and to deem
We are not what we should be, - and to steel
The heart against itself; and to conceal,
With a proud caution, love or hate, or aught, -
Passion or feeling, purpose, grief, or zeal, -
Which is the tyrant Spirit of our thought,
Is a stern task of soul: - No matter, - it is taught.

proceed:(仕事などを)続ける,続行する
Renew:…を再び始める,再開する,…を再び作る[言う,する],繰り返す
auspices:((しばしば~s))吉兆
steel:〈人の〉心を(…に対して)堅固[不屈,無情,頑固]にする((for, against ...));((~ -self))(…)しようと決心する((to do)) (例)steel oneself to testify in court法廷で証言しようと決心する.
caution:注意,用心,警戒,慎重さ
stern:〈人・規律などが〉厳格な,きびしい;〈決意などが〉断固とした


CXII.

And for these words, thus woven into song,
It may be that they are a harmless wile, -
The colouring of the scenes which fleet along,
Which I would seize, in passing, to beguile
My breast, or that of others, for a while.
Fame is the thirst of youth, - but I am not
So young as to regard men’s frown or smile
As loss or guerdon of a glorious lot; ―
I stood and stand alone, - remembered or forgot.

wile:策略,わな;手管;ごまかし
fleet:((古))薄れる,消える。すばやく動く,飛んで行く((away));((古))〈時が〉流れ[過ぎ]去る((by))
seize:…を(急にまたは強く)つかむ,握る
beguile:((文))〈人を〉(…で)楽しませる,魅する;〈時間・悲しみを〉(…で)まぎらす,楽しく過ごす((with, by ...))
guerdon:報い,ほうび,報酬


CXIII.

I have not loved the World, nor the World me;
I have not flattered its rank breath, nor bowed
To its idolatries a patient knee,
Nor coined my cheek to smiles, ―nor cried aloud
In worship of an echo: in the crowd
They could not deem me one of such― I stood
Among them, but not of them― in a shroud
Of thoughts which were not their thoughts, and still could,
Had I not filed my mind, which thus itself subdued.

rank:強く不快な味[におい]のする;鼻をつくような
idolatries:偶像崇拝、(盲目的)崇拝,心酔
coin:(硬貨などを)鋳造する
file:((古))…を汚す
subdue:((形式))〈感情・衝動を〉抑える,抑制する


CXIV.

I have not loved the World, nor the World me, -
But let us part fair foes; I do believe,
Though I have found them not, that there may be
Words which are things, - hopes which will not deceive,
And Virtues which are merciful, nor weave
Snares for the falling; I would also deem
O’er others’ griefs that some sincerely grieve―
That two, or one, are almost what they seem, -
That Goodness is no name― and Happiness no dream.

Snare: ((文))(人を陥れる)わな,誘惑
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