欅の睡み ―Last Autumn's Dream―

2005年08月27日 22:48

latumdre

 団地の真ん中にある広場には、おおきな欅の木があって、毎年秋になると、そっと青空にときめきながら、風の誘われるままに、哀愁を帯びた茶色の枯葉を、振り落とす。私の幼かった頃は、まだ祖父が生きていた頃は、よくその欅の下で、散歩がてらに買ってもらったたこ焼きやら、アイスクリームやらを、その尊さを感じることもなく、あたりまえのように食べていたものだった。あの頃の時間は、もう戻ってはこない。
 私が十代の頃は、祖母と買い物に出かけるとき、その欅の木の下を潜り抜けてバス停へと向かった。足の悪い祖母は、買い物の帰りにはきっとそこにあるベンチへ腰掛けて、「あぁ、いいお天気。」と嬉しそうに微笑んでいた。私は、その尊さを感じることもなく、あたりまえのように祖母の微笑を受け止めていた。あの頃の時間はもう、戻ってはこない。
 私が二十代になって、祖父は既に他界し、祖母は老人ホームへと入ってしまったから、もはや二人はそこにはいなくなってしまった。一度、あの頃の記憶を辿ろうと試みて、私は再びその欅を訪れた……あぁ、あの夢のような時間は、あの秋の記憶は、もはや存在しない! どこへ消えてしまったのか、あの人たちは? 
 私は今三十になった。今はただ、消えてしまった人たちを想っては、欅はあの頃と同じように茶色の涙を落とし、青空の下で白昼夢を見てはかさこそと音を立てている。今、あの欅の木の下で、小さな子供がおじいちゃんとおばあちゃんを呼んでいる。けれど、そこには誰も現れないのだ。


<『Last Autumn's Dream』について>
 先日新宿の某中古CDショップに行きまして、メロメタCDを数枚ゲットしてきました。その一枚。「Fair Warning」は、以前からかなり気に入っていたバンドだったのですが、その系譜に入るバンドと聞きまして、即買いしてしまったわけです。
 久々の、こんなに素敵なハスキーヴォイスで、耳に非常に心地よい。Mikael Erlandssonの声が、曲の雰囲気とばっちり合ってる! Andy Malecekのギターの繊細な響きもイイ☆ 個人的には、7曲目『The One』、11曲目『Going Home』がかなり好き。『The One』は、思い出を辿りたくなるような和音の動きが素敵。メロディーラインも歌詞の内容も、長調で温かみがあるし。これと10曲目『Movin' On』が似た感じ。精神安定的。11曲目『Going Home』は、短調で、孤独感もいっぱい。歌詞もそんな感じ。秋の哀愁をひとしお感じてしまいたいときは、こっち。
 このバンドは昨年秋にもアルバムをリリースしている模様。近日中にゲットしなくては…☆
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